南条家の住人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 20:25 UTC 版)
南条 忍(なんじょう しのぶ) 声 - 江口拓也 主人公。作中において一人称で物語を語る少年。緑山高校の二年生で一人称は「オレ」。愛称(というか自称)は「しのむん」。祖父が経営する道場で「心月体水南条流」という武術を習い、他流試合において無敗を誇るなど実力も相当なものとなっている。しかし、基本的に荒事は好まず平和的に話し合いでの解決を好む。 傍若無人な性格で、自己中心的な言動が多く、冗談も多いが根は優しい。よくセクハラな言動を見せることがあるが、事故でラッキースケベな目にあったときは相手に謝っている。同時に誤魔化しに走ることも多く「しのむん知らんぷいっ!」と発言することもある。 さらに冗談や誤魔化しの際は「ジゴロっぽい」言動を見せることが多く、ヒロインによって反応はまちまち。呆れられたり、賞賛されたり(大抵は後者で、呆れるのは薫くらい)。周囲からも天然ジゴロと呼ばれている。本人はそれを否定していたが、7巻で薫に指摘され自分が天然ジゴロだと気づき始める。日常の中でもジゴロっぽい冗談が多い。自分のことを「美しい」「ハンサム」といったりすることもある(そのためか本心が分かり辛い。また、作中でも本心が描写されている所はあまり無い)。 容姿は目付きの悪い悪人顔で、「三人ほど殺していそう」「ヤクザ」「ぱっと見殺し屋に見える」など言われており、子供でも容赦なく殴りそうな顔と称されている。笑った顔はかなり怖いようで、後輩の女子たちが悲鳴を上げて逃げてしまったほど。6巻でみーちゃんにはじめて会った時も「人殺し」と言われた。巻を追うごとに「顔の怖さ」が強調されていき、前述の通り微笑んだだけで後輩女子たちが悲鳴を上げて逃げたり、ナンパを環に邪魔されて激怒した男たちを「穏やかな笑み」で説得をしようとしたらやっぱり逃げられている(ナンパされていた女性まで逃げている)。 そのうえ、道場に通い続け、他流試合などで傷だらけになって登校していたため、目付きの悪さも相俟って「不良」と見られてしまい、人を寄せつけなくなっていたことにも関係している。席の近かった浅田と南くらいしか接してくれる学友がいなかった。 その反面、化粧映えする整った顔をしており、女装させられた際は女子生徒たちの人気を一気に獲得した。挿絵では母である巴と非常に似通った顔立ちをしている。 幼少時に妹なずなが交通事故に遭った折、瀕死の彼女を救うために悪魔召喚をしたことがある(藁にもすがる思いで、書店で見つけた写本を元に召喚を行った)。そのときに呼び出されたルナと出会い、なずなを救われる。ルナの抱く悲しみを本能的に察し、「友達になりたい」という思いから再召喚するも、手順を誤ってしまい「悪魔の力を奪うための」儀式を行ってしまった。その際にルナの義父ブラムの怒りにふれ、記憶を封印されてしまった。このことで幼少期の記憶に障害が残り、ルナに出会ったことや幼馴染である南のフルネームを忘れていた。しかし、この時、記憶の封印を経験したためなのか、後の記憶操作でエルニの記憶がなくなった際、唯一、エルニとの記憶を自力で取り戻している。 自分の家系に代々伝わる「心月体水南条流」という格闘技の心得があり、かつては父や祖父への憧れから道場を継ぐ事も考えたが、周りから才能の無さに対して嘲笑を受け、一度は道場に通うのも辞めてしまった。しかし幼少期にルナと出会ったことをきっかけに「ルナを護りたい」という想いを抱くようになり、再び道場で鍛錬を積み始めた。記憶を失ってもその思いは完全に消えず、その甲斐あってか現在では師範代とも五分の勝負ができるほどに強くなった(他流試合において無敗を誇るが、本人は功績に満足しておらず貪欲に力を求めている)。8巻にて道場を継ぐ気が無いないことが判明する。忍曰く「父さんや爺ちゃんみたいな人はオレのように傷だらけにならない。無様に傷を作ったりはしない」と言っている。また、五感も鋭く、目隠しをしてもどこに誰がいるか把握できるほど。環の不意打ちを察知して何度もかわしており、ブラムやマキナの不可視の風の砲弾を感覚だけで防御している。精神力も強靭で、様々なヒロインから過激な誘惑をされても耐えることが出来る程。周りからは単にヘタレだと言われている。 ルナを始めとする多くの女性に好意を向けられているが、全くといって良いほど気づいておらず、周りから白い目で見られることも多い。なお、聖のことは『憧れ』としてまぶしくみており、初期は「さん」付けだったが向こうから名前で呼んで欲しいと言われ、だんだんと接し方も友達のようになっていき気軽に「お前」と呼んだりしている。 実は女子からの人気投票で二位を獲得している(浅田が言うには、メイドのコスプレで一気に人気を獲得したからだという)。一位はバスケット部の佐々木と浅田から聞かされたが、忍本人は興味がないので全然気にしていなかった。 5巻にて、「浸透勁(しんとうけい)」のアレンジ技を体得したと語る。対象の肉体の内部と外部を同時に破壊するため、極めれば熊も倒せるという。更に他流の技も盗んで加えている。 ルナ 声 - 原田ひとみ 忍の布団の中に突然現れた金髪の美女。本作におけるメインヒロイン。「忍の奴隷」。 本名はルナジェナ。その正体は人間から悪魔に生まれ変わった女性。 元々は娼婦の娘で、赤ん坊の頃に満月の頃に教会へ捨てられて孤児となった。「娼婦の娘」としか見られず誰からも愛されない、見向きもされない人生を送っていた。しかし、悪魔ブラムと出会ったことで人間から悪魔へと生まれ変わり、彼の義理の娘として魔界で生きることとなった。ブラム、マキナのことを本当の家族として見て接している。 幼少の忍の事を一途に想っており、その勢いが余って過激な行動に出てしまうことも多い。酔った際にはそれが暴走することも(巴曰く、酔った時は優しいドSに豹変するらしい)。実際酔った時に巴を含む全員が迫られていた。忍に対しては、強引にキスまでしていた。 家事は最初こそぎこちなかったものの、現在では南条家の料理を含む家事全般を任されている。過去に忍が悪魔召喚した際に呼ばれ、事故によって植物人間となったなずなを助けた。エルニが忍に与えた指輪のおかげで「守護霊」として再び忍の元に現れる。だが、義父ブラムはそれを快く思わずルナを無理やり連れ戻そうとするが、忍たちの命がけの説得によってルナは忍のもとにいることを許される。 7巻にて、捨て子ゆえに誕生日のなかったルナに忍たちがこっそり誕生日をつくってくれた。日付は九月十六日。ルナは人間界での名前として「瑠奈」の名と携帯電話を忍からプレゼントされた(作中では「ルナ」のまま変化していない)。コミカライズ版では、このエピソードが最終巻のエピローグに当たる。 その後、原作におけるルナの夢の中で母親の想いが描写された。病魔に冒された母はもう先が長くないことを悟り、ルナを教会へと預けた(娼婦ゆえに断られると思い、捨て子にして置き去りにした)。 最近、忍に対する好意故に大胆な言動に突っ走ることが多い。 スリーサイズは、97・58・89 エルニ 声 - 下田麻美 本名はエルニーニョ。意味は「神の子」。通称マッド・ドッグ。自分のことを「忍の愛人」または「神」と言っている。 見た目は銀髪ツインテールの美少女だが、口を開けばアホだとわかってしまうような言葉ばかりが飛び出す。不思議な力と五行宗吾とも旧知の間柄や何らかの人脈を持つ。ただし、宗吾からは「他人の振り」をされるほど遠ざけられている(ただし、退魔士に関する知識と宗吾との関係は11巻にて断片的に明らかとなる)。 