ヒドリガモ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/15 02:23 UTC 版)
名前の由来
学名の属名(Ans)は「カモ類」を意味し、種小名(penelope)は人名に由来する[12]。
和名は頭部の羽色を緋色にたとえたことに由来する[6]。緋鳥(ひどり)と呼ばれ、その後ヒドリガモとなった[12]。異名として、赤頭、息長鳥、あかがし、そぞがも、みょうさく、ひとり、あかなどがある[12]。
分類
交雑個体
主に北アメリカに生息する近縁種のアメリカヒドリ(Anas americana)とは繁殖地が近接している(シベリア東部では両種が混在する繁殖地もある)ので、ヒドリガモとアメリカヒドリの交雑個体が観察されることがある[7]。稀な冬鳥としてヒドリガモの群れに混じって日本に飛来することがある[13]。アメリカヒドリのメスの頭部は白っぽいが、ヒドリガモのメスは褐色[14]。
種の保全状況評価
個体数は減少傾向にあり、国際自然保護連合(IUCN)により2012年からレッドリストの軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]。
日本では全国の多数の調査地点で個体数の調査が実施されている。飛来し越冬する個体数は1996年から2009年までの間でほぼ安定傾向にあり[15]、17都道府県で減少傾向、11県で増加傾向であった[16]。環境省や都道府県によりレッドリストの指定を受けていない[17]。
1979年に多摩動物公園が日本国内での初めての人工繁殖に成功し、また1998年旭山動物園が日本国内での初めて繁殖に成功し、それぞれ繁殖賞を受賞した。
人間との関係
日本では鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律により、狩猟鳥として狩猟鳥獣対象の一種に指定されている[18]。肉が食用に賞味されるが臭みがあるのであまり好まれない。またマガモなどと比較して小さく、得られる肉量が少ないことも手伝って狩猟される機会は少ない。
養殖場の海苔[5][19]や、栽培している大麦を食害することがあるため[5][20]、害鳥として嫌われることがある。
注釈
出典
- ^ a b “Anas penelope (Eurasian Wigeon, European Wigeon, Wigeon) in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2013年12月8日閲覧。
- ^ a b c d “IOC World Bird List 3.5 (Waterfowl)” (英語). 国際鳥類学会議(IOC). 2013年12月8日閲覧。
- ^ “Anas penelope Linnaeus, 1758” (英語). ITIS. 2013年12月8日閲覧。
- ^ “日本鳥類目録 改訂第7版”. 日本鳥学会 (2012年9月15日). 2013年12月6日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2013年12月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 中川 (2010)、57頁
- ^ a b c d e f g 真木 (2012)、52頁
- ^ a b c d e f 叶内 (2006)、50-51頁
- ^ 神山 (2011)、2頁
- ^ 伊藤 (2011)、18頁
- ^ a b c d 高木 (2002)、30-31頁
- ^ a b c 大橋(2008)、26-27頁
- ^ a b c 国松 (1995)、18頁
- ^ 中川 (2010)、58頁
- ^ 叶内 (2006/3)、46頁
- ^ 笠原 (2010)、1頁
- ^ 笠原 (2011)、41頁
- ^ “日本のレッドデータ検索システム”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年12月12日閲覧。
- ^ “鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2019年10月31日). 2020年1月10日閲覧。 “2019年12月14日施行分”
- ^ 伊藤 (2011)、17頁
- ^ 藪 (2002)、41頁
固有名詞の分類
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