ヒドリガモ ヒドリガモの概要

ヒドリガモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/15 02:23 UTC 版)

ヒドリガモ
ヒドリガモ(左:オス、右:メス)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: カモ目 Anseriformes
: カモ科 Anatidae
: ヒドリガモ属 Mareca
: ヒドリガモ M. penelope
学名
Mareca penelope
(Linnaeus, 1758)[2]
和名
ヒドリガモ
英名
Eurasian Wigeon[2][3]

分布

ユーラシア大陸の北部[2]寒帯地域やアイスランド繁殖し、冬季はヨーロッパアフリカ北部インド北部中国南部、朝鮮半島、日本などに渡り越冬する[7]

日本では冬鳥として全国に渡来する[5][8]北海道では厳冬期には少なく、春と秋によく見られる[7]

形態

全長はオスが約53 cm[注釈 1][9]メスが約43 cm、翼開長は68-84 cm[5]。オスの成鳥は額から頭頂がクリーム色で[注釈 2]、顔から頸が茶褐色、胸は薄い茶色である[7]。体の上面は灰色で黒い細かい斑が密にある。下尾筒は黒い。メスは全体に褐色、他のカモ類と比較して赤褐色みが強く、腹は白い[5][6]。オスのエクリプスはメスと似ているが、雨覆羽が白く全体に赤みが強い[6][10]くちばしはやや短めで[11]、雌雄とも青灰色で先端が黒い[5][6]。体の下面は白い。次列風切羽には白黒緑の模様がある[10]は灰黒色[10]。頭部の形状はアメリカヒドリと同様に、他のカモ類と異なり台形に近い形状であることが特徴[11]

生態

越冬時は、湖沼河川河口海岸干潟などに生息する[6]。数百羽の群れになることもある[5]。繁殖期はツンドラ地帯針葉樹林にある湿地などに生息する。

食性植物食であるが、水生昆虫軟体動物を食べることもある[11]。潜水して捕食はせず、水面に浮かぶ植物の種子等を採食する[6]。また、岸や中洲に上がって陸上の植物も食べる[5]海草海藻も好んで食べるので、他の淡水型カモ類と比べると、海岸付近で観察されることも多い[5]。昼間は群れで湖沼の中央や陸地に上がって休息し、夕方から明け方にかけて水田や河川などの餌場に向かい採餌することが多い[7]。海岸近くで生活する個体は、夜海上で海苔などの海藻類を採食する[7]

繁殖形態は卵生。水辺の草地などに営巣し、1腹7-11個の卵を産む。抱卵日数は23-25日である。

オスは口笛のような「ピュー、ピュー」という特徴ある甲高い声でよく鳴き( オスの鳴き声[ヘルプ/ファイル])、メスは他のカモ同様低い声で「ガァー、ガァー」と鳴く[5][10]

緋色
ひいろ
 
16進表記 #E54848
RGB  
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注釈

  1. ^ 2008年12月に大分県中津市新田で捕獲されたオスの全長48 cmの個体の体重は895 gであった。
  2. ^ 頭頂部がクリーム色であることが、ヒドリガモのオスの特徴。

出典

  1. ^ a b Anas penelope (Eurasian Wigeon, European Wigeon, Wigeon) in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2013年12月8日閲覧。
  2. ^ a b c d IOC World Bird List 3.5 (Waterfowl)” (英語). 国際鳥類学会議(IOC). 2013年12月8日閲覧。
  3. ^ Anas penelope Linnaeus, 1758” (英語). ITIS. 2013年12月8日閲覧。
  4. ^ 日本鳥類目録 改訂第7版”. 日本鳥学会 (2012年9月15日). 2013年12月6日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2013年12月8日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l 中川 (2010)、57頁
  6. ^ a b c d e f g 真木 (2012)、52頁
  7. ^ a b c d e f 叶内 (2006)、50-51頁
  8. ^ 神山 (2011)、2頁
  9. ^ 伊藤 (2011)、18頁
  10. ^ a b c d 高木 (2002)、30-31頁
  11. ^ a b c 大橋(2008)、26-27頁
  12. ^ a b c 国松 (1995)、18頁
  13. ^ 中川 (2010)、58頁
  14. ^ 叶内 (2006/3)、46頁
  15. ^ 笠原 (2010)、1頁
  16. ^ 笠原 (2011)、41頁
  17. ^ 日本のレッドデータ検索システム”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年12月12日閲覧。
  18. ^ 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2019年10月31日). 2020年1月10日閲覧。 “2019年12月14日施行分”
  19. ^ 伊藤 (2011)、17頁
  20. ^ 藪 (2002)、41頁


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