《漆》の正しい読み方
「漆」の正しい読み方
「漆」は「うるし」と読む。「漆」の意味解説
「漆」はウルシ科ウルシ属の落葉高木のこと、または、その樹木から採取した樹液のことである。とりわけ樹液の方を指す場合が多いといえる。漆の木の樹液は日本文化において大きな役割を担ってきたからである。漆の木は日本・中国・朝鮮、あるいは東南アジアの一部地域に自生している。漆の樹液は強い接着作用がある。縄文時代の頃には、矢じりを固定する接着剤として漆の樹液が使われていた。そして漆の樹液は日本では塗料として重用された。
日本では漆を塗った道具類を「漆器(しっき)」と総称するが、漆または漆器を英語では「japan」という。
漆の樹液は速乾性があると共に防水性が高く、木製の食器を水濡れによる腐食から守るコーティング剤として適している。さらに、漆に特有のツヤと深みのある質感には芸術的な価値も見いだされ、漆器は工芸品としてその美術的価値を高めていった。江戸時代頃には南蛮貿易で多くの漆器が海外に輸出されたという。
また、漆の樹液が塗料として重宝されたのは防水性の他に熱や酸、アルカリや油などへの強い耐性を持っているためである。一方で漆は紫外線に弱く、乾燥した状態が続くとひび割れが生じる欠点もある。漆の樹液は淡い茶色だが、塗料として使用する際は煤や顔料などを混ぜて着色する。日本では古くから黒色と朱色の漆が使われていたが、時代が進むにつれて黄色や緑色の漆が開発された。漆に含まれているウルシオールには人の肌にかぶれを生じさせる作用がある。これはアレルギー症状の一種であり、人によっては直接触れなくても気化した成分を吸い込むだけで肌がかぶれることもある。
なぜ「漆」と読むのか・理由
「漆」の文字はさんずいに「木」、そして「水」で形成されている。「水」は漆の樹液であり、木の幹に生じた傷から樹液が出ている様を文字にしたと言われている。文字が作られた中国では古くから漆の木の幹にわざと傷をつけ、樹液を採取していた。「漆」の文字は樹液を採取する作業の様子を形にした説もある。「うるし」と読むのは「したたる汁」を意味する「津」の読みである「つ」が変化したためと言われている。また、樹液を採取する容器を木の幹に吊るしたことから、「津を入れる容器を吊るす」が変化して「うるし」になった説も有力だ。「漆」の類語・用例・例文
「漆」の類語には「ワックス」「ワニス」などがある。いずれもツヤ出しや防水を目的とした塗料の一種で、用途は漆と似ている。ワックスは主に動物の脂肪、ワニスは揮発性溶剤で溶解させた天然樹脂で作られている。例文として「漆のツヤが気品を感じさせる」「床にワックスを塗って防水性を向上させる」「木工品を水濡れから守るにはワニスが欠かせない」などがある。「漆」の英語用例・例文
「漆」は英語で「lacquer」と書く。本来の意味は木工品に用いる速乾性の塗料の総称である。漆が持つ高い防水性と速乾性から「lacquer」の名称が使われるようになった。例文には「漆塗りの食器」を英文にした「lacquered tableware」がある。- 《漆》の正しい読み方のページへのリンク