モンゴル国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 10:09 UTC 版)
地理
東アジアの北西部に位置し、西には標高4,300メートルのアルタイ山脈と標高3,500メートルのハンガイ山脈がそびえ、東には1,000 - 1,500メートルの高原が広がり、北東には針葉樹林が広がる。あとの国土は高山砂漠とステップの植生が南の海抜平均1,000メートルのゴビ砂漠まで続いている。国土の5分の4を占める草原ステップは牧草地に使用されている。重要な河川はバイカル湖にそそぐセレンゲ川と、アムール川を経てオホーツク海(太平洋)にそそぐヘルレン川がある。
近年、国土の90%で砂漠化が進行[15]、6万9,000平方キロメートルの牧草地帯が姿を消した。モンゴルで見られた植物種のうち75%が絶滅、森林伐採により川の水位は半減、北方の森林地帯を中心に3,800の河川と3,500の湖があったが、2000年以降、約850の河川と約1,000の湖が地図上から完全に姿を消している。
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モンゴルの草原
気候
国土の大部分はケッペンの気候区分の亜寒帯冬季少雨気候(Dw)、ステップ気候(BS)、砂漠気候(BW)に属する。
地方行政区画
日本の県にあたるアイマク(аймаг, aimag)が21設置されており、県には郡にあたるソム(сум, sum)が347、さらにその下に村にあたる1681のバグ(баг, bag)が属する。各ソムの人口は3,000人ほどで、バグは50 - 100家族ほどで構成されている(2001年のアジア開発銀行資料より)。世界的に見ても都市への人口集中が高い国である。
- ウランバートル市 (Улаанбаатар хот, Ulaanbaatar hot)
- オルホン県(Орхон, Orhon)
- ダルハン・オール県(Дархан-Уул, Darhan-Uul)
- ヘンティー県(Хэнтий, Hentiy)
- フブスグル県(Хөвсгөл, Hövsgöl)
- ホブド県(Ховд, Hovd)
- オブス県(Увс, Uvs)
- トゥブ県(Төв, Töv)
- セレンゲ県(Сэлэнгэ, Selenge)
- スフバータル県(Сүхбаатар, Sühbaatar)
- ウムヌゴビ県(Өмнөговь, Ömnögovĭ)
- ウブルハンガイ県(Өвөрхангай, Övörhangay)
- ザブハン県(Завхан, Zavhan)
- ドンドゴビ県(Дундговь, Dundgovĭ)
- ドルノド県(Дорнод, Dornod)
- ドルノゴビ県(Дорноговь, Dornogovĭ)
- ゴビスンベル県(Говьсүмбэр, Govĭsümber)
- ゴビ・アルタイ県(Говь-Алтай, Govĭ-Altay)
- ボルガン県(Булган, Bulgan)
- バヤンホンゴル県(Баянхонгор, Bayanhongor)
- バヤン・ウルギー県(Баян-Өлгий, Bayan-Ölgiy)
- アルハンガイ県(Архангай, Arhangay)
主要都市
都市 | 行政区分 | 人口 | 都市 | 行政区分 | 人口 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ウランバートル | ウランバートル |
1,008,738人 |
2 | エルデネト | オルホン県 |
86,866人 | ||
3 | ダルハン市 | ダルハン・オール県 |
74,300人 |
4 | チョイバルサン市 | ドルノド県 |
38,150人 | ||
5 | ムルン | フブスグル県 |
36,082人 |
6 | ナライフ | ウランバートル |
29,115人 | ||
7 | ホブド | ホブド県 |
28,601人 |
8 | ウルギー | バヤン・ウルギー県 |
27,855人 | ||
9 | バヤンホンゴル | バヤンホンゴル県 |
26,252人 |
10 | バガヌール | ウランバートル |
25,877人 | ||
2008年推計 |
経済
IMFの統計によると、2018年のモンゴルのGDPは約130億ドル。一人あたりのGDPは4,041ドルで、世界平均のおよそ40パーセントの水準である[16]。
2011年の調査では、1日2ドル未満で暮らす貧困層は115万人と推計されており、国民の40パーセント以上を占めている[17]。首都ウランバートルでは、地下で暮らすストリートチルドレン(マンホールチルドレン)もいる[18]。
2014年で主な輸出相手国は中華人民共和国で輸出の95.3パーセントを占め[19]、主な輸入相手国は中国が41.5パーセント、ロシアが27.4パーセント、韓国が6.5パーセント、日本が6.1パーセントとなっている[20]。
産業
内陸国ではあるが、便宜置籍船の手数料を取るビジネスも盛んであり、約400隻を超える船舶が認められている。
鉱業
地下資源が豊富であり、世界銀行によると、2004年以降、280億ドル相当の鉱物を算出した。中国やオーストラリア、カナダの企業も進出し、金や銀、銅、石炭などを採掘している。レアアースやウランを含めた鉱床の価値は2兆7500億ドルと推定されている。だが鉱業による収入は年金生活者の債務返済など放漫財政や汚職、政争を生みだしており、「資源の呪い」に陥りつつあるとの指摘もある[21]。