当初はホームレス同然の暮らしをしており、川辺の側でテントを張って生活していたが、空腹で倒れそうになっていたところを忍にホットドッグを恵まれ、一飯の恩として守護霊を呼び寄せるという指輪を与えた。3巻にて嵐でテントが吹き飛ばされ、一旦、忍の家で生活するが、一人で生きるという意志から去ろうとするものの、忍の優しさに触れ、彼の自宅の警備員として共に生活することになる。 10巻のラストで忍に旅へ出ることを伝える。その理由は過去の経験からであり、宗吾とブラムに協力してもらい記憶操作によって、自分と関わったことのある者の記憶を消して姿を消す。しかし、忍だけは何とか思い出したうえに、親しかった人に限っては完全に消えたわけではなかった。そして、ブラムから居場所を聞いた忍と再会。忍に説得され、彼の家族として生きることを決意する。 11巻にて彼女の過去が明らかとなる。ある村で生まれ、アルビノ(銀髪で紅の瞳)を持つ少女であった。そのうち、彼女を神の子と呼ぶようになり、村人は彼女に対して願い事をする(信仰心を持つ)ようになっていった。彼女もそれに応えるべく神に祈りを捧げた。そして、ある日を境に、神の力を宿し、不老不死となったのである。しかし、その代償として、いくつもの死別を経験することになり、そのうえ、村人が減っていくことによって信仰心が薄れた結果、神の力は失われて不老不死の力だけ残った。村人がいなくなってしまったのをきっかけに旅を始める。その過程で、宗吾と出会い、その際退魔士や護符の使い方を教わっている。どれだけの年月を生きているかは不明。 一見すると、お調子者のように見え、本人もそれを否定していないため、周囲からはそういう性格だと思われているが、時には辛辣な言葉を放つ事もある。 ゲームが大好きでヒマさえあれば遊んでいる。特にRPG系が好きな模様。初めはマキナとは相性が悪かったが、次第に仲を深めていくことになる。特になずなとは気が合い、仲がいい。桜井瑞希ともなずなを通じて知り合い、趣味がゲームと共通したこともあるのですぐに仲良くなった様子。家事をしている描写はなかったが、後に一通りのことはそつなくこなせることが判明する。 人の気配に敏感な薫に気づかれず、彼女の寝顔写真を撮影したりとかなり不可思議な面もあり、このことは薫にも驚かれていた。 3巻のあとがきによれば、応募作を書く前のプロット段階ではメインヒロインだった。 コミックス版では偉そうなポーズを取るたびにパンチラするというキャラ付けがされている。 南条 なずな(なんじょう なずな) 声 - 竹達彩奈 忍の妹。愛称は「なずにゃん」。兄と猫が大好きである。よく「にゃあ!」と猫のマネをする。容姿は兄や母とは似ず、稚気の際立った顔立ちでポニーテール。 中学校では空手部に所属しているが、ブラジリアンキックといった足技も体得している。努力型の兄とは違い、天才肌の感覚派のため、技の原理などよく知らないでいる。 忍と稽古した際はあっさりと動きを見抜かれて手玉に取られている。 過去、交通事故により植物人間となってしまうが、忍が呼び出したルナによって救われた。 8巻にて、忍に道場を継がせる為に合気道を辞めていた事が判明する。表向きは「父親から注意を受けた」という理由を話していたが、実際は兄が自分と比較されて蔑まれていたことを申し訳なく思い、大好きだった道場通いをやめることによって、忍に道場を継がせようと考え、なずなの本心は兄を思いやってことだった。 忍もそれを母から聞き、今までずっと隠していた武術に対する自分の思いを打ち明けた。ルナを守りたいと願っていたから続けたこと、かつてルナがなずなを助けてくれたこと、などすべてを打ち明けている。 マキナ 声 - 日笠陽子 2巻から登場。本名は「マキナ・リーベライ・オランジェロ」。忍のクラスの転校生。転校初日に忍の隣の席を奪い取った。