『メガロード』誕生
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「超時空要塞マクロス」の記事における「『メガロード』誕生」の解説
企画の発端は放映の2年前、1980年8月まで遡る。アートミックの前身である「ウィズ・コーポレーション」から発注を受けたスタジオぬえが、テレビアニメ企画『ジェノサイダス』を提出したことからすべては始まった。 『ジェノサイダス』はメインメカとしてA-10攻撃機に歩行脚を取り付けた形態の戦闘機「ガウォーク」が登場するもので、シリアスな本格ハードSF作品とでもいうべき骨子を持っていたが、その内容は『マクロス』として結実したものから比較すればSF作品としてより本格・骨太だが反面で地味と言わざるを得ないもので、出資者となる広告代理店や玩具メーカーなどスポンサーサイドの反応はぬえスタッフの期待を裏切る鈍いものであった。そのため、急遽もう一作、スポンサー受けを目的としたダミーの企画を別途作成することとなり、「変形する巨大宇宙戦艦」「艦内の市街地」「敵は巨大異星人」などのアイデアを一夜漬けでまとめ上げ、巨大戦艦の名前より『バトルシティー・メガロード(仮)』と命名し提出。河森によると「メガロード」の由来は「大いなる道 (Road) 」と「積載過剰 (Lord) 」を掛け合わせたものである。いわゆる「当て馬」として気軽に作った代物であり、内容自体もコメディ・パロディ色の色濃い肩肘張らずに見られるコミカルなもので、一部スタッフが言うところの「壮大な能天気ドラマ」になった。この時点でのメインメカは「ブレストファイター」という飛行機で、すでにリン・ミンメイの原型となる「ラーメン屋の娘が人気が出て歌手になっちゃう」という設定も見られた。 このダミー企画『メガロード』はそのもくろみどおりに確かにスポンサーサイドのからの受けはよかったが、その結果、ある意味では皮肉なことにこちらが採用される雰囲気が漂い始める。一方で、肝心な本命の『ジェノサイダス』の企画が没案になる気配が濃厚になったため、急遽『メガロード』の内容修正を図り、極力パロディ要素を除きながらもスポンサーサイドの要望に合わせて宇宙戦争を舞台にした恋愛ドラマ(ラブコメ)路線へシフトさせていく。これにより、地球の存亡を賭けた戦いと、主人公たちの三角関係を同等のレベルで描く、という方向性が固まった。「ブレストファイター」は取りやめ『ジェノサイダス』からはガウォークの設定が流用され、それをさらにロボットへと変形させるバルキリーが誕生した。さらに、『メガロード』の初期案からメカニックデザインがリアル指向に修正され、デザイン元の航空機がF-14戦闘機に変更されたことで、ミリタリー的要素(航空戦)も加わった。その後、当初の発注元であったウィズ・コーポレーションが組織変更などの関係で企画から離脱した影響でスタジオぬえ自身が企画母体となるなど、企画開始当初と比べれば若干ではあるもののスタジオぬえの独自色を打ち出せる環境が整っていった。かくして、作品が『マクロス』として結実する下地は形成されていった。 未発表ではあるが、宮武一貴が『宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙海賊キャプテンハーロック』、『わが青春のアルカディア』に登場するヤマト、アルカディア号を巨大ロボットに変形させるデザインテストを行っていた。また、艦内に市街地を置くアイデアは、河森が参加したフランスとの合作アニメ『宇宙伝説ユリシーズ31』の企画時に出した案だったが、フランス側に承認されず没となっていた。河森は「『ユリシーズ』のときに出したアイディアが、だいぶ通らなかったので、それで『マクロス』が出来たともいえるんです」と述べている。
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