日本国旅券
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/12 02:13 UTC 版)
一般旅券の申請
旅券は、原則として住民票を有する都道府県の旅券窓口(パスポートセンター)で申請する。
2006年(平成18年)以降は、旅券発給業務の市町村への移譲に伴い、地域の市役所・町村役場等が窓口になっている自治体もある(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、岐阜県、静岡県、岡山県、広島県、愛媛県、佐賀県、熊本県など)[16]。在外日本人が海外から一時帰国中など、日本国内に住所のない者については、一時滞在地での申請が認められるなどの例外がある。申請手続の正確な情報については、当該窓口に問い合わせるか、外務省の公式サイトや各自治体のパスポート関係の情報を確認のこと。
一般に、国内窓口での初申請において必要とされる書類等としては以下のものがある。
- 申請用紙 - 窓口、支庁、市・区役所・町村役場等に用意してある。2009年(平成21年)6月に申請書が改正され新様式となり、非ヘボン式・別名併記や外国式の名前を希望する場合の「非ヘボン式ローマ字氏名表記等申出書」の提出が不要になった[17][18]。旅券窓口によっては、在庫がある場合は旧様式の申請書も使用している。
- 身分を証明する文書(運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)等。種類は「旅券法施行規則別表第二」により、厳格に定められている。)
- 戸籍謄本・戸籍抄本(戸籍が電子データ化されている市町村では、戸籍全部事項証明書または戸籍個人事項証明書)
- 住民票の写しについては、不要である[19]。住民票が必要な場合、宮城県など、本籍地の記載を求められる場合もある。ただし、住民基本台帳ネットワークシステムに接続されていても利用を希望しない(拒否する)場合や、住基ネットへの接続拒否している個人、日本国外生まれで住基ネットに一度も載っていない人物は必要。
- 旅券用の証明写真 - 縦4.5cm 横3.5cm であるが、写っている顔の大きさや余白や背景に制限があるので、自前で撮影やプリントする際には注意すること。眼鏡を使用している場合、かけたままでも構わないが、光がレンズに反射する場合等は不可である。※2006年(平成18年)3月20日以降の申請から、バイオメトリック・パスポート発給開始に伴い、申請用写真の規格が変更された。
- 印章 - 書類への押捺を済ませていても、記載事項訂正(訂正印押捺)を要する場合に備えて認印(身分証明を印鑑証明で行なう場合は登録印章)を持参する。
なお、2009年(平成21年)3月1日以降の申請から、それまで必要だったはがきは不要となった。以前は、未使用のはがきに、宛先として住民票記載の住所及び氏名を記載したものが必要だった(家族が同時申請する場合ははがきは1枚で良かった)。発給準備が整うとこのはがきが通知として使われ、申請者はそのはがきを持参・提出して受け取る事になっていた。
申請については、本人以外でも、同居親族等本人が指定する者が代行できる。ただし、前もって申請書を入手し、指定箇所にパスポートに転写する本人の署名が必要。文字の記載が不可能な乳児の場合は、代筆者の署名も必要である。なお、受け取りは代行が不可能で、本人が必ず出向かなければならない。なお、申請時において未成年者(18歳未満)の申請については、親権者の同意が必要となる。
以下のようなケースでは、必要書類が異なるために確認する必要がある。
- 国外(在外公館)で申請する場合。
- ページの残りが足りなくなった場合(増補 - 1回しか認められず、追加料金が必要。2回目からは新規発給となる)。
