インドネシア料理 食事の文化

インドネシア料理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 21:36 UTC 版)

食事の文化

テーブルマナー

インドネシア料理は右手でスプーン、左手でフォークを持って食べる。本格的な中華料理店ではご飯は茶碗で出すこともある。おかずは大に盛って、テーブルか床のマットの上に置き、各自好きなものを自分の皿に取って食べる。お皿とスープの椀は食卓から持ち上げないことが良いマナーである。「シラカンマカン」(Silakan makan)という挨拶は、宴会の時ホストがゲストに「どうぞ食べてください」という意味で使う言葉[6]である。食前や食事中にアイスティー炭酸飲料ジュースなどの甘い飲み物を摂る人が多い。

食べ物によっては手で食べることも多い。左手は不浄とされているので右手を使う[7]パダン料理は手で食べる人が多い。インドネシア人は元々、ヨーロッパ人がスプーンとフォークを持ち込む前は料理を手で食べていた。手で食べる際は大皿に備え付けのスプーンで取り皿によそってから食べる[6]。パダン料理店ではライム入りの小さい椀(フィンガーボウル)に水を入れ、食べる前にそれで手を洗う。近くにあるシンク石けんを使って手を洗うこともできる。中華料理店や麺料理店ではが一般的だが、スプーンで麺を食べる人も多く、スプーンで麺を一口大に切ってから食べる。

朝食

ナシゴレン

インドネシア人は一日三回[7]、朝、昼、晩に食事をする。朝食インドネシア語Makan pagi(マカン パギ)[8]と呼ばれる軽い食事で、ナシゴレン、鶏インスタントラーメン、ご飯とアボン(abon、牛肉そぼろ)、目玉焼きなどが一般的なインドネシアの朝食である。朝の飲み物はジャスミンティー紅茶(テ)、コーヒー(コピ)などで、全て砂糖や練乳牛乳を入れて飲む。

より伝統的な朝の料理もあり、地方によって異なる。西スマトラ州ではソトパダン(Soto padang)、ジャカルタではナシウドゥッ(Nasi udok)、ジャワ島ではナシウラム(Nasi ulam)、ナシムゴノ(Nasi megono)、ソトアヤムSoto ayam)などがある。

都会に住む人々は古くからオランダ文化の影響を受け、朝食にパンを食べる習慣がある。パンにはマーガリンチーズチョコレートピーナッツバターなどのスプレッドを塗り、パイナップルジャムを挟んで食べる。

昼食・夕食 

インドネシアの食卓。ハエよけをかぶせた料理。

西部や中部インドネシアの一般家庭では一日一回、朝に調理する。食事の時間は特に決まっておらず、家族全員揃って食べるのではなく、家に着いた者から自由に食べる。一般的に昼食Makan siang、マカンシアン[9])は正午から、夕食Makan malam、マカンマラム[10])は午後7時から9時までである。お昼に食べ切れなかったおかずはハエよけで覆って食卓に置いておく。夕食の時に温めて、必要であれば簡単な1 - 2種類のおかずを追加して[6]、家族全員揃ってご飯を食べることもある。

食卓にはクルプック(Krupuk、Kerupuk、Keropok。えびや魚の揚げ煎餅)、ウンピン(Emping)、アボンを常備し、朝食のおかずとして、またご飯の友として食べる。

朝食を終え、家の掃除をすませると、主婦家政婦はその日使う食材の買い物に出かけ、市場スーパーマーケットや移動式食材屋台野菜や肉を買う。場合によって、冷蔵庫に買い置きする人もいる。小・中学生は授業がお昼くらいに終わるので家に帰り、昼食を家で食べる。前述のとおり食事の時間が決まっていないので、子供たちは家に着くと自由に食事をするが、母親が家にいる時は、子供達と一緒に食べる。

白飯(Nasi)はインドネシア人の食卓に一般的で、野菜料理(スープ〈Soto〉や野菜炒め〈Sayur yang ditumis〉)と肉、魚、テンペ、豆腐などの3 - 4種類のおかず[7]と一緒に食べる。食卓には少なくともサンバルは欠かせない。

インドネシア人は、職場学校へ行く時に弁当を持っていく習慣がない。幼稚園と小学校では休憩時間があり、家から持ってきたスナックやパンを食べる。都会で働く人々の昼ごはんはほとんど外食で、レストランや屋台で食べる。白飯とおかずをバナナの葉とで包んだナシブンクス(Nasi bungkus、ランチパック)を買ってオフィスの食堂で食べる者もいる。


  1. ^ a b Forshee, Jill (2006). Culture and customs of Indonesia . Greenwood Publishing Group. pp. 128. ISBN 0-3133-3339-4 
  2. ^ a b c d Meyer, Arthur L.; Jon M. Vann (2003). The Appetizer Atlas: A World of Small Bites. New Haven and London: John Wiley and Sons. pp. 195. ISBN 0-4714-1102-7 
  3. ^ Indonesia - The World Factbook”. 2009年7月26日閲覧。
  4. ^ 【ASIAトレンド】インドネシア即席麺、発売50年/考案者悼む声 消費刺激日本経済新聞』朝刊2021年3月10日(国際面)同日閲覧
  5. ^ Watanabe, Kazuo N.; Eija Pehu (1997). Plant biotechnology and plant genetic resources for sustainability and productivity. Elsevier. pp. 34. ISBN 0-1273-7145-1 
  6. ^ a b c d Holzen, Heinz Von; Wendy Hutton, Lother Arsana (1999). Food of Indonesia: Authentic Recipes from the Spice Islands. Tuttle Publishing. pp. 22. ISBN 9-6259-3389-1 
  7. ^ a b c Primary society and environment. R.I.C. Publications. (2004). pp. 131. ISBN 1-7412-6128-7 
  8. ^ マカンは食事、パギは朝の意。
  9. ^ シアンは昼の意。
  10. ^ マラムは夜の意。
  11. ^ “戒律の国・インドネシア 酒を楽しむ人増加”. NHK. (2015年10月10日). http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151010/k10010265351000.html 2015年10月12日閲覧。 
  12. ^ McDonald, George; Jon M. Vann (2003). Frommer's portable Amsterdam . New Haven and London: John Wiley and Sons. pp. 195. ISBN 0-7645-6748-9 





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「インドネシア料理」の関連用語

インドネシア料理のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



インドネシア料理のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのインドネシア料理 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS