キクイモ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/04 09:13 UTC 版)
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100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 147 kJ (35 kcal) |
14.7 g | |
デンプン 正確性注意 | (2.8) g |
食物繊維 | 1.9 g |
0.4 g | |
1.9 g | |
ビタミン | |
チアミン (B1) |
(7%) 0.08 mg |
リボフラビン (B2) |
(3%) 0.04 mg |
ナイアシン (B3) |
(11%) 1.6 mg |
パントテン酸 (B5) |
(7%) 0.37 mg |
ビタミンB6 |
(7%) 0.09 mg |
葉酸 (B9) |
(5%) 20 µg |
ビタミンC |
(12%) 10 mg |
ビタミンE |
(1%) 0.2 mg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 1 mg |
カリウム |
(13%) 610 mg |
カルシウム |
(1%) 14 mg |
マグネシウム |
(5%) 16 mg |
リン |
(9%) 66 mg |
鉄分 |
(2%) 0.3 mg |
亜鉛 |
(3%) 0.3 mg |
銅 |
(9%) 0.17 mg |
他の成分 | |
水分 | 81.7 g |
水溶性食物繊維 | 0.5 g |
不溶性食物繊維 | 1.4 g |
ビオチン(B7) | 3.7 µg |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[20]。廃棄部位: 表層。エネルギー: 暫定値 | |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
主に塊茎を食用にするが、春に出る若い苗も食べられる[14][15]。採取時期は、若苗が4 - 6月ごろ、塊茎は地上部が枯れかかる秋から冬とされる[14][10]。ジャガイモの味にゴボウの香りが加わり、アーティチョークのような味わいと形容され、独特のえぐみがあり、加熱すると甘みが出る[4]。
若苗は、茹でて十分に水にさらしてから、和え物、おひたし、炒め物にしたり、生で天ぷらにする[14]。塊茎は用途が広く、皮を剥いて輪切りにしてから酢水につけて灰汁抜きし、そのままサラダ、甘酢漬け、天ぷら、和え物、スープにしたり、味噌漬けにしたものが市販されている[14][4]。煮るときは、煮崩れしないように皮付きのまま茹でこぼして、含め煮などにする[10]。塊茎は見た目より火が通りやすく、好みの堅さになるように茹ですぎないようする[10]。キクイモの味は甘味と独特の香りと歯触りがあり、特殊な味が万人向けの食品ではないとする意見もあるが、各種の漬物に適しており、皮を剥いて、酢漬け・醤油漬け・かす漬け・煮物などにすると味が良くなる[8]。東南アジアやヨーロッパでは、シチューやパイにするなど、各種の料理法が工夫されている[8]。
さらに、ブタなどの家畜の飼料とするほか[15]、果糖の原料にもされてアルコール製造の原料にされる[13]。
塊茎に含まれる主成分は炭水化物で、その大部分が難消化性多糖類イヌリンを含む食物繊維であり[2][4]、生の菊芋には15 - 19 %のイヌリンが含まれる[13]。通常の芋類と異なり、デンプンはほとんど含まれない。わずかにタンパク質とアルカロイドを含み、イヌリンの含有量は晩秋のころに最高となる[13]。イヌリンはキク科植物に特有の貯蔵多糖類で、デンプンと違い温水に溶け[13]、消化によってオリゴ糖の一種キクイモオリゴ糖(イヌロオリゴ糖)となるため、腸内環境を整えて消化吸収をよくする[2]。また、血糖値の上昇を抑えて、糖尿病予防にもよいといわれている[2]。
福岡県築上郡築上町上城井地区では、生産グループを作り、様々な加工品を作っている。地元の小学校では生産者と一緒に栽培から販売まで取り組んでいる。加工品の「きくいもふりかけ」のパッケージには、児童たちがデザインしたきくいものキャラクターが印刷され、6次化産業福岡県知事賞を受賞している。
岐阜県恵那市岩村町では、砂地が栽培に適していた為に1987年頃から本格的な栽培が始まった[21]。同市では菊芋の味噌漬けや粕漬けが名物として販売されている[21]。長野県下伊那郡泰阜村・阿智村や熊本県阿蘇郡小国町、熊本県菊池市、神奈川県藤沢市では、キクイモを用いた地域振興をしている[6][22][23][24]。日本国産品はショウガのようなゴツゴツした見た目で、市場ではトッピナンポとよばれている[4]。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Helianthus tuberosus L. キクイモ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月7日閲覧。
- ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、127頁。ISBN 978-4-415-30997-2。
- ^ a b c d e “キクイモ”. 侵入生物データベース. 国立環境研究所. 2022年10月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g 講談社 2013, p. 222.
- ^ “キクイモ”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2022年10月12日閲覧。
- ^ a b “(市民の皆様へ)菊芋・ヤーコンを作ってみませんか?”. 菊池市 (2022年9月22日). 2022年10月12日閲覧。
- ^ 小林義雄 著、相賀徹夫 編『万有百科大事典 19 植物』1972年。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 農文協編 2004, p. 58.
- ^ 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN 4-7980-1485-0。
- ^ a b c d e f g 金田初代 2010, p. 152.
- ^ James Edward Smith "An Introduction to Physiological and Systematical Botany" (1807), p108注。(2011年6月21日閲覧)。現代のイタリア語でキクイモは topinambur、アーティチョークは carciofo だが、ジェノバ地方では アーティチョークのことを articiocca という。
- ^ a b 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 農文協編 2004, p. 57.
- ^ a b c d e f g h i 高橋秀男監修 2003, p. 38.
- ^ a b c “キクイモ(菊芋)(キク科ヒマワリ属)”. 野田市 (2019年8月8日). 2022年10月12日閲覧。
- ^ a b c d e 金田初代 2010, p. 153.
- ^ a b c d e f 金子美登 2012, p. 174.
- ^ a b c d e f g 金子美登 2012, p. 175.
- ^ “日本食品標準成分表2015年版(七訂)”. 文部科学省 (2015年12月25日). 2022年10月12日閲覧。
- ^ “「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書”. 厚生労働省 (2014年3月28日). 2022年10月12日閲覧。
- ^ a b “きくいも”. 岐阜の極み. 岐阜県農政部農産物流通課. 2022年10月12日閲覧。
- ^ “地域再生等担い手育成支援事業実績報告書” (PDF). 国土交通省 (2007年). 2022年10月12日閲覧。
- ^ 「阿智村でキクイモ寄せ豆腐開発」『南信州新聞』、2010年8月21日。2022年10月12日閲覧。
- ^ “藤沢メディアプロモーションBOOK” (PDF). 藤沢市. p. 17 (2020年). 2022年10月12日閲覧。
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