TICAD VII
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「アフリカ開発会議」の記事における「TICAD VII」の解説
第7回アフリカ開発会議は2019年8月28日から30日にかけて日本の横浜で開かれ、アフリカ54か国のうち53か国が参加、42か国は首脳級が出席した。 初日の基調講演で安倍首相は、過去3年間でアフリカへの民間投資が200億ドルに達したと述べ、日本政府として今後3年間でさらに200億ドル以上の民間投資の実現を推進すると表明した。またアフリカの人材育成を支援する「ABEイニシアチブ3.0」を打ち出し、日本への留学やインターンを促進し、今後6年間での3000人の産業人材を育成するとした。また安倍首相は約40カ国の首脳とリレー式に2国間会談を開き、貧困や感染症対策などでの日本の貢献および国際機関での日本支持をアピールした。 最終日に採択された「横浜宣言」ではまず、前回ケニアでの TICAD VI の基調演説で打ち出した「自由で開かれたインド太平洋」構想について「好意的に留意する」と初めて言及し、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に、アフリカ諸国が中国へ傾斜し過ぎないよう促した。中国漁船団の違法操業に悩む西アフリカ諸国もこれに賛意を示した。また直前のG20大阪サミットで確認された「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を「歓迎する」とし、透明性と持続可能性のある債務のありかたを示すことで、「借金漬け外交」で過剰な融資の政治的見返りを求める中国を間接的に牽制した。海洋安全保障についても、やはり中国の海洋進出を踏まえて「国際法の諸原則に基づくルールを基礎とした海洋秩序の維持」を訴えた。経済連携については、政府主導を主とする中国のアフリカ支援との差別化として、民間ビジネスを活性化することでアフリカ経済の自律的な発展につなげるべく、「アフリカ開発における民間部門の役割を認識」と述べた。また過去に日本が果たしたアジア諸国の開発支援の経験がアフリカでも有用であることを確認した。加えて、日本の安保理常任理事国入りを念頭に「安保理を含む国連諸組織を早急に改革する決意を再確認」すると明記した。 公式サイドイベントとして開かれたビジネスEXPOには、前回より1.5倍増の156社・団体が出展し、インフラ・製造業・医療など多くの分野の日本企業が、中長期的に成長が見込まれるアフリカ市場をターゲットとする商品やサービスの提案を行なった。 サハラ共和国は、アフリカ連合単独の招待という形で参加が認められ、会場には「SAHRAWI REPUBLIC」のプレートが用意された。国家元首が参加する会合で、国旗・国名を出さないことは外交儀礼上適切では無いからだが、参加国の国旗は掲げさせず、国名だけ掲示する折衷案となった。また、日本としては引き続き「日本が国家承認していない主体」が勝手に参加したという認識であり、従って参加国・地域には数えられていない。
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