このほかモリブデンは世界屈指の埋蔵量を持っている。エルデネト鉱業は社会主義時代からモンゴル国内最大の企業である。そして近年では、豊富な天然資源、とりわけオユトルゴイ鉱山を目的に外資系が活発になってきている。しかしながら、政治的安定性がいまだに構築されておらず、政権が変わる度に政策方針が二転三転することで、外国の投資家に警戒感を持たせている。
鉱物資源に恵まれるが多くはそのまま輸出され、国内で付加価値を生む産業振興や技術者の育成が長年の課題である[14]。
畜産業
ヒツジ1,168.6万頭、ヤギ1,223.8万頭、ウシ184.2万頭、ウマ200.5万頭、ラクダ25.7万頭を飼育し(2004年統計)、牧草地の広さは国土の約80パーセントである。畜産は、そのほとんどが遊牧で行われている。農業は、社会主義時代は土を掘ることを忌避する風習が改められ、食糧自給できたものの、市場経済化で穀物生産は落ち込み、現在は中国やロシアからの輸入が多い[22]。
その他の産業
農業
モンゴルで生産される作物には、トウモロコシ、小麦、大麦、ジャガイモなどがある。しかしモンゴル国は厳しい気候のため、ほとんどの青果物栽培には適しておらず、遊牧民の畜産業に重点を置かれた侭となっている。
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エネルギー
モンゴルの主な電源は火力発電であり、現在稼働している7つの発電所で電力に変換されている。
- ^ a b “UNdata”. 国連. 2021年10月26日閲覧。
- ^ a b c d e “World Economic Outlook Database” (英語). IMF. 2021年10月26日閲覧。
- ^ “Mongolia”. Britannica. 2017年12月28日閲覧。
- ^ a b c d 中山隆志 陸自58(防2) (2008-03), 第12回近現代史研究会報告 満ソ(蒙)国境紛争, 『偕行』, 平成20年3月号, 偕行社, pp. 22-28, doi:10.11501/11435769
- ^ 二木博史等訳・田中克彦監修『モンゴル史』2、恒文社、1988年「日本帝国主義へのモンゴル人民共和国の参加(1945年)」〔地図11〕
- ^ 台湾外交部檔案『中蒙関係』12-16頁。中央研究院近代史図書館檔号112.1/1
- ^ 『蒋介石日記』1945年10月12日
- ^ モリス・ロッサビ著 小長谷有紀監訳 小林志歩訳『現代モンゴル 迷走するグローバリゼーション』(明石書店 2007年7月31日初版第1刷)p.72
- ^ 日本外務省 (2023年2月2日). “モンゴル基礎データ 外交・国防”. 2023年8月11日閲覧。
- ^ “永世中立に関する政令が無効化”. モンゴルの声. (2020年7月2日) 2021年1月22日閲覧。
- ^ 姫田小夏 (2011年11月29日). “モンゴルでますます高まる嫌中ムード 「やりたい放題」に資源を獲得し、土地の不法占拠も”. JBpress (日本ビジネスプレス). オリジナルの2020年12月2日時点におけるアーカイブ。
- ^ 駐日モンゴル大使館 日本国民のモンゴル国の査証申請
- ^ 社会実情データ図録大相撲外国出身力士の人数
- ^ a b c d e “モンゴルの高専卒エンジニア、発祥の地・日本で奮闘中”. 朝日新聞. (2021年4月3日). オリジナルの2021年4月3日時点におけるアーカイブ。
- ^ モンゴル国土の80%が砂漠化傾向 モンゴル・日本人材開発センター(2016年9月22日)2020年2月15日閲覧
- ^ “World Economic Outlook Database, October 2014” (英語). IMF (2014年10月). 2014年10月12日閲覧。
- ^ アジア開発銀行の貧困人口統計 Archived 2015年3月18日, at the Wayback Machine.
- ^ 「取材20年、モンゴルのマンホール暮らしの少年たち」朝日新聞デジタル(2019年4月26日)2021年11月3日閲覧
- ^ “Export Partners of Mongolia”. CIA World Factbook (2014年). 2016年3月1日閲覧。
- ^ “Import Partners of Mongolia”. CIA World Factbook (2014年). 2016年3月1日閲覧。
- ^ 【NIKKEI Asia】莫大な鉱業収入の政治利用が常態化 モンゴルに迫る「資源の呪い」『日本経済新聞』朝刊2021年10月24日グローバルアイ面
- ^ ARDEC
- ^ Agency, Japan Science and Technology. “相馬 拓也 (Takuya Soma) - モンゴル西部バヤン・ウルギー県サグサイ村における移動牧畜の現状と課題 - 論文 - researchmap”. researchmap.jp. 2021年10月17日閲覧。
- ^ “Mongolia abandons Soviet past by restoring alphabet | World | The Times”. 2020年1月28日閲覧。
- ^ “"2020 Population and Housing Census" (PDF).”. National Statistics Office of Mongolia. 2022年1月28日閲覧。
- ^ “モンゴル 安全対策基礎データ”. 外務省. 2022年1月28日閲覧。
- ^ Mongolian Horse Culture & Horsemanship — Mongolia Tours & Travel 2023/2024
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