発電
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/17 01:14 UTC 版)
概説
発電とは、電力以外のエネルギーを電力へ変換することである。発電の種類としては、例えば、水力発電、風力発電、太陽光発電、地熱発電、火力発電、原子力発電などがある。
原理としては、機械エネルギー[2](運動エネルギー)を電磁誘導を用いて電力に変換するもの(発電機)だけでなく、化学変化のエネルギーを利用したもの(電池)、光起電力効果によるもの(太陽電池によるもの)、ゼーベック効果によるもの(熱電素子によるもの)、圧電素子によるもの、モノとモノをこすることによって生じる静電気を利用するものなどがある。
発電は、発電所で行われているだけでなく、家庭や企業などでもしばしば行われる(自家発電)[注釈 1]。また、夜間に前照灯をつけて自転車で走る時は、乾電池式や充電式でなければ、人がペダルを踏む力でダイナモを動かして発電し、電球を点灯することも過去には多く、また、オートバイや自動車で走行する時は、オルタネーターで発電し、電装品等を働かせるために使用している。最近実用化されはじめた燃料電池車では燃料電池で発電し、電動機を動かし走る。
発電の種類
※ 構想・実験・研究段階であり、実用化に至っていないものもある。
発電機による発電
発電機は電磁誘導によって運動エネルギーを電力に変換する装置である。具体的にはコイルに対して磁石を回転させることで電気を発生させる。動力を何から得るかによって以下のように様々な種類がある。
- 火力発電:燃料の持つ化学エネルギーを燃焼により熱に変換し、さらに運動エネルギーに変換する発電。熱を得る方法、熱から運動を得る方法によりさらに細分される。
- 原子力発電:核反応により熱エネルギーを得る発電。運動エネルギーへの変換は、通常は蒸気タービンを用いる。
- 核融合発電:原子核の融合によってエネルギーを得る発電。
- 水力発電:水の位置エネルギー及び運動エネルギーによる発電。
- 地熱発電:地熱により熱エネルギーを得る発電。
- 太陽熱発電:太陽光の熱エネルギーによる発電。太陽光を直接電気に変える太陽光発電とは別。
- 風力発電:風の運動エネルギーによる発電。
- 波力発電:波の運動エネルギーによる発電。
- 海流発電:海流の運動エネルギーによる発電。潮流発電ともいう。
- 潮力発電:潮の干満の運動エネルギーによる発電。潮汐発電ともいう。
- 炉頂圧発電:高炉の高圧ガスでタービンを回す発電。
- 冷熱発電:液化天然ガス (LNG) の冷熱を利用し、中間熱媒体を液化、循環させる方法と、気化した高圧ガスで直接タービンを動かす方法がある。主に LNG の受け入れ基地などで用いられる。
- 海洋温度差発電:海面の温水と深海の冷水の温度差を利用してタービンを回す発電。
- 人力発電:人間を動力源とする発電。燃料や電池の補給が難しい局面で重宝される。
運動以外のエネルギーを電力に変換する発電
運動以外のエネルギーを電力に変換する発電には以下のようなものがある。
- 燃料電池発電:化学エネルギーを電力に変換する発電。固体高分子形では触媒用の白金が非常に高価である一方、耐用年数が7 - 8年程度と寿命は短い。
- 太陽光発電:太陽光を利用して、太陽電池で電力を得る発電。自然エネルギーなので燃料を購入する必要がない。
- 宇宙太陽光発電:宇宙空間で太陽光発電を行い、それによって得た電力を地上に送る。現在多くの課題について討論中。
- MHD発電:ファラデーの法則に基づきプラズマなどを用いて発電する。
- 熱電発電:温泉水と河川水などの温度差を利用して熱電変換素子により発電する。
- ラジオアイソトープ発電:熱源に放射性同位体を使用。
- 振動発電:圧電素子と振動板を組み合わせることにより、音や振動のエネルギーを電気エネルギーに変換する発電。
- 爆薬発電:爆薬の爆発を電気エネルギーに変換する発電。実験用もしくは軍事用。
- 熱光起電力発電
発電の原理
電磁誘導
発電機は前述のように電磁誘導により電力を生む。電磁誘導による発電は、磁力線を導体が横切ることによって起こる現象であり、得られる出力は以下のように表される。
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ゼーベック効果
電池のうち「物理電池」、その中でも「熱電池」と呼ばれる種類の電池はゼーベック効果により電力を生む。ゼーベック効果は、2種以上の物体の接触点の温度差によって生じるもので、反応によって生じた電極間の電圧を出力として取り出す。2 種の物体を用いた場合のこの出力は、単純には以下の式のように表される。
e は起電力 (V)、S A と S B はそれぞれ物体 A, B のゼーベック係数、T 1 と T 2 は 2 つの接点の温度 (K) である。
その他
- 原子力電池のうち実用化されているものは、放射性崩壊により発生する熱をゼーベック効果により電気に変換するものなどで、上記を参照のこと。理論上は放射性崩壊によるエネルギーが直接電子を放出させる「熱イオン変換方式」もあるが実用化はされていない。
- 静電気に関連する静電誘導、誘電分極、焦電効果、圧電効果などもあるが、起電力の保持時間が極端に短いため専らセンサやスイッチ等の素子として用いられ、発電を目的として用いられることはほとんどない。雷はその過大な電圧と瞬時性から電力源としての利用は疑問視されている。ただ、比較的低電圧の大気電位をコンデンサ(キャパシタ)と併せて電力源として利用する大気電流発電は研究が行われている。
注釈
出典
- ^ 第2版, 百科事典マイペディア,デジタル大辞泉,精選版 日本国語大辞典,世界大百科事典. “発電とは”. コトバンク. 2021年5月28日閲覧。
- ^ ブリタニカ国際大百科事典「発電機」に「機械エネルギー」とある。
- ^ “電源構成とは”. デジタル大辞泉. コトバンク. 2022年11月28日閲覧。
- ^ IEA/OECD IEA Statistics/Electricity and Heat by country
- ^ “Field Listing Electricity generation sources”. THE WORLD FACT BOOK. アメリカ合衆国中央情報局 (CIA). 2022年11月28日閲覧。
- ^ “Field Listing Electricity”. THE WORLD FACTBOOK. アメリカ合衆国中央情報局 (CIA). 2022年11月28日閲覧。
- ^ 世界の電気魚
- ^ ブラックゴースト・熱帯魚カタログ
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