同音の漢字による書きかえ 主な書き換えの例

同音の漢字による書きかえ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/24 13:47 UTC 版)

主な書き換えの例

以下は1956年に国語審議会が報告した書き換えの一部である。太字の漢字は2010年6月に答申された改定常用漢字表[3]における表内字(表外音訓も含む)である。

  • 暗誦→暗唱
  • 夜→暗夜 ほか[注釈 2]
  • 意嚮→意向
  • 慰藉料→慰謝料
  • 衣裳→衣装
  • 陰翳→陰影
  • 穎才→英才
  • 叡智→英知
  • 掩護→援護
  • 恩誼→恩義
  • 廻転→回転 ほか
  • 火焰(焔)→火炎 ほか
  • 挌闘→格闘
  • 活潑(溌)→活発
  • 間歇→間欠
  • →肝心
  • 稀少→希少 ほか
  • 奇蹟→奇跡 ほか
  • 兇器→凶器 ほか
  • 漁撈→漁労
  • 倆(技倆)→技量[注釈 3]
  • 区劃→区画 ほか
  • 掘鑿→掘削
  • 訓誡→訓戒 ほか
  • 燻製→薫製
  • →決壊 ほか
  • 蹶起→決起
  • 訣別→決別
  • 絃歌→弦歌 ほか
  • 儼然→厳然
  • 嶮岨→険阻
  • 交叉→交差
  • 扣除→控除
  • 礦石→鉱石 ほか
  • 香奠→香典
  • →広範
  • 亢奮→興奮
  • 昂奮→興奮
  • 弘報→広報
  • 曠野→広野
  • 媾和→講和
  • 涸渇→枯渇
  • 骨骼→骨格
  • 雇傭→雇用
  • 根柢→根底
  • 醋酸→酢酸
  • 坐視→座視 ほか
  • 雑沓→雑踏
  • 讃辞→賛辞 ほか
  • 撒水[注釈 4]→散水
  • 刺戟→刺激
  • 屍体→死体
  • 車輛→車両 ほか
  • 蒐集→収集
  • 終熄→終息
  • 聚落→集落
  • 障碍→障害 ほか
  • 銷却→消却 ほか
  • 陞叙→昇叙 ほか
  • 焦躁→焦燥
  • 牆壁→障壁
  • 蒸餾(溜)→蒸留
  • 書翰→書簡
  • 抒情→叙情
  • 試煉→試練
  • 浸蝕→浸食 ほか
  • 伸暢→伸長
  • 滲透→浸透
  • 訊問→尋問
  • 衰頽→衰退 ほか
  • 尖鋭→先鋭 ほか
  • →選考
  • 洗滌[注釈 5]→洗浄
  • 煽情→扇情
  • 擅断→専断
  • 戦歿→戦没 ほか
  • 象嵌→象眼
  • 綜合→総合
  • 相剋→相克 ほか
  • 剿滅→掃滅
  • 簇生→族生
  • 沮止→阻止 ほか
  • 疏通→疎通 ほか
  • 褪色→退色
  • 歎願→嘆願 ほか
  • 煖房→暖房
  • 智慧→知恵
  • 註釈→注釈 ほか
  • 沈澱→沈殿
  • 牴触(觝触)→抵触
  • 鄭重→丁重
  • 叮嚀→丁寧
  • 碇泊→停泊
  • 手帖→手帳
  • 顚(顛)倒→転倒 ほか
  • 蹈襲→踏襲 ほか
  • 杜絶→途絶
  • 悖徳→背徳 ほか
  • →破棄 ほか
  • 曝露→暴露
  • 破摧→破砕
  • 醱(醗)酵→発酵
  • 抜萃→抜粋
  • 叛乱→反乱 ほか
  • 蜚語→飛語
  • 符牒→符丁
  • 篇→編
  • 編輯→編集 ほか
  • 抛棄→放棄
  • 防禦→防御
  • 繃帯→包帯
  • 厖大→膨大
  • 庖丁→包丁
  • 輔佐→補佐 ほか
  • 摸索→模索 ほか
  • 野鄙→野卑
  • 熔接→溶接 ほか
  • 慾→欲
  • →理屈
  • 悧巧→利口
  • 掠奪→略奪 ほか
  • 諒解→了解 ほか
  • 輪廓→輪郭 ほか
  • 連繫(繋)→連係
  • 聯合→連合 ほか
  • 彎曲→湾曲 ほか

