XP-47B
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「P-47 (航空機)」の記事における「XP-47B」の解説
XP-47Bは1941年5月6日にローリー・P・ブラバムの操縦で初飛行を行った。コクピットにすこし煙が発生するなど多少の問題はあったものの、この機体は素晴らしいということが判明した(煙はエンジンオイルが少し漏れ出したせいだった)。 XP-47Bは、巨大なダブルワスプとそのターボチャージャーを取り囲むように作られていた。AP-4をエンジンのオーバーヒートで失ったカートゥヴェリーは隙間のないカウリングをあきらめ、馬の首当てのような楕円形に開いた、幅広のカウリングでエンジンを覆った。このカウリングによってエンジン・左右のオイルクーラー・インタークーラーシステムの冷却が可能になった。 エンジンの排気はコクピットの両脇下方を通る2本のパイプによって後部へ導かれ、ターボチャージャーのタービンを駆動する。ターボチャージャーはコクピットと尾翼の中間あたりに位置する。フルパワー時には、パイプは赤熱する。ウェイストゲートシャッターが排気の仕分けを担当している。排気を直接外気へ逃がすか、高々度でエンジンの酸素が足りない状態のときにタービンへ導き、チャージャーを60,000 RPMで回すかのコントロールを行う。ターボチャージャーのインテイク(吸気口)には胴体下部からダクトで吸気される。チャージャーで圧縮された空気はインタークーラーを通って冷却される。外気との熱交換で気温が下がると同時に空気密度が増加し、出力が増大する。インタークーラーを出た空気は胴体両側面を通って前方のキャブレター、エンジンへと向かう。 ダクトとターボチャージャーを配したことで、XP-47Bの胴体は太く大きなものとなった。同時に主翼もやや高めの配置となったが、これは問題だった。というのは、強力なR-2800エンジンの力を吸収するために直径の大きなプロペラを採用していたので、プロペラ先端と地面とのクリアランス(間隔)が取りづらかったのだ。翼が胴体の下の方にあれば、その分ランディングギア(脚)を短くできる。ギアが短いほうが軽量で翼のスペースを節約できる。カートゥヴェリーは主翼外側に機関銃を埋め込みたかったので、長大なギアは受け入れがたかった。結果として、メインギア(主脚)は23 cm伸び縮みする機構をそなえることになった。 プロペラXP-47B~P-47DP-47Dの一部メーカー カーチス ハミルトンスタンダード タイプ 定速 ブレード数 4枚 直径 3.96m ? 4.01m ? ガバナ 電動 油圧 ブローニング製の12.7 mm機関銃を各翼外側に4丁ずつ、弾倉からの給弾のために互い違いに配置していた。各弾倉には銃弾を350ポンド、425発搭載した。自動防漏式の主・予備燃料タンクはコクピット下にあり、1,155リットル (305 USG)のガソリンを積むことができた(翼内タンクはまだなかった)。当時としてはかなりの量だったが、これでも不十分だったことが後に判明する。 コクピットは巨大なマシンにふさわしく広々としており、エアコンも備えていた。操縦席も快適だった。あるパイロットは後に「安楽椅子のようだよ」と評した。プロトタイプであるXP-47Bのキャノピィは上方に開くヒンジを備えていたが、これには故障が頻発した。尾翼の舵面(方向舵、昇降舵)が帆布張りの他は全金属製で、主翼のスパー(桁)は3本。この帆布張り舵面にも不具合が多かった。
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