- 上記の場合は、住民票のある都道府県の旅券事務所に「一般旅券査証欄増補申請書」を提出する。40ページからなる増補(すべて査証用ページ)が末尾に挿入・編綴される。外国渡航の機会が多いビジネスマンなどに需要がある。
- この増補は、旅券の使用途中に行い得るだけでなく、新規発給の際に同時に手数料を上乗せし申請する(つまり最初から40ページ多い状態で発給を受ける)ことも可能である。
- 有効期限が1年前の旅券が手元にあり、新規発行する場合は、本人確認書類は不要だが、それまで発行されていた旅券の有効期限を算入することは出来ない(ただし、残存有効期間が短いと、渡航先で査証免除での入国が出来ない)。
なお、旅券の申請についても、インターネットにおける電子申請制度が導入されたことがあった。しかし、2005年(平成17年)度の利用が103件に留まり、財務省の予算執行調査で1件あたりの経費が1,600万円程度かかっていることなどが指摘され[20]、2006年(平成18年)に廃止された。2022年(令和4年)4月20日、旅券の電子申請の実施を内容とする「旅券法の一部を改正する法律」が成立し、2023年(令和5年)3月27日から、旅券の残りの有効期間が1年未満で、旅券の記載事項を変更しない、いわゆる切替申請の場合には、電子申請も再び可能となる。
旅券法改正により、2006年(平成18年)以降、旅券発給業務が市町村でも可能になり、関係条例および準備が整った自治体では、住民票のある市町村役場で申請・受領を行う[21]。指定された市町村の住民については、都道府県による窓口が廃止され、市町村役場の窓口での手続きとなる[22][23]。
土曜日及び日曜日も開放している窓口があるが、ほとんどは受領のみで、申請はできない。ただし、和歌山県では2010年(平成22年)より都道府県レベルでは初めて日曜日の申請を受け付けている[24]。なお、前記した旅券発給業務の市町村委譲によって、一部の市町村の住民は、土曜日・日曜日の旅券受領が出来無くなり、サービス低下につながっている側面もある。
受領
申請は親族・旅行業者などによる代行申請が広く認められているが、受領に関しては(なりすましによる不正受領防止などの観点から)例え乳児や幼児など0歳児であっても、申請者本人が直接窓口に出向き、対面で手交・受領することが必要である。
旅券の受取りに必要な書類は次の通り。
- 一般旅券受領書 - 申請受理時に都道府県庁の窓口において申請者(代行者含む)に交付
- 所定の手数料 - 成人(18歳以上)のみの10年用は16,000円、5年用は申請時の年齢が12歳以上は11,000円、12歳未満は6,000円
- 本人確認書類(運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)等身分証明書)
10年有効の旅券に対する申請手数料費用である『16,000円』について、収入印紙4,000円及び都道府県収入証紙2,000円の『6,000円』を含めた、1年間1,000円、10年で1万円(5年有効で5,000円)が掛かる、諸外国・地域での在外日本人保護に掛かる費用の算定方法や妥当性について、2016年(平成28年)秋の行政事業レビューにて[25]、11月12日に外務省へ「どんな費用が掛かっているのか、国民に情報公開する様」説明を求める有識者の意見が相次いだ[26]。
旅券は、発行の日から6か月以内に受領しないと失効する(民法140条の規定により発行当日不算入、例:3月1日発行→8月31日まで、4月19日発行→10月18日まで)。その後、改めて発行を希望する場合は、再び新規発給申請の手続きをとる。前回受け取った申請受領書の提出を要求されることがあるが、必ずしも必要ではない。
注釈
- ^ 7 April 1866 in the Old Style lunisolar calendar.
