キクイモ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/04 09:13 UTC 版)
栽培
欧米では実生により多くの品種が育成され、市販もされていた[8]。日本の北海道では白色群、紫色群と「喜久芋」があり、特に「喜久芋」は他の品種より経済的栽培に適する品種とされた[8]。現在、日本の各地で栽培されているキクイモは少量で、その品種は明らかではない[8]。
栽培の難度はやさしいほうで、輪作の年限は1 - 2年とされる[17]。キクイモは栽培条件となる気候と土壌に要求される条件が少なく、畑地を選ぶことも少ない[8]。欧米ではジャガイモ栽培が不適とされる土地で、キクイモの栽培が行われている[8]。収量については連作すると劣るといわれ、痩せ地よりも肥沃で保水力のある砂壌土の畑のほうが優れている[8]。キクイモの生育期間は長く、種芋の植え付けを春(4 - 5月)に行い、萌芽後は夏以降に匍匐茎が地中にのびて、秋の開花後に塊茎が肥大化して晩秋(11月 - 12月上旬)の霜が降りるころにその塊茎(イモ)を収穫する[8][17]。生育力が強く、根づきやすいため、塊茎は掘り残さないようにする[17]。
種芋植え付け前の畑は日当たりと水はけがよい場所がよく[17]、堆肥を元肥としてすき込むと望ましいとされるが、ジャガイモより施肥量は少なくてよいとされる[8]。種イモの植え付けは、畝に深さ10 - 20センチメートル (cm) の溝を掘って、株間60 cmほどになるようにする[17]。植え付けから3 - 4週間後くらいになると、地上に種芋から発芽した若芽が出る[17]。1株から出る芽を2、3本残して芽かきをしておき、草丈がどんどん伸びて大きくなるので土寄せして株元を支える[18]。植え付け後の追肥は特に必要としない[18]。生育旺盛で最終的には草丈2メートル (m) 以上になるので、株の倒伏防止のため支柱を立てておくとよい[18]。晩秋に地上部が枯れてきたら収穫適期で、地上部を刈り取って、30 cmくらい離れたところから株元に広がっている地下のイモを掘り上げる[18]。収量は10アール (a) あたり1.5 - 3トン (t) ほどが採れ、肥沃地では2.5 - 3 t、痩せ地でも1 t前後とされる[8]。
収穫したキクイモは泥付きのまま新聞紙などに包んで冷蔵保存する[18]。ただし、日持ちしないため、長期保存するときは土の中に埋めて貯蔵する方がよい[18]。土に埋めたまま、翌年の春に掘り上げて収穫してもよい[18]。
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- ^ James Edward Smith "An Introduction to Physiological and Systematical Botany" (1807), p108注。(2011年6月21日閲覧)。現代のイタリア語でキクイモは topinambur、アーティチョークは carciofo だが、ジェノバ地方では アーティチョークのことを articiocca という。
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- ^ 「阿智村でキクイモ寄せ豆腐開発」『南信州新聞』、2010年8月21日。2022年10月12日閲覧。
- ^ “藤沢メディアプロモーションBOOK” (PDF). 藤沢市. p. 17 (2020年). 2022年10月12日閲覧。
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