新たな要求とは? わかりやすく解説

新たな要求

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/24 15:52 UTC 版)

G1 (戦車)」の記事における「新たな要求」の解説

これに応じて1936年5月兵器諮問委員会(Conseil Consultatif de l'Armement)は敵の戦車との戦闘十分な火力装甲備え、かつ低コスト高機動力のため20トン以下の軽量な戦車開発が必要であるとフランス軍需産業にむけて要望した。この時期にはルノーB1問題点として鋳造溶接ではなくリベット止め車体だったために想定より2トン重量が超過したことや複雑で大型ゆえに高コストであるという点が強く認識されるようになっていた。20トン戦車B1より軽く高速コスト低く容易に生産可能で乗員訓練も容易となると考えられ故に新型20トン戦車重戦車代替する次世代戦車となりうる性能あるべき決定された。 10月特別委員会は「20トン戦車」の仕様変更表明した最高速度少なくとも40 km/h航続距離 200 kmルノーB1bis同等防御力全周60 mm装甲)、 250 cm塹壕超越能力化学兵器対する完全な防御鉄道輸送支障きたさない寸法機関銃2丁および想定しうるあらゆる敵中戦車撃破可能な初速砲の装備というものである。 その仕様はこの戦車従来フランス戦車を超える強力で先進的なものになることを意味していると同時にあまりにも意欲的な要求ゆえにすぐには完成しないだろうということはっきりしていた。そのため当時フランスで行われていた歩兵科戦車部隊将来像に関する議論決着が付くまで開発を待つということは避けられた。シャルル・ド・ゴールのような将校たちは歩兵科騎兵科軽機化師団(Divisions Légères Mécaniques)やドイツ軍装甲師団(Panzerdivision)のように師団自身機械化歩兵自動車化砲兵持ち単独あらゆる任務柔軟に対応できる戦車師団創設すべきである主張していた。しかしそうでない他の将校たちは騎兵模倣をすることは無駄であり、歩兵突破という自らの任務専念するべきであると主張していた。限られた予算戦車師団創設するよりも、十分な数の歩兵支援軽戦車歩兵師団内部独立戦車大隊配備したほうが効果的な諸兵科連合実現できる考えていたのであるなかには重戦車のみを生産したい考えている将校もいた。この新型戦車は高い機動力突破十分な装甲両立することが要求されていたが、この特性ドイツ式戦車師団創設するときにこそ必要とされるものであり、完成したとしても大規模な量産にはこの議論決着必要だったのであるこのように実際に採用されるかの不確実性はあったとしても、フランス軍将来主力になりうる戦車開発計画であったため大規模な受注による利益期待して世界恐慌下で苦しんでいた企業こぞって参加した1936年終わりから1937年初頭までに、Baudet-Donon-Roussel (BDR) 、FCMフーガ、ロレーヌ・ディートリッヒ 、ルノー 、Sociétéd'Etudes et d'ApplicationsMécaniques(SEAM)、ソミュアの7社が設計案提出した。 バティニョールも設計案発表したが、実際に提出しなかった。 委員会1937年2月20日各社提案に対して報告書発行した設計案のうち2つについては参加企業1年以内排除されてしまったため、この報告書主要な情報源となっている。ソミュア案はソミュア S40Sau 40自走砲中間のようなもので、基本的にはS35の登坂力を強化したのだったFCM案について詳細わかっていないが、おおむね20%大型化したFCM 36で重防御FCM F4砲塔搭載していた。 BDR案、 フーガ案およびロレーヌ案はその実可能性についてさらに情報提供されるまでは検討段階にとどめ置かれた。SEAMルノー設計案はその試作車両の製造許可下りるまでに進行しており、また軍とも密接に情報交換したため正式に仕様公開されるであっても設計取り組むことができていた。11月委員会SEAM契約する設計所の所長であるPrince André Poniatowskiに影響され車体搭載75 mm砲を主武装とすることを決定したことはルノーにとっては不利であったSEAM試作車両は1937年10月31日までに120フランスフラン単価納入され、うち20パーセントが国によってすすめられた。 