障害者郵便制度悪用事件 刑事裁判

障害者郵便制度悪用事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/07 00:34 UTC 版)

刑事裁判

障害者団体関係者

凛の会元会長・倉沢邦夫
郵便法違反の罪と虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われる。郵便法違反の起訴内容は認めたが、虚偽有印公文書作成については、「証明書の作成過程を知らなかった」と否認。2010年4月27日、大阪地裁で虚偽有印公文書作成・同行使罪については無罪、郵便法違反で540万円の罰金。そのため、大阪地検が、同年5月10日に、無罪とした判決について大阪高等裁判所に控訴。検察側は訴因変更を申し立てたが高裁は却下。2011年2月25日、控訴棄却で一審支持。2011年3月、大阪高検は上告を断念。
凛の会会長
郵便法違反の罪に問われ、起訴事実を認めた。第1審では、懲役1年、執行猶予3年、罰金3240万円の判決。2010年3月17日に、大阪高裁において、懲役1年、執行猶予3年、罰金3210万円の判決(罰金の減額は、一部併合罪とした第1審判決には法令適用の誤りがあり、包括一罪であるとしたため)。2010年6月24日に最高裁判所が被告人の上告を棄却する決定をし、同年7月4日に大阪高裁の控訴審判決が確定。
凛の会発起人(元会員)河野克史
郵便法違反の罪と虚偽有印公文書偽造・同行使罪に問われる。大阪地裁での第1審では、起訴事実を認め、供述調書の証拠採用も争わなかった。そのため、検察官主張のとおり事実が認められ、2010年5月11日に、懲役1年6月、偽証明書没収、執行猶予3年の有罪判決となった。しかし、判決後一転して、事実と異なるとして大阪高裁に控訴。村木元局長が無罪となったことから、検察側は当初の起訴容疑だった虚偽有印公文書作成・同行使罪から有印公文書偽造罪及び同行使罪に訴因変更を申し立て、認められた。2012年3月22日、無罪判決。高検が上告を断念したため確定。
健康フォーラム元代表
郵便法違反の罪に問われ、2009年8月26日に、大阪地裁で罰金1650万円の判決。

厚生労働省

雇用均等・児童家庭局長(当時障害保健福祉部企画課長)・村木厚子
虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われたが、捜査段階から全面否認。2010年6月に、検察官の論告、弁護人の弁論がなされ、検察官は1年6月の懲役を求刑する一方、弁護人は無罪を主張して結審した。裁判中、証人が供述調書を否定するなど、関係者のアリバイの裏付け捜査のずさんさが発覚し、裁判所は、供述調書のほとんどを証拠書類として不採用とする決定をした。2010年9月10日に、虚偽の証明書作成指示は認められないとして無罪判決が言い渡された。検察側は上訴権を放棄し、確定判決。なお、上村の有罪確定後、上司としての責任を問われ、厚生労働省から訓告の懲戒処分を受けている。
当時障害保健福祉部企画課施設管理室予算係係長・上村勉
有印公文書偽造罪・同行使罪に問われる。虚偽の証明書を作成した事実は認めたが、捜査段階の供述とは異なり、独断の行為として村木元局長の指示・共謀を否定した。村木元局長が無罪となったことから、検察側は当初の起訴容疑だった虚偽有印公文書作成・同行使罪から有印公文書偽造罪及び同行使罪への訴因変更を申し立て、認められた。検察官は懲役1年6月を求刑する一方、弁護人免訴または公訴棄却を求めて結審。2012年1月23日に懲役1年執行猶予3年の有罪判決が言い渡された。被告・検察側ともに控訴せず、確定。執行猶予付きの懲役刑が確定したことで、国家公務員法に基づき、2012年2月7日に失職。

DM代理店関係者

広告代理店・博報堂エルグ執行役員
郵便法違反の罪に問われ、起訴事実を認め、2009年8月7日に、大阪簡裁で罰金600万円の判決。
広告代理店・ペン株式会社 社長
郵便法違反の罪に問われ、2009年6月26日、大阪簡裁に在宅起訴。
印刷・通販会社・ウイルコ元会長(当時会長)
郵便法違反の罪に問われ、2009年5月6日・5月28日・6月26日に、大阪地裁に起訴・追起訴。違法性の意識を否認し、前田元検事作成の検察官面前調書の任意性を争ったために、公判前整理手続が2年間と長期化。2011年10月13日に大阪地裁で罰金4980万円の判決[41]
印刷・通販会社・ウイルコ元執行役員(当時執行役員)
郵便法違反の罪に問われ、2009年5月6日に、大阪地裁に起訴。違法性の意識を否認し、前田元検事作成の検察官面前調書の任意性を争ったために、公判前整理手続きが2年間と長期化。2011年10月13日に大阪地裁で罰金150万円の判決[41]
広告代理店・新生企業(法人)
郵便法違反の罪に問われ、2010年11月30日に、大阪地裁が罰金1000万円の有罪判決。大阪高裁に即日控訴するも、2011年7月15日に控訴棄却判決[40]
広告代理店・新生企業(現・伸正)社長
郵便法違反、覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反の罪に問われ、2009年3月18日・6月26日に、大阪地裁に起訴・追起訴。2010年11月30日に、懲役2年6月執行猶予5年・罰金6000万円の有罪判決。大阪高裁に控訴するも、2011年7月15日に控訴棄却判決[40]
広告代理店・新生企業元取締役
郵便法違反の罪に問われ、2009年3月18日・6月26日に、大阪地裁に起訴・追起訴。2010年11月30日に、懲役1年2月・罰金6000万円、懲役については執行猶予5年の有罪判決。大阪高裁に控訴するも、2011年7月15日に控訴棄却判決[40]

DM発行会社関係者

大手家電量販会社・ベスト電器元販売促進部長
郵便法違反の罪に問われ、起訴事実を認め、2009年8月7日に、大阪簡裁で罰金300万円の判決。
健康食品通販会社・キューサイ取締役営業本部長
郵便法違反の罪に問われ、事実を認めて略式起訴となり、2009年6月8日に、大阪簡裁で90万円の略式命令
紳士服販売会社・フタタ営業企画部長
郵便法違反の罪に問われ、事実を認めて略式起訴となり、2009年6月26日に、大阪簡裁で100万円の略式命令。
紙製品販売会社・伊藤忠紙パルプ九州支店長
郵便法違反の罪に問われ、事実を認めて略式起訴となり、2009年6月26日に、大阪簡裁で100万円の略式命令。

郵便事業株式会社関係者

新大阪支店長
郵便法違反の罪に問われ、事実を認めて略式起訴となり、2009年6月8日に、大阪簡裁で100万円の略式命令。
新東京支店総務主任
郵便法違反の罪に問われ、事実を認めて略式起訴となり、2009年6月8日に、大阪簡裁で70万円の略式命令。

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