髪は赤のロンスグトレートで、父ブラムと同じ琥珀の瞳を持つ。ツンデレでノリツッコミが得意。忍の冗談に悪ノリすることも多い。 実は、ルナの義妹で人間と悪魔の混血児である「半人半魔」。姉との仲はとてもいい。ルナやブラムもオランジェロ姓のはずだが、作中では表記されていない。 人間である母と、悪魔である父ブラムとの間に生まれた混血児。その生まれのため、魔界では差別されて育っており、人間という種族を憎んでいた。当初は人間界に向かったルナを連れ戻すため忍と接触し、精神支配で彼を奴隷にしようともくろんでいた。しかし、忍の強固な精神は揺らぐことがなく、目的を隠したまま忍と一緒にいるうちに敵意が薄れてしまう。だが、病院の患者から生気を吸った行動から、五行ら退魔士たちに狙われてしまう。すべて返り討ちにしているが、死者は出ていない。コミックス版では退魔士たちを破ったことが聖の口から語られており、聖も敗北を喫し酷いダメージを受けていた。そして、半ば無理やり行動に出て、忍から「大切な肉親」を奪うべくなずなを襲撃するが、エルニと忍によって阻まれる。そのまま忍と対決するが攻撃をことごとく破られ、彼の言葉を受け入れて自らの敗北を認めた。その後、今まで優しくしてくれたことや自分を守ってくれたことから、忍のことが好きになり、そのまま、忍の家で生活することになる。 実は幼少期に母親が健在だった頃は人間界で暮らしていたが、酷い田舎だったことから狼に襲われてしまい、友達を守るために「禁止」されていた悪魔の力を使ってしまったことがある。これにより悪魔とバレてしまい、村人たちの手によってブラム不在の折を狙われ母親はマキナを守って殺されてしまった。このことから人間を憎んでおり、似たような境遇を持った義理の姉ルナには好意を寄せていた。 10巻で父ブラムと再会。ブラムから魔界に帰ることを勧告され一旦はそうしようと決心するものの、決闘の末、人間界で生きていくことを決意する。 10巻で生徒会長選挙に立候補。演説の席では「初めはみんなのことが嫌いだった」ことを告げるが、段々とみんなを好きになっていったことなど素直な気持ちを告げ、晴れて生徒会長となる。 普段は人間と変わりない姿をしているが、背中から双翼を生やして飛翔したり、父譲りの風の砲弾を武器とする。 南条 巴(なんじょう ともえ) 声 - 浅川悠 忍の母。忍曰く歳は40以上らしいが、聖に「忍の姉」と間違われるほどに若々しい顔立ちをしている。性格は息子以上の傲岸不遜ですぐに手が出る性格。薫に抱きついてイタズラしたりすることからややレズっ気もある様子。 なずなを可愛がる一方で、忍のことは男として信用していない節があり、容赦なく蹴ったり、顔面に膝蹴りを食らわせたりと息子に対する扱いはひどいが(原因は忍にあるが)、本心では優しく強い心の持ち主である忍を誇りに思っている。容姿も性格も忍に似ている。 忍の描写によれば彼女もまた「心月体水南条流」の使い手の模様忍にとって「気配を感じさせずオレの背後に回れる二人のうち一人」。もう一人は薫である。 2巻以降では暴力的な振る舞いはなりを潜め、忍の無礼に対しても睨みつける程度のものとなった。南条家で一番偉い人物だと思われがちだが、当人は「ルナ様が一番よ」と語っている。酔ったルナになにかされたらしいが、それ以上はなにも語らない。 7巻ではルナの生い立ちの断片を知り、「ずっとウチにいていいからね」と涙していた。対照にふざけてばかりのエルニには叩いたり、お小遣いカットしたりなどお仕置きしている。エルニが唯一頭の上がらない人物でもある。特に薫に対しては胸を触ったりとかなりのセクハラを行っている(体術に優れた薫でも彼女から逃げられず「何者ですか!?」と驚愕されている)。
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