Vermeer および Chagall
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 08:39 UTC 版)
「Ryzen」の記事における「Vermeer および Chagall」の解説
"Vermeer"(フェルメール)は、2020年10月8日にYouTube上でのオンラインイベントで「AMD Ryzen 5000 Series Desktop Processors」として発表された、Matisseの後継CPUである。モデル名は4000番台がスキップされ5000番台となり、世代と数字にズレが生じたため「第4世代Ryzen」とは呼ばれず専ら「Ryzen 5000 (シリーズ)」と呼ばれている。 先代と同じ7 nmプロセスルールを採用しながら、内部構造の改良によって、同じクロックで19%のIPCの向上を実現している。特に、初代から続くL3キャッシュ周りの構造が一新されており、大きな改良点とされる。 各モデル共、ベースクロックは低下したものの、ブーストクロックは向上している。TSMCの7 nmプロセスルールで製造されるCPUチップレット「CCD」とGLOBAL FOUNDRIESの12 nmプロセスルールで製造される「cIOD」を組み合わせるというチップレット構造は変化しておらず、まだcIODは前世代と同一のものとされている。 Matisseでは後からの発表であった16コアモデルが初めからラインナップに加わっている一方、当初は8コア・6コアの下位モデルが存在していなかった。また価格も前世代に比べて50ドル、下位モデルが無くなった8コア・6コアモデルは同じコア数で約100ドルの値上げとなっており、CPUクーラーも前世代のXTシリーズと同様に最下位モデルの5600Xを除き付属せず、5600X付属のCPUクーラーもTDPが65 Wとなった事で下位グレードのWraith Stealthとなっており、CPU単体のコストパフォーマンスは低下した。 対応マザーボードは発売時点では500シリーズ (X570・B550・A520) チップセット搭載のマザーボードのみで、メインストリーム向けのプラットフォームとしては珍しく、CPUの世代交代と同時に新チップセットのマザーボードは投入されなかった。前世代である400シリーズ (X470・B450) チップセット、特にB550が発表された2020年4月 (発売は6月) まで現行の製品であったB450での非対応は非難を浴びたため、後に対応する事が発表され、500シリーズからは遅れるもののメーカーからBIOSの提供があれば対応可能となった。300シリーズ(X370・B350・A320)は長らく非対応であったが、後述の下位モデル発表時に併せて対応する事が発表され、400シリーズ同様にメーカーからBIOSの提供があれば対応可能となった。 "Chagall"(シャガール)は、2022年3月8日 (アメリカ時間) にZen 3アーキテクチャを採用したワークステーション向けCPU「Ryzen Threadripper PRO 5000シリーズ」として発表された。"PRO"の付かないRyzen Threadripperより先に発表されており、ソケットは前世代にあたるRyzen Threadripper PRO 3000シリーズと同じsWRX8である。レノボのワークステーションに搭載されおり、従来の16コアと32コアの間となる24コアの製品もラインアップされている。 当初の発表から1年半後の2022年3月15日、L3キャッシュ容量を従来の3倍に引き上げた5800X3Dと、従来品の下位モデルとなる製品群が発表された。5800X3Dは2021年の6月に技術的なプロトタイプの発表を行っていたもので、シリコン貫通ビアにより追加のL3キャッシュを積層(スタッキング)する「3D V-Cache」と呼ばれる技術を用いている。当初は2021年末までに発売予定とされていたが、後に2022年に発売するとしていたものである。従来製品の下位モデルは前世代であるRyzen 3000シリーズのラインナップに相当するものが追加されているが、Zen 3アーキテクチャのAPU(Cezanne)からGPUコアを無効化した製品と、Zen 2アーキテクチャのAPU(Renoir)とそのGPUを無効化した4000シリーズの製品も同時に追加されている。 対応ソケット - Socket AM4。Threadripper PRO 5000シリーズはSocket sWRX8 対応メモリ - DDR4-3200 GPU - 非搭載 対応マザーボード - AMD 300シリーズ、AMD 400シリーズ、AMD 500シリーズ。Threadripper PRO 5000シリーズはWRX80のみ ブランド・モデルコア数 (スレッド数)クロック周波数 (GHz)キャッシュ(MB) GPU同梱クーラーTDP(W) 発売日価格出典ベースブーストL2L3USDJPYRyzen Threadripper PRO 5995WX 64 (128) 2.7 4.5 512 KB×コア数 256 なし なし 280 2022年3月8日 OEM OEM PRO 5975WX 32 (64) 3.6 128 PRO 5965WX 24 (48) 3.8 PRO 5955WX 16 (32) 4.0 64 PRO 5945WX 12 (24) 4.1 Ryzen 9 5950X 16 (32) 3.4 4.9 105 2020年11月5日 $799 96800円 5900X 12 (24) 3.7 4.8 $549 64980円 5900 3.0 4.7 65 2021年1月12日 OEM OEM Ryzen 7 5800X3D 8 (16) 3.4 4.5 96 105 2022年4月20日 $449 5800X 3.8 4.7 32 2020年11月5日 53480円 5800 3.4 4.6 65 2021年1月12日 OEM OEM 5700X 2022年4月4日2022年4月15日 (日本) $299 42800円 Ryzen 5 5600X 6 (12) 3.7 Wraith Stealth 2020年11月5日 35800円 5600 3.5 4.4 2022年4月4日2022年4月15日 (日本) $199 28800円
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