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l “旅券の変遷と最近の動向(海外渡航文書150周年に際して)” (PDF). 外務省 (2016年6月). 2016年8月13日閲覧。
- ^ “Council of the European Union - PRADO - JPN-AO-02002”. www.consilium.europa.eu. 2018年1月28日閲覧。
- ^ “Council of the European Union - PRADO - JPN-AO-02003”. www.consilium.europa.eu. 2018年1月28日閲覧。
- ^ “2020年旅券の申請受付開始について”. 2022年10月24日閲覧。
- ^ “New Japanese passports featuring ukiyo-e by Katsushika Hokusai to be issued from this month” (2020年2月3日). 2022年10月24日閲覧。
- ^ “パスポートの申請から受領まで(初めてパスポートを申請するとき等の例)”. 外務省. 2022年10月24日閲覧。
- ^ “Global Ranking”. Henley & Partners Holdings Ltd.. 2023年1月12日閲覧。
- ^ “【2024年最新】日本のパスポートは世界で1位!最新ランキングを発表”. 2024年1月12日閲覧。
- ^ 1991年(平成3年)3月31日以前に発行された一般旅券では「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を除くすべての国と地域」となっていた。
- ^ “ロシア旅行の際に査証(通称:ビザ)を得て北方四島へ訪問することは、ロシア連邦領であることを日本国民が容認することに繫がり、日本国政府の国是に反するので、出来るだけ控えて欲しい”と外務省は呼びかけている。竹島についても同様であるが、実効性が担保されていない。
- ^ 「ONO」ではオノさんなのかオオノさんなのか判別出来ず、事故の際の身元確認に支障を来たす為。
- ^ http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/02/2315/hihepburn.html
- ^ http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ic.html
- ^ e-Passport連携実証実験について 2005年1月 内閣官房IT担当室
- ^ NXP Semiconductor 「世界中で導入されるeパスポート」(2009年2月17日時点のアーカイブ)
- ^ 2006年(平成18年)3月の改正旅券法施行に伴う、各地域法令による。
- ^ 「一般旅券発給申請書の記入例」、2009年(平成21年)6月改正後の申請書様式 東京都パスポートセンター
その他過去の変更様式:2005年(平成17年)12月10日から罰則関係欄の事項が追加、2006年(平成18年)3月20日写真サイズ変更に伴い該当部分の説明が変更された。 - ^ 「氏名表記例外(非ヘボン式・別名併記)や外国式のお名前を希望する場合」(2007年5月27日時点のアーカイブ), 神奈川県 一般旅券発給申請書(裏)の記入例 2009年(平成21年)8月3日
- ^ 住民基本台帳ネットワークシステムに接続されている自治体住民は不要である。かつて、長野県では長野県知事田中康夫の方針により、住基ネットに接続していなかったため、住民票を必要としていたが、2008年(平成20年)5月以降は、住基ネットに接続し住民票は不要となり、最後まで住基ネットに接続しなかった福島県東白川郡矢祭町も、2015年(平成27年)3月30日に接続した。
- ^ 安延申 (2006年7月13日). “利用者視点に欠けていた行政サービスの実例--パスポートの電子申請 財務省が公表、「旅券の電子申請は一件当たり費用が1600万円」”. IT PRO (日経BP)
- ^ 静岡県のように、住所地以外の市町村役場でも申請可能な自治体もある。
- ^ 「県内16市町村で旅券発行可能に 県行革で業務移譲」 琉球新報 2010年1月26日
- ^ 岐阜県のように、県の窓口と市町村の窓口が選択できるところもある。
- ^ “パスポートの日曜申請受け付け好調”. わかやま新報. (2011年8月26日)
- ^ 『秋のレビュー 11月12日(3日目)』(プレスリリース)内閣官房、2016年10月28日 。2016年11月12日閲覧。
- ^ “パスポート代高い!効率化して!“行政点検”で批判”. テレ朝news (テレビ朝日). (2016年11月12日) 2016年11月12日閲覧。
- ^ “こんな時、パスポート Q & A”. 外務省. 2013年1月19日閲覧。
- ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/pss/page3_002789.html 「旅券(パスポート)の別名併記制度について」法務省報道発表、令和3年4月1日。
- ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press24_000081.html 「旅券(パスポート)の旧姓併記について」法務省報道発表、令和2年12月25日。
- ^ a b 外交史料 Q&A
- ^ 昭和26年11月13日衆議院外務委員会
- ^ 2020年旅券の申請受付開始について外務省(2020年2月3日)、2020年6月21日閲覧
- ^ 例・福島県 旅券発給概要 (PDF)
- ^ キャッシュカード等の送付に用いられる本人限定受取郵便の特定事項伝達型では「日本国旅券(パスポート) (所持人記入欄が設けられており、かつ、住所が記載されているものに限ります。)」としている。
- 日本国旅券のページへのリンク