化学兵器(Chemical Weapons : CW)
【化学兵器】(かがくへいき)
Chemical weapon.
人体に悪影響を及ぼす液体や気体などの化学物質を使用した兵器。
短時間に広範囲を汚染し、多数の人間を殺傷することが可能。
最初に使われたのは第一次世界大戦時であり、ドイツ軍がベルギーのイペールでマスタードガスを散布した(イペールで使用されたことから、イペリットガスとも言われる)。
近年では日本の地下鉄サリン事件が記憶に新しい。
主な種類
- 神経剤:サリン、VXガスなど。
呼吸器や皮膚などから人間の神経系にダメージを与える。
もっとも殺傷力の高い部類に入る。 - びらん剤:マスタードガス(イペリット)など。
呼吸器や皮膚など接触面に炎症を起こし、激しい痛みと痕を残す。 - 窒息剤:塩素など。
呼吸器にダメージを与え、呼吸を困難にする。 - シアン化物:青酸ガスなど。
吸入後、血液によって体細胞まで運ばれて細胞器官を破壊、酸素利用を阻害する。 - 無力剤 LSDなど。
幻覚症状などを引き起こし、長時間の間行動を停止させる。 - 暴動鎮圧剤:アダムサイトなど。
嘔吐、流涙、くしゃみなどを引き起こし、相手の行動の自由を短時間奪う。
暴徒鎮圧に当たる警察機関などが利用する「催涙剤」もこれに類する。
化学兵器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/15 05:44 UTC 版)
化学兵器(かがくへいき、英語: chemical weapon)とは、毒ガスなどの毒性化学物質により、人や動植物に対して被害を与えるため使われる兵器のこと[1]。化学兵器禁止条約では、毒性化学物質の前駆物質や、それを放出する弾薬・装置も含むものとしている[1]。
- ^ a b c “生物兵器・化学兵器とは”. 外務省ホームページ. 2023年3月9日閲覧。
- ^ 「赤剤及び緑剤については、生命活動に対する化学作用により、人または動物に対し一時的に機能を著しく害する状態を引き起こし得ることから、条約上の毒性化学物質、すなわち化学兵器に該当するということで、私ども、これを判定いたしております。」(第168回国会 外務委員会 第3号 西政府参考人答弁)
- ^ a b c d e 遺棄化学兵器の安全な廃棄技術に向けて 日本学術会議 平成13年7月23日
- ^ 加藤健二郎『いまこそ知りたい自衛隊のしくみ』 日本実業出版社、2004年 ISBN 4534036957
- ^ a b “生物・化学兵器への公衆衛生対策 WHOガイダンス”. 世界保健機関 (2004年). 2020年10月10日閲覧。
- ^ 小林、69頁。
- ^ a b 小林、74頁。
- ^ a b c d e f Eric Croddy, "China's Role in the Chemical and Biological Disarmament Regimes", The Nonproliferation Review, Spring 2002, p. 17.
- ^ a b ニコラス 2011, pp. 50–51.
- ^ 春山明哲「霧社事件と毒ガス作戦 (台湾)」、『世界戦争犯罪事典』、文藝春秋、2002年8月10日、ISBN 4-16-358560-5、64頁。
- ^ “戦時歩兵教育の参考 - 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2019年6月30日閲覧。
- ^ a b “毒ガス部隊、公式記録 日中戦争中の使用報告、初の確認”. 毎日新聞. 2019年7月8日閲覧。
- ^ “旧陸軍毒ガス詳報、確認 中国北部で使用部隊が記録”. 東京新聞 TOKYO Web. 2019年7月8日閲覧。
- ^ a b c d e Eric Croddy, "China's Role in the Chemical and Biological Disarmament Regimes", The Nonproliferation Review, Spring 2002, p. 18.
