請負 請負の概要

請負

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/14 23:00 UTC 版)

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  • 日本の民法は、以下で条数のみ記載する。

概説

請負の意義

請負は請負人がある仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを内容とする契約である(632条)。

請負は雇用委任などと同様に労務供給契約の一種であるが、請負においては、ある仕事を完成することを目的とし、そのための手段として労務の供給がなされる点で雇用や委任と異なる[1][2]。また、委任において委任者が報酬を受け取るためには特約が必要であるが(648条1項)、請負における請負人には当然に報酬が認められる(632条)。

仕事の内容は有形的(建物建設など)なものに限らず無形的(講演や演奏など)なものであってもよい[3][2]

請負の性質

請負契約の法的性質は諾成・有償・双務契約である。

  • 諾成契約
    請負は当事者間の合意のみによって成立する。建設業法19条は建設工事請負契約につき一定の重要事項を記載した書面の交付を要求するが、これは紛争の防止を目的とするもので私法上の成立要件ではない[1][4][5]
  • 有償契約
    通常、報酬には金銭が約定されるが、民法上において制限はなく報酬は金銭でなくてもよい[4][6]。報酬は後払いを原則とする[1]
  • 双務契約
    仕事完成義務は報酬の支払いとの関係では先履行義務であり同時履行の関係にない[4]。報酬の支払いは仕事の目的物の引渡しと同時履行の関係にある(633条本文)。

製造物供給契約

相手方の注文に応じた目的物を自己の材料で製作して相手方に供給し、それに対して相手方が報酬を支払う契約を製作物供給契約という。請負と売買との混合契約であるとされ(通説)、民法上、製作段階については請負、供給段階については売買の規定を適用すべきとされる(通説)[7][6]。なお、請負と売買は2017年改正前の民法では担保責任等に違いがあったが、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で請負にも売買の契約不適合責任が準用されることとなった(559条)[8]

請負の成立

請負は諾成契約であり契約書の作成は不要である(632条[9][5]。先述の通り、建設業法19条は建設工事の請負契約の締結において一定の重要事項を記載した書面の交付を規定しているが、これは事後の紛争の防止を趣旨としており請負契約の有効要件ではない[4][5]

現代においては建設請負契約が重要な意義を有するが、官公庁公社公団発注の請負には「公共工事標準請負約款」(中央建設業審議会)、民間業者発注の請負には「民間連合協定工事請負契約約款」(旧・四会連合協定工事請負契約約款。日本建築学会・日本建築学協会・日本建築協会・全国建設業協会・建築業協会日本建築士連合会日本建築士事務所協会連合会)が定められており、この分野では民法の規定は一定の修正を受けている[1][10][11]




  1. ^ a b c d e 内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、271頁
  2. ^ a b 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、209頁
  3. ^ 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、287頁
  4. ^ a b c d e 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、290頁
  5. ^ a b c 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、211頁
  6. ^ a b 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、210頁
  7. ^ 内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、274-275頁
  8. ^ a b すっきり早わかり 債権法改正のポイントと学び方 (PDF)”. 東京弁護士会. 2020年4月1日閲覧。
  9. ^ 近江幸治著 『民法講義Ⅴ 契約法 第3版』 成文堂、2006年10月、246頁
  10. ^ a b 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、288頁
  11. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、209-210-211頁
  12. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、209・213頁
  13. ^ 近江幸治著 『民法講義Ⅴ 契約法 第3版』 成文堂、2006年10月、247-248頁
  14. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、209-210頁
  15. ^ b:建設業法別表第一に掲げる建設工事については、一括して他人に請け負わせること(一括下請負)は、建設業法第22条により原則禁止されている。
  16. ^ a b c d 近江幸治著 『民法講義Ⅴ 契約法 第3版』 成文堂、2006年10月、247頁
  17. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、209-210・213頁
  18. ^ a b c 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、212頁
  19. ^ 内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、287-288頁
  20. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、209-210・213頁
  21. ^ 内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、287頁
  22. ^ a b 内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、288頁
  23. ^ a b 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、213頁
  24. ^ a b 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、289頁
  25. ^ 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、291-292頁
  26. ^ 近江幸治著 『民法講義Ⅴ 契約法 第3版』 成文堂、2006年10月、248頁
  27. ^ a b c d e f g h i j k l m n 民法(債権法)改正で実務はどう変わる? 2 (PDF)”. 大和総研. 2020年3月14日閲覧。
  28. ^ 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、293頁
  29. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、218-219頁
  30. ^ 建設会社から見た民法改正のポイント (PDF)”. 日本建設業連合会. 2020年3月14日閲覧。
  31. ^ a b c 改正債権法の要点解説(9) (PDF)”. LM法律事務所. 2020年3月14日閲覧。
  32. ^ a b 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、223頁
  33. ^ 近江幸治著 『民法講義Ⅴ 契約法 第3版』 成文堂、2006年10月、259頁
  34. ^ 川島 武宜・渡辺洋三著 『土建請負契約論』 日本評論社、1950年
  35. ^ 遠藤浩・原島重義・水本浩・川井健・広中俊雄・山本進一著 『民法6 契約各論 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1997年4月、218頁
  36. ^ 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、295頁


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