トリンプ・インターナショナル トリンプ・インターナショナルの概要

トリンプ・インターナショナル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/25 03:28 UTC 版)

トリンプ・インターナショナル
Triumph International
種類 株式会社
設立 1886年
事業内容 ファンデーション、ランジェリー、ナイトウェア、ストッキング、下着、水着などの製造・販売
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日本現地法人トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社(Triumph International (Japan) Ltd.)も日本の下着業界で第4位に位置し、「天使のブラ」「恋するブラ」など複数のブランドを取り扱っている。

発音

Triumph」は英語の発音では「トラィアンフ/ˈtɹaɪ.əmf/ドイツ語の発音では「トリウンフ」 /trɪˈʊmf/ だが、日本語での表記としてはトリンプ自身が称している「トリンプ」が正式なものである。

歴史

1886年、ヨハン・ゴットフリート・シュピースホーファーとミヒャエル・ブラウンが、ドイツ・ホイバッハにてコルセットの製造所を設立[1]。当初は従業員6名とミシン6台での出発であった[2]。1890年には従業員数150名までに拡大し、1894年に初めて製品を国外輸出。1902年には、シュピースホーファーとブラウンにより、パリの凱旋門を想起させる「トリンプ」を登録商標。その後、「インターナショナル」が商標に追加される[2]。好景気の後、1920年代にはクラシカルなコルセットの需要が減少し、会社は並行してブラジャーの製造を開始。1930年代トリンプ・インターナショナルは、さらにオールインワンの製造にも着手した[3]

1933年、スイスのバート・ツルツァッハに、最初の国外支社を設立[2]。東西ドイツの分断に伴い、1949年以降トリンプ・インターナショナルの商標は、ドイツ連邦共和国で継続されていたが、そこでの事業活動はほぼ停止状態となった。しかし会社の国際化はその後も進み、1950年代からは、例えば複数のヨーロッパ諸国で支社が誕生。トリンプ・インターナショナルは更に1960年からアジア太平洋地域にも拡大し、例えば1963年には日本に初の支社が開設となった[4]。当時を知る人は既に、コンツェルン企業の「策略的な多重構造」を見極めていたが、その中にはタックス・ヘイブンであるリヒテンシュタインとバミューダ諸島に登記されている会社もあった[5]。1960年代の終わりには、ドイツのファウンデーション(下着)市場全体に占めるトリンプ・インターナショナルの割合は、約50%であった[6]

1960年代中盤、トリンプ・インターナショナルは、広範囲にわたってコンピュータ処理を導入[7]。経済危機に伴い、会社は1970年代初頭、時短労働導入を余儀なくされるほどの危機に初めて陥った。1969年に開始したパンティーストッキング事業も打撃を受け、はや3年後には停止[8]。同時にナイロン繊維やライクラ繊維など、より軽い生地を使用した製品の製造に初めて着手した[9]。1970年代終わりには更に「sloggi(スロギー)」という新ブランドを投入し、以来、コットン高混率の下着やその他製品を市場展開[9]。1977年、本社はドイツからスイスへと移転。以来、コンツェルンのホールディングの所在地はバート・ツルツァッハとなる[10]。1986年までに売上額は約10億スイスフランに上昇。同時に中国での販売を開始し、更には1988年から旧東独にて同国市場向けに、ライセンス契約による各種トリンプ製品を製造[9]。下着の他、水着も製造された。

フランスのメーカーである「HOM」と「Valisère」の買収により、トリンプ・インターナショナルは男性用下着、または高級ランジェリーに進出。それと同時に1995年には、将来的には親ブランドである「トリンプ」に更に注力し、その下に他の全ブランドを組み込むことを発表[11]。1990年代には再び国際的な拡大を図り、1998年からはインド亜大陸にも進出している[12]。最も新しい工場としては、2001年にハンガリーのドゥナウーイヴァーロシュに、生産拠点を開設[13]。21世紀に入ってからは同国の市場で、売上高で最大のテキスタイルメーカーのひとつとなっている[14]

近年では自社の新規店舗や競合他社の買収により、拡大を続けている。2010年にはスイスの下着チェーン店大手のBeldonaを買収し[15]、更にその後メキシコ及び米国でも販売業者を買収[16]。米国では、高級小売業者「Journelle」の株式の過半数を取得し、以来、ニューヨークに3店の直営店を展開している[17] 2011年にはドイツ子会社の株式を取得し、トリンプ社は再びシュピースホーファー家とブラウン家による完全所有となった[18][19]

トリンプ・インターナショナル(スイス本社)

