医療過誤とは? わかりやすく解説

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いりょう‐かご〔イレウクワゴ〕【医療過誤】

読み方:いりょうかご

医師看護師などの医療関係者が、治療を行うにあたって当然必要とされる注意怠ったため、患者損害与えること。薬剤誤投与衛生管理不徹底による感染など。民法刑法行政法上責任問われることがある。→医療事故


医療過誤(いりょうかご)

点滴輸血投薬手術に伴うミス

患者取り違えて手術する…といった、医療行為に伴うミスのことを一般に医療過誤と言う命にかかわる重大な医療事故もあり、1999年1月から2000年4月までの間に計43件が発覚そのうち30件で患者さんが亡くなっている。

もっとも深刻なケース以外にも「軽微なミス日常茶飯事と言われている。厚生省研究班大病院勤務看護婦11.048人を対象行った調査によると、

患者間違うなど注射のさいのミス31
転倒ベッドから転落16
経口薬投薬時の間違い13

のようになっており、医療過誤では「投薬」がらみの失敗が多いことが分かっている。投薬ミスとしては■同姓患者間で点滴取り違えた ■投薬量の単位mgml間違えた ■投薬速度間違えた ■筋肉注射皮下注射静脈注射間違えた…などの例がある。

医療器具取り扱いに伴うミスなどでは、医療機関自主的に厚生省報告する、という建前になっている。ただ「自主的」がくせもので、実際に報告されるケースは2割以下である。1998年度では、厚生省匿名調査では387件の医療ミスがあったのに対しそのうち報告されたのは76件のみだった。

(2000.08.03更新


医療過誤(いりょうかご)

医療関わる用語

医師看護師などの過失によって、患者に対して的確でない処置施されること。その結果患者病状悪化した死亡した場合には、患者やその遺族は、過失のあった医師看護師またはその使用者である病院対し損害賠償請求ができる。


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医療過誤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 02:30 UTC 版)

医療過誤(いりょうかご、英語: Medical malpractice[1])とは、医療における過誤によって患者に被害が発生すること。業務過誤の一種。医療ミスともいう。

日本における医療過誤

定義

日本厚生労働省リスクマネージメントスタンダードマニュアル作成委員会「リスクマネージメントマニュアル作成指針」によると、医療過誤は「医療事故の一類型であって、医療従事者が、医療の遂行において、医療的準則に違反して患者に被害を発生させた行為」と定義されている[2]

医療訴訟上の医療過誤

医療過誤は、日本においては、刑事責任(業務上過失致死傷など)[3]および民事責任(被害者に対する債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任や使用者による懲戒など)の原因となり得る。医療過誤の民事訴訟は年間800件程度だが、患者側の勝訴率は約2割であり、これは医療機関側の過失が明らかな場合、訴訟前和解(示談)となる場合が多いためである[4]。また、医療行為は専門性が高く、過失の立証が困難であることも原因として指摘されている[4]

日本では、医療過誤(医療事故)によって100万円以上の損害賠償を2回以上請求された医師は、日本医師会会員に限っても、1973年-1995年の間に511人存在し[5]、そのうち、2回請求された医師は391人、3回は82人、4回は22人、5回以上が16人であった[5]。それら事故を繰り返す医師を指して、「リピーター医師」と呼ぶこともある[5]。これには、医師に対するチェック機関である医道審議会が医師が医師免許剥奪などの厳しい措置をとることが稀であり、結果として事故を繰り返させているとの指摘もある[5]。また、(正しく患者を護るという観点からは、各医師の過去の医療過誤は一律に広く情報公開し、ひとりひとりの患者が各医師の過去の医療過誤歴を知った上で医師を選べるようにすべきなのだが、現状では)患者が各医師の過去を知り得ないような状態が放置されている、という問題もあるとされる[5]

アメリカにおける医療過誤

2016年ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に発表されたジョンズ・ホプキンス大学の研究チームの調査結果によると、アメリカでは医療過誤により死亡する患者数は肺気腫気管支炎といった呼吸器系疾患で死亡する患者数より多く、心疾患がんに続き3番目に多い死因となっている可能性があるとされた[6]

米国での医療過誤が原因の死者は、1999年米国医学研究所の調査では年間4万4000人から9万8000人、2008年アメリカ保健福祉省の統計ではメディケア(高齢者向け医療保険)の患者だけで年間18万人とされていたが、2016年にBMJで発表されたジョンズ・ホプキンス大学の研究チームの推計では少なくとも年間25万人以上が医療過誤で死亡していると推測されている[6]

背景として、死亡診断書の死因は医療過誤による死亡率を集計するためには用いられていないが、安全性についての科学は診断ミスや不適切な技術が死亡につながることを認識できるまでに成熟したため、死亡率への寄与の割合が集計された[7]

出典

  1. ^ 日本医療安全学会/医療の質・安全学会合同 用語編纂委員会 2023, p. 9.
  2. ^ リスクマネージメントマニュアル作成指針 リスクマネージメントスタンダードマニュアル作成委員会(厚生労働省ホームページ)
  3. ^ 甲斐順子「医療過誤と刑事事件」
  4. ^ a b 「医療過誤訴訟」はなぜ難しい? 患者側の勝訴率わずか2割 huffingtonpost 2014年01月13日
  5. ^ a b c d e 『リピーター医師 なぜミスを繰り返すのか?』 (貞友義典、光文社新書、2005年) ISBN 4334033113
  6. ^ a b 米国人の死因、第3位は「医療ミス」か 推計25万人が死亡 CNN、2017年2月11日閲覧。
  7. ^ Makary, Martin A; Daniel, Michael (2016). “Medical error—the third leading cause of death in the US”. BMJ: i2139. doi:10.1136/bmj.i2139. PMID 27143499. 

参考文献

関連項目

  • ヒポクラテスの誓い - 人の害となる治療法は選択しない。
  • To Err Is Human: Building a Safer Health System英語版 - 人は誰でも間違えるの意。医療過誤についての影響が大きかった医療論文

医療過誤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/26 16:01 UTC 版)

業務過誤」の記事における「医療過誤」の解説

疾病ではなく医療によって発生した障害医療事故といい、過失発生する場合過失によらず発生する場合がある。 医療過誤は過失発生した医療事故で、患者傷害発生したこと、医療行為過失があったこと、その傷害過失因果関係があることの三要件認められる事態をいう。 「医療過誤」を参照

※この「医療過誤」の解説は、「業務過誤」の解説の一部です。
「医療過誤」を含む「業務過誤」の記事については、「業務過誤」の概要を参照ください。

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