飛行装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 14:52 UTC 版)
マキシムの父は、2つの逆回転するローターで動くヘリコプターを考案したが、それを実現するだけの強力な動力を見つけることができなかった。息子のハイラムは、当初は父が考案したヘリコプターの実現を検討していたが、後に固定翼を使う方針に改めた。設計の作業を始める前に、翼の断面やプロペラの設計のための実験を行った。最初は風洞を使い、後には旋回腕の試験装置を建造した。設計した機体は、全長40フィート(12メートル)、幅110フィート(34メートル)、重量3.5トンで、ナフサを燃料とする360馬力(270キロワット)の蒸気機関を2機備え、それにより、直径17フィート(5.2メートル)の積層松材のプロペラ2枚を回転させる巨大な複葉機だった。1889年から製作を開始した。 マキシムは、ロンドン郊外のベクスリーのボールドウィンズ・パークに1800フィート(550メートル)の線路を敷設して試験を行った。もともと浮上することだけが目的の実験飛行のため、装置の高度が上がりすぎないように、重い鋳鉄の車輪を使っていた。数回の試運転の後、車輪だけでは不十分だと判断し、装置に4つの車輪付きのアウトリガーを取り付け、中央の線路から13フィート(4メートル)離れた場所に木製のガードレールを敷設して装置を拘束するようにした。1894年7月31日の試験で、レール上180メートルほどを加速した飛行装置は時速67キロメートルで浮上した。この時、浮き上がりすぎるのを防ぐために設置されたアウトリガーによってガードレールが引き上げられてしまい、即時に試験飛行を中止した。 その後、マキシムはこの実験を中止し、この経験を生かした遊園地の乗り物を作った。マキシムは後に、実現可能な飛行装置には、石油による内燃機関のような、出力対重量比の良い動力が必要であると指摘した。 マキシムの飛行装置の特許申請は特許局に拒絶された。また後世の専門家による評価も、その蒸気エンジンに対するものを除けば冷淡である。
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