この車体装備の75m砲という新たな要求は当初この2トンもの重量増加につながる大型火砲設置する容積考慮せず車体設計していた設計者たちにとって大きな問題となった。さらに装甲への要求50上方修正されたために更に2トン重量増加予想された。1937年2月20日時点での設計案はすべて20トン重量制限満たすことができず、2325トンの案になっていた。 ルノー案は75mm砲の搭載車体ではなく砲塔とすることで対応した1936年ルノーはこれを代替案として提案し評価高かった。これに励まされルノー1937年仲介人通して歩兵科高官買収し委員会設計方針転換働きかけさせPoniatowskiから主導権取り戻した。 彼は委員会砲塔への75mm砲の搭載単なる選択肢一つではなく必要不可欠だと納得させたのである。これによりルノーは完全な新規設計強いられ大幅な遅延生じさせられていた他のライバル対す圧倒的な優位を得ることができた。 1937年後半にこの計画は、Char G1改名され設計案についてもロレーヌ案はG1Lルノー 案がG1RBDR案はG1Bフーガ案がG1FSEAM案がG1Pと公式に命名された。ソミュアとFCM設計案曖昧過ぎるか新規性欠けたため拒絶され、この2社の生産能力既存戦車生産のために集中された。 1938年2月1日歩兵科三度目大規模な仕様変更として最大重量35トン砲塔32口径75mm砲を搭載との新たな仕様発表した。 これらの新たな要望参加企業設計遅延引き起こした見通し不透明な中でこれ以上このような複雑なシステムへの投資続けることを避けはじめたのである。そのため、1938年6月8日フランス政府進捗加速させるためリュエイユ工廠(ARL,Atelier de Rueil)の軍事技術Maurice Lavirotteを派遣し参加企業支援させた。参加企業装甲版を入手できなければ試作車両の段階では単なる鋼板でも許可した。 この時点ではルノー製造可能となる日程について一切示すことができず、フーガBDR設計案はかなり重量増加しており、 SEAM1940年中頃ロレーヌ1941年内には製造開始できるうになる考えていた。 1938年7月12日には仕様に関するはるかに詳細なリスト提供された。概して強力な武装対戦車砲耐える防御力、そして優秀な戦略戦術機動力を持つことを要求している。詳細に砲塔長砲身半自動式75mm戦車砲および対空火器としても運用可能な7.5mm機関銃装備、それとは別の機関銃車体正面もしくは砲塔搭載主砲弾薬数は100発、機関銃マガジン30個を搭載空虚重量30トン戦闘時重量32トンエンジン電気的に手動でも始動することができなければならず、履帯は完全に接触可能。整地速度40 km/h長距離移動でも平均速度30 km/h不整地でも20 km/h走行可能。200kmないし不整地を8時間走行可能とする2つ燃料タンク乾燥地で高さ90 cmかつ勾配85%まで、濡れた坂道でも勾配65%までの登坂力。250 cm塹壕超越能力深さ120 cmまでの渡河能力寸法制限初め明確な数値として示され鉄道輸送都合から戦闘室の高さは120cm未満横幅294 cm超えてはならず同時に側面ドア十分に開くことが可能なことと設定された。 化学兵器防御および装甲厚の仕様60mmのまま維持されたが追加要求として、アップリケ装甲としないこと、および鋳造ないし電気溶接とすることが求められた。自動消火装置搭載要求された。 乗員には先進的な視界装置および射撃管制装置が必要とされた。副武装として7.5mm機関銃搭載されキューポラ大型エピスコープ装備し必要なら車長砲手兼任できるようにするため砲塔連動して75mm砲を敵に指向させることを可能とする。キューポラには光学測距装置搭載される。主砲32口径の75mm砲で後に搭乗する他国中戦車比べて砲身短めだが,エドガー・ウィリアム・ブラント開発した口径より細いタングステンの弾用いた徹甲弾(APCR)を使用することで高い砲口初速実現していた。 1938年夏にはどの設計案大規模な再設計なしにこれらを満たすことはできなかった。

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