沿革

トリンプの店舗

  1. ^ Martin Morlock (1964年7月1日). “Der Unsichtbare” (ドイツ語). Der Spiegel. http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-46174111.html 2015年10月28日閲覧。 
  2. ^ a b c Geschichte: Die frühen Jahre” (ドイツ語). triumph.com. Triumph International. 2015年11月4日閲覧。
  3. ^ Der BH: Eine Zeitreise von 1900 bis heute” (ドイツ語). dessous-diary.com. Lea Becker (2014年4月7日). 2015年11月4日閲覧。
  4. ^ “Japan: Dort kämpfen” (ドイツ語). Der Spiegel. (1973年5月7日). http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-42602390.html 2015年10月28日閲覧。 
  5. ^ “Unternehmen mit 86 Werken” (ドイツ語). Hamburger Abendblatt. (1964年12月9日) 
  6. ^ “Mode und Mieder: Rundum ohne” (ドイツ語). Der Spiegel. (1969年9月22日). http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-45562601.html 2015年10月28日閲覧。 
  7. ^ Erich Honka (1968) (ドイツ語). Kreditorenbuchhaltung mit elektronischer Datenverarbeitung bei Triumph International. Sindelfingen: IBM Deutschland 
  8. ^ “Strumpfindustrie: Kampf um Damenbeine” (ドイツ語). Der Spiegel. (1972年10月30日). http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-42787426.html 2015年10月28日閲覧。 
  9. ^ a b c Geschichte: Zeit der Expansion” (ドイツ語). triumph.com. Triumph International. 2015年11月4日閲覧。
  10. ^ Patrick Zehnder (2012年11月2日). “Triumph International” (ドイツ語). hls-dhs-dss.ch. Historisches Lexikon der Schweiz. 2015年11月4日閲覧。
  11. ^ “Die Dachmarke hat Priorität” (ドイツ語). TextilWirtschaft (30). (1995年) 
  12. ^ Jörg Nowicki (2008年). “Die neue Handelsmacht” (ドイツ語). TextilWirtschaft (7): p. 32 
  13. ^ Geschichte: Erfolgsgeschichte” (ドイツ語). triumph.com. Triumph International. 2015年11月4日閲覧。
  14. ^ Ulrike Wollenschläger (2003年). “Die größten deutschen Textilhersteller” (ドイツ語). TextilWirtschaft (49): p. 49 
  15. ^ Renate Platen (2010年). “Triumph übernimmt Beldona” (ドイツ語). TextilWirtschaft (38): p. 7 
  16. ^ Sabine Spieler (2012年). “Triumph baut Amerika-Geschäft aus” (ドイツ語). TextilWirtschaft (49): p. 38 
  17. ^ Janine Damm (2013年). “Triumph startet Offensive im US-Markt” (ドイツ語). TextilWirtschaft (32): p. 13 
  18. ^ “Triumph International sammelt Aktien ein” (ドイツ語). TextilWirtschaft. (2011年9月19日). http://www.textilwirtschaft.de/business/Triumph-International-sammelt-Aktien-ein_71863.html 2014年1月14日閲覧。 
  19. ^ Martina Metzner (2011年). “Zwei Familien, eine Krone” (ドイツ語). TextilWirtschaft (7): pp. 22–25 
  20. ^ トリンプより「ブランドメッセージ」新CM公開. トリンプ公式サイト. 2018年4月18日閲覧。
  21. ^ 篠原涼子、勝負下着は「暖色系」”. ORICON STYLE (2014年2月26日). 2016年3月22日閲覧。
  22. ^ “第三のブラ”『WONDER MAKE® (ワンダーメイク)』新発売~ジェシカ・ハートを起用した新ビジュアル登場!~』(プレスリリース)トリンプ、2017年1月25日http://www.triumph.com/jp/ja/news20170125.html2017年6月23日閲覧 
  23. ^ ヨンア、下着姿で谷間くっきり美バスト披露”. モデルプレス (2015年1月15日). 2016年3月22日閲覧。
  24. ^ 『AMO’S STYLE by Triumph (アモスタイル バイ トリンプ)』より新CM公開. トリンプ公式サイト. 2018年4月18日閲覧。
  25. ^ 「AMOSTYLE BY Triumph(アモスタイル バイ トリンプ)」2019年秋冬ビジュアルモデルに福士リナさんが登場. トリンプ公式サイト. 2019年8月18日閲覧。
  26. ^ 菜々緒、悪女役の下着は「毒々しいもの」 秘密のこだわり明かす”. ORICON STYLE (2016年2月24日). 2016年2月25日閲覧。
  27. ^ リヴ・タイラーが「トリンプ」のランジェリー姿を披露. WWD JAPAN(2017年8月7日). 2017年8月16日閲覧。
  28. ^ 松田聖子、トリンプ新ブランドCMでランジェリー姿を披露”. 音楽ナタリー (2016年5月25日). 2017年6月23日閲覧。
  29. ^ 2017年秋冬「FLORALE by Triumph」のグローバルイメージキャラクターに『ジュリアン・ムーア』を起用. トリンプ公式サイト(2017年7月5日). 2017年7月5日閲覧。
  30. ^ トリンプ・イメガ 五郎丸から刺激”. デイリースポーツ (2015年10月20日). 2015年10月20日閲覧。
  31. ^ 高身長美女&現役歯科衛生士 第25代目『トリンプ・イメージガール』に. オリコン(2016年10月26日). 2017年7月13日閲覧。
  32. ^ 来年のトリンプイメージガールに越川友貴「信じられない気持ち」. スポーツ報知(2017年10月24日).2017年10月24日閲覧。
  33. ^ 土屋ひかる、タヒチアンダンスで健康美アピール「2019トリンプ・イメージガール」. スポーツ報知(2018年10月25日).2018年10月25日閲覧。
  34. ^ 2021トリンプ・イメージガールに新奈を継続起用 . Deview(2020年11月2日). 2020年11月29日閲覧。
  35. ^ 28代目トリンプ・イメージガールは元サッカー選手…モデルの新奈 . デイリースポーツ(2019年10月24日). 2019年10月25日閲覧。
  36. ^ “世相反映ブラ”今年で終了 最後は「平成ブラ」を製作 「東京スカイツリー」モチーフに . オリコン(2018年11月29日). 2020年8月1日閲覧。
  37. ^ ペケ×ポンフジテレビ)の川柳コーナーで入選作品が出題紹介されていた。
  38. ^ 原口和久. “ご要望に応えて男性モデル登場”. 特ダネより子ダネ!. 産経デジタル. 2010年8月1日閲覧。
  39. ^ Campaign Girl&Boy”. Triumphjapan Homepage. トリンプ・インターナショナル・ジャパン. 1998年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月1日閲覧。
  40. ^ Campaign Girl&Boy”. Triumphjapan Homepage. トリンプ・インターナショナル・ジャパン. 1999年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月1日閲覧。


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