成人向け漫画 成人向け漫画の概要

成人向け漫画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/24 22:37 UTC 版)

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概要

成人向け漫画の内容は、ほとんどが異性(または同性)とのセックスを描いたもので占められている。男性向けの作品でレーティングを付与した作品は成人向け漫画とされるが、女性向けの作品の場合はレディースコミックとも呼ばれる。一般的に「成人向け」として発表される著作物の場合、映画オリジナルビデオテレビゲームでは性描写と残虐描写それぞれがレーティングの対象となるが、漫画の場合は残虐な描写のある作品(著名な作品を例に挙げるならば『ベルセルク』・『北斗の拳』・『バガボンド』・『ゴルゴ13』等)及びギャンブルに関する描写のある作品(著名な作品を例に挙げるならば『賭博黙示録カイジ』・『LIAR GAME』・『嘘喰い』・『賭ケグルイ』等)に関しては、出版業界では基本的に規制を行っていない。但し、自治体によって有害図書指定される場合がある。

具体的なセックス描写や性的なオーガズムを描きつつも性器を見せない(具体的に性器を描かない)ことで18禁指定とならない一般(非18禁)作品もあり、週刊漫画雑誌古参の週刊漫画TIMES芳文社)・ビッグコミック小学館)・漫画アクション双葉社)・モーニング講談社)など30歳代以上を読者層とする壮年向け青年漫画雑誌で発表されるほか(「島耕作」シリーズなど)、『ふたりエッチ』の「ヤングアニマル白泉社)」・『おくさまは女子高生』の「ヤングジャンプ集英社)」、「ヤングコミック」「ヤングキング」(少年画報社)など男子高校生を読者層に含むヤング青年漫画雑誌では掲載作品の多くに性描写が存在する。

なお、2000年代以降「ヤングチャンピオンRED」(秋田書店)など非18禁ではあるが大半に性描写が含まれる漫画雑誌が刊行されるようになり、「成人向け指定はされていないが一般向けとも言い難い」という観点から、書店の判断で「ソフトエッチコミック」などと称して区別される場合がある。

18禁指定漫画の刊行は三和出版茜新社ワニマガジンフランス書院などこのジャンルにほぼ特化した零細の出版社と、辰巳出版竹書房などの中堅出版社によるものが大半である。講談社集英社など出版大手は版元で18禁指定とする漫画作品は扱っていない(『電影少女』など流通後に自治体により有害図書指定された事例は存在する)。

漫画やゲームなど二次元作品では何らかの形で性的描写を描いたものが多いため、非18禁漫画と18禁漫画の差は具体的男女性器描写の有無または修正の程度で判断されている。性交描写及び性器描写が見当たらないにも関わらずゾーニングマークを付ける[注 1]「グレーゾーン」作品も存在する。なお、性行為や性器の描写ではなく、性器を除いた裸体の描写であればお色気漫画サービスカットとして、通常の少年漫画および少女漫画にも数多く存在する。

また、成人向け漫画の世界で自分の世界を築き上げる漫画家も多く、もちろん、エロでなければ描けない世界というものもある。またエロが必須とされることを除けば、それ以外の表現はむしろ一般の商業誌より制約の少ないジャンルであり、その自由度の高さから作家独自の嗜好によって特異ともいえる表現が追求され、結果として漫画の多様性をもたらした側面も大きい。また、自由度の高さから「鬼畜系」に代表される過激な作風を持つ漫画家の作品発表の舞台となっている。

漫画評論家の米澤嘉博は急逝直前まで『戦後エロマンガ史』を『アックス』誌に7年に渡り連載していた。この連載は完結直前に米澤の急逝で絶筆未完状態となっていったが、2010年東京都青少年の健全な育成に関する条例が改正されたのを受けて、青林工藝舎より320頁の書籍にまとめられ緊急出版された。本書は「漫画の多様性を最底辺で支えながら文化として無視され続けてきた“エロマンガ”の通史をまとめた初の書籍」と紹介されており、戦後のカストリ雑誌から貸本官能劇画誌有害コミック騒動ロリコンマンガレディースコミックを経て、90年代の美少女コミックに至るまでの半世紀に及ぶ「エロマンガ」の集大成となっている。また、図版も2,500点以上使用しており、資料的価値が高い。

出版・流通業界の自主規制

書店で販売の成人向け漫画。

出版社の自主規制により、成人向けとして販売する書籍には以下に示されるマーク(以下ゾーニングマーク)が付けられる。これらはもっぱら男性向漫画に貼付される場合が多い。

  • 楕円形で黄色地に黒文字、もしくは黒地に黄色文字で「成年コミック」の表示。主に単行本で用いられる。
  • 黄色地長方形に黒文字で「成年向け雑誌」の表示。主に漫画雑誌で用いられる。
  • 赤地の正方形もしくは円に白色の「18」を書きその上を黒字の「×」、または道路標識の「車両通行止め」を模した白地に四角や円の赤枠の黒文字で「18」の表示(下段に「未満」の文字が入る場合もある)。成人向け漫画では少なく、主にゲーム雑誌グラビア写真集などで用いられる。

ゾーニングマーク付き雑誌は、書籍販売店および漫画雑誌専門店での販売が主流となっている。他方、コンビニエンスストア販売規制に合わせて性器描写等の修正を強めた雑誌(『コンビニ誌』)もかつて存在していたが、2019年8月末をもってコンビニでの成人向け雑誌の販売は原則終了した[1]

販売店側の自主規制としては、販売箇所の分別、販売箇所の販売物の明示、袋がけなど、立読み防止対策および18歳未満の青少年への販売禁止の徹底などが行われている。なお、一部都道府県ではゾーニングマーク付き書籍について区分陳列等の努力義務が条例でも定められている。また成人向け漫画の販売箇所を分別している書店においては、非18禁指定・18禁指定の単行本とも混在して成人向け漫画コーナーに置いている書店(K-BOOKSなど)もあれば、ゾーニングマーク付きの18禁漫画の単行本のみを成人向けフロアに配置し、非18禁指定の単行本は一般向けフロアに配置して取り扱っている書店(コミックとらのあななど)もある。


注釈

  1. ^ 瓦敬助著『菜々子さん的な日常』のような単行本など。ただし、後に同作家の出した画集「九十九織』(コアマガジン)に同作品が掲載されたが、その際にはゾーニングマークはつかなかった。
  2. ^ 他の道府県でも、有害図書指定が続くとその県に配本されない「局地廃刊」が行われることもある。

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