など

また、国語審議会報告にはないが、新聞や学術用語集で用いられているものや、その他一般に使われることがあるものもある。

  • 啞(唖)鈴→亜鈴
  • 縮→委縮
  • 一攫千金→一獲千金
  • 湮滅→隠滅
  • 断→憶断
  • 病→憶病
  • 回游→回遊
  • 条書き→個条書き[注釈 6]
  • 確乎→確固
  • 恰好→格好
  • 恰幅→格幅
  • 函数→関数
  • 貫禄→貫録
  • 義捐→義援
  • 嬉々→喜々
  • 損→棄損
  • 気魄→気迫
  • 詭弁→奇弁・危弁
  • 嬉遊曲→喜遊曲
  • 饗宴→供宴
  • 橋頭堡→橋頭保
  • 共軛→共役
  • 醵金→拠金
  • 醵出→拠出
  • →禁固
  • →均整[注釈 7]
  • 燻蒸→薫蒸
  • 敬虔→敬謙
  • 激昂→激高
  • 肩胛骨→肩甲骨
  • 率→建坪率[注釈 8]
  • 眩惑→幻惑
  • 引→拘引
  • 耕耘機→耕運機
  • 昂進(亢進)→高進
  • 合辧/合辨(辛二つの間に刀)→合弁[注釈 9]
  • 渾然→混然
  • 鑿岩→削岩
  • 三叉路→三差路
  • →質草[注釈 10]
  • →紫班
  • 馴化→順化
  • 守→順守[注釈 11]
  • 法→順法[注釈 11]
  • 醇朴→純朴
  • 駿馬→俊馬
  • 饒舌→冗舌
  • 絛虫→条虫
  • →食事
  • 新撰→新選
  • 心搏→心拍
  • 撰者→選者
  • 撰集→選集
  • 撰修→選修
  • 尖兵→先兵
  • 擡頭→台頭
  • 高嶺の花→高根の花[注釈 12]
  • 断乎→断固
  • 抽籤→抽選
  • 鳥瞰→鳥観
  • 輾転反側→展転反側
  • 臀部→殿部
  • 当籤→当選
  • 廃墟→廃虚
  • 買辦(辛二つの間に力)→買弁[注釈 9]
  • 白堊→白亜
  • 搏動→拍動
  • 波瀾→波乱
  • 点→班点
  • 菲才→非才
  • 飄然→漂然
  • 披瀝→披歴
  • →風諭
  • 敷衍→敷延
  • 扮装→粉装
  • 分溜→分留
  • 辮髪→弁髪
  • 扁平→偏平
  • 防遏→防圧
  • 捧持→奉持
  • 芳醇→芳純
  • 膨脹→膨張[注釈 13]
  • 堡塁→保塁
  • 拇指→母指
  • 脈搏→脈拍
  • 明媚→明美
  • 友誼→友宜
  • 優駿→優俊
  • 然→裕然[注釈 14]
  • 船→油送船[注釈 15]
  • 輿論→世論
  • 落伍→落後
  • 獲→乱獲[注釈 16]
  • 掘→乱掘[注釈 16]
  • 作→乱作[注釈 16]
  • 造→乱造[注釈 16]
  • 読→乱読[注釈 16]
  • 伐→乱伐[注釈 16]
  • 発→乱発[注釈 16]
  • 費→乱費[注釈 16]
  • 用→乱用[注釈 16]
  • 溜飲→留飲
  • 溜出→留出
  • 料簡→了見[注釈 17]
  • 嗹→

など

「同音の漢字による書きかえ」による書き換えの中には、本来は誤りだが慣用的に用いられていたものも多くある。

この書き換えにより、本来存在していた熟語なのか、書き換えで生まれた熟語なのか、もしくは慣用的に使われていたものが正式に使われるようになった熟語なのかが判らなくなってしまうという問題が起こっている。また、書き換えられた字面から新たな意味が加えられてしまう場合もある(例:「技倆/伎倆→技量」の本来の意味は「腕前」であるが、書き換え後の「量」から「腕前の度合い」という意味に捉えられてしまった。など)。

書き換える際は、当用漢字同士の熟語に書き換えるのが普通だが、そうでないこともある(例:「旱魃」→「干魃」[注釈 18]または「干ばつ」、「稀覯」→「希覯」など)。


注釈

  1. ^ 語全体を仮名書きするほかに、表外漢字だけを仮名書きにする「交ぜ書き」をすることもある。
    (例)斡旋→あっせん・あっ旋、明瞭→めいりょう・明りょう
  2. ^ 「闇」は改定常用漢字表で追加された漢字だが、音「アン」は掲げられなかった。
  3. ^ 「伎」は改定常用漢字表で追加された漢字だが、音「ギ」は掲げられなかった。
  4. ^ 本来の読みは「さっすい」で、「さんすい」は慣用読み。
  5. ^ 本来の読みは「せんでき」で、「せんじょう」は慣用読み。
  6. ^ 「箇」は当用漢字で、常用漢字表・改定常用漢字表にも含まれている。「当用漢字補正資料」(1954年)では「箇」が当用漢字表から削る字とされた上で「個」に音「カ」を加えるとしており、新聞では同年4月から「箇所→個所」「箇条書き→個条書き」のように書き換えた表記を用いていた。しかし、結局「個」の音「カ」は表外読みのままであり、書き換えた結果、表外音訓になってしまう。なお、常用漢字の改定の時期から新聞でも「箇所」「箇条書き」と「個」に書き換えた表記は用いないように見直された。
  7. ^ 「斉」は当用漢字には含まれておらず、1981年の常用漢字表制定時に追加された漢字。
  8. ^ 「坪」は当用漢字にも含まれているが、音「ヘイ」は改定常用漢字においても表外読みであり、書き換えた結果、表外音訓になってしまう。
  9. ^ a b 「弁」は「辨」「辧」「瓣」「辯」(辛二つ「(ベン)」の間に刂(刀)、瓜、言)の新字体である。
  10. ^ 「種」は当用漢字にも含まれているが、訓「くさ」は改定常用漢字においても表外読みである。
  11. ^ a b 「遵」は当用漢字で、常用漢字表・改定常用漢字表にも含まれている。「当用漢字補正資料」(1954年)では「遵」が当用漢字表から削る字とされており、新聞では同年4月から「遵守→順守」「遵法→順法」のように書き換えた表記を用いている。
  12. ^ 一般的には、書き換えのない「高嶺の花」が多く用いられる。
  13. ^ 「脹」は当用漢字で、常用漢字表にも含まれていたが、改定常用漢字表で削除された。「当用漢字補正資料」(1954年)では「脹」が当用漢字表から削る字とされており、新聞では同年4月から「膨脹→膨張」のように書き換えた表記を用いている。
  14. ^ 「悠」は当用漢字には含まれておらず、1981年の常用漢字表制定時に追加された漢字。
  15. ^ 「槽」は当用漢字には含まれておらず、1981年の常用漢字表制定時に追加された漢字。
  16. ^ a b c d e f g h i 「濫」は当用漢字で、常用漢字表・改定常用漢字表にも含まれている。「当用漢字補正資料」(1954年)では「濫」が当用漢字表から削る字とされており、新聞では同年4月から「濫用→乱用」のように書き換えた表記を用いている。
  17. ^ 「簡」は当用漢字にも含まれているが、音「ケン」は改定常用漢字においても表外読みである。
  18. ^ 国語審議会の報告には「旱害→干害」「旱天→干天」の2語のみが示されている。「旱→干」は示されていないので、「旱魃→干魃」は国語審議会の報告に従ったものではない。
  19. ^ 「滌」の読みは「てき(「滌除」)」、反切は「徒歴」であり「的」、「敵」に一致、「でき」と濁るのは一種の連濁
  20. ^ a b 中国語では、この2つの単語は明瞭に区別されている。デイリーコンサイス中日辞典(三省堂)の「妨碍」と「妨害」の項を参照。

出典

  1. ^ 佐賀県:こちら知事室です-記者会見(発表項目):「障害」の表記見直しを要望します
  2. ^ 要望の多かった「玻・碍・鷹」の扱いについて (PDF) 。この結果に対しては、2010年4月21日衆議院文部科学委員会議事録)で馳浩自民党)より「漢字の語源にさかのぼっての議論は残念ながら見ることができませんでして、ちょっと残念だなと私は思いました」との指摘が為されている。
  3. ^ a b 改定常用漢字表(答申) (PDF) 文化審議会、2010年6月7日。
  4. ^ 2010年「改定常用漢字表」対応 新聞用語集 追補版 新聞用語懇談会編” (PDF). 日本新聞協会. 2018年1月1日閲覧。
  5. ^ 熊谷明泰 (2014). “朝鮮語の近代化と日本語語彙”. 関西大学人権問題研究室紀要 67: 1-122. 
  6. ^ 朱京偉 (2001). “日本語の漢語の書き換えと中国語”. 或問 2: 1-12. http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~shkky/wakumon/no-02/no-02-zhu.pdf. 





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