- ^ “イラン・イラク戦争開戦から40年、生存者が語る毒ガス攻撃の恐怖”. AFP (2020年9月23日). 2020年9月27日閲覧。
- ^ 原文:Declaration on the Use of Projectiles the Object of Which is the Diffusion of Asphyxiating or Deleterious Gases; July 29, 1899
- ^ ロシアが化学兵器全廃 未履行の米を批判 日本経済新聞 2017年9月28日(共同通信による配信記事)
- ^ 海軍技術研究所の碑 平塚市[リンク切れ]
- ^ 国内における旧日本軍の老朽化化学兵器廃棄問題の現状 - 外務省、2004年4月作成。
- ^ 神栖市HP[リンク切れ]
化学兵器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:21 UTC 版)
サリン 池田大作サリン襲撃未遂事件、滝本太郎弁護士サリン襲撃事件(1993年)、松本サリン事件(1994年)や地下鉄サリン事件(1995年)で使われた毒ガスで、1993年8月に土谷正実が製造に成功する。サリン70t製造を目指してサリンプラントの建設も試みた。教団内の隠語は魔法使いサリーからとられた「魔法」「魔法使い」「サッチャン」「サリーちゃん」「サリー」「魔法使いサリー」または「妖術」「S」「チャチャ」。麻原は、サリンは原爆と違って建造物が残るため「省エネ原爆」だと説明していた。 VX 1994年9月に土谷が製造に成功、主に教団に敵対する人物の殺害に使われた。松本サリン事件でサリンが有名になったことによる代替物としての意味もあった。教団内の隠語は土谷が命名した「神通力」。井上嘉浩によると「ツァンダリー」という隠語もあった。麻原はVXを使用することを「ひっかける」と表現していた。 青酸ガス 1994年に土谷が青酸ガスの製造に成功した。後に警察の捜査かく乱のために、青酸ガスの原料であるシアン化ナトリウムを使って、新宿駅青酸ガス事件を起こすことになった。 ホスゲン 1990年秋より研究を開始した。ホスゲンプラント計画もあった。しかし同年、国土法事件で熊本県警の強制捜査が入るとの情報を得たため、製造装置を解体し中断した。捜査した熊本県警は、まさか毒ガス製造装置があるとは思わず発覚することはなかった。その後1994年に新実智光らが坂本弁護士一家殺害事件とオウムを追及していたジャーナリスト江川紹子宅に散布し、江川に全治2週間の傷害を与えた(江川紹子ホスゲン襲撃事件)。 イペリットガス 1994年頃にイペリットガスの製造に成功した。隠語は「おでん」だったとの説があるが藤永孝三が「おでんはない」と否定している。外部に漏れ出て、信者に火傷を負わせたことから、「スパイの仕業」ということになり、疑われた男性信者が殺害された(オウム真理教男性現役信者リンチ殺人事件)。 ソマン 1994年3月に土谷がソマンの製造に成功した。サリンのほうがコストが若干安いので量産されなかった。
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化学兵器
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「中華民国の大量破壊兵器」の記事における「化学兵器」の解説
台湾は、少量のサリンを所有している可能性がある。台湾政府は、これは防衛研究目的でのみ所有しており、大規模な致死性の化学兵器を開発する計画はないと言明している。
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化学兵器
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主に毒ガスの散布をメインとし、800リットルのガスタンクを内蔵し、U字型の噴射口が備え付けられる予定だったとされる。 このシステムはCOP-18と呼ばれるもので、これは後続のKS-18でも使用されている。
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化学兵器
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特にAs-Cl結合を持つ有機ヒ素化合物は、特に第一次世界大戦中に化学兵器として用いられていた。ルイサイトやジフェニルクロロアルシン、フェニルジクロロアルシン等がある。
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化学兵器
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「イスラエルの大量破壊兵器」の記事における「化学兵器」の解説
イスラエルは、化学兵器禁止条約に調印しているが、批准(発効)はしていない。イスラエル生物学研究所(Israel Institute for Biological Research、IIBR)において、化学兵器の開発研究が行われたとの疑惑がある。また、1992年のエル・アル航空1862便墜落事故では、サリンの原料となるメチルホスホン酸ジメチル190リットルが墜落現場から発見された。しかし、イスラエル側はこれらの物質は毒物ではなく、防毒フィルターの試験のために使われるものであると主張した。それに加えて、この物質の輸送は何ら秘密ではなく、国際協定に従って積荷目録に記載されていたとも主張した。この積荷は、アメリカ合衆国商務省の許可の下で、アメリカの化学工場からIIBRに輸送される途中であったという。 アメリカ合衆国議会の技術評価局は、1993年に大量破壊兵器の拡散に関するレポートを発表した。そのレポートによると、イスラエルは非公式に、兵器として使用可能な量の化学兵器を所持しているとされている。アメリカエネルギー庁長官であったビル・リチャードソンは、1998年に「イスラエルが長年、化学兵器と生物兵器の両方を製造しているのは疑いえない。それらの物質を所持しているのも疑いようがない」と語っている。
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化学兵器
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「ミャンマー連邦の大量破壊兵器」の記事における「化学兵器」の解説
最初にミャンマーが化学兵器を保有している可能性が公にされたのは、1991年に合衆国海軍情報部部長トーマス・ブルックス少将が合衆国議会に対し行なった証言で、ミャンマーは「化学兵器をおそらく保有している国」のリストに載っていると証言した。 2005年、ベルギーのフォトジャーナリスト「ティエリー・ファリス」は2名のミャンマー軍脱走兵からの取材で、彼らが軍にいた期間に聞いた話では「砲兵らは化学兵器砲弾を扱っていたため特別な防護措置をとっていた」と報じた。また、脱走兵らは、砲兵がマスクと手袋を装着し弾薬を発射したのを見たと証言した。 同じ年に別に、世界キリスト教連帯(Christian Solidarity Worldwide)の医師による「化学兵器による負傷と一致する」反政府カレンニー軍負傷兵を治療したとする報告がある。この世界キリスト教連帯による報告に対し、ミャンマー政府は化学兵器の使用を否定した 。 ミャンマーは1993年に、化学兵器禁止条約に署名をしたが、未だ批准をしていない。
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化学兵器
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「中華人民共和国の大量破壊兵器」の記事における「化学兵器」の解説
中国は1993年1月13日に化学兵器禁止条約に署名した。化学兵器禁止条約は1997年4月25日に批准された。化学兵器禁止機関 (OPCW)に提出された公式宣言において、中国政府は過去に少量の化学兵器を保有していたが、条約の批准以前に化学兵器を破棄したことを申告している。また、中国は、マスタードガスとルイサイトの2種類の化学物質が生産可能な化学製品製造施設は2か所だけであったと申告している 。 中国は冷戦時代の1970年代においてアルバニアに対し化学兵器を供給し、少量の備蓄を行なっていたことが判明している。
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