SPACのメリット・デメリットとは? わかりやすく解説

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SPACのメリット・デメリット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 14:32 UTC 版)

特別買収目的会社」の記事における「SPACのメリット・デメリット」の解説

買収企業にとっては、時間コスト抑制して上場ができ、かつIPOの際に割安な価格公開価格決められることによる調達資金が本来よ低く抑えられることを回避することができるメリットがある。また、米国においては、一般的なIPOでは発行価格不当に引き上げることを防ぐため、今後業績見通し開示することは禁じられているが、SPAC経由場合には既に上場している会社との合併となるため、こうしたルール適用されず、売上高がほぼゼロであっても今後数年具体的な数値目標を示すことが容認されている点もメリットとして挙げられる(但し、このことから「裏口上場」との批判根強い。)。 一方SPAC運営企業スポンサー)にとっては、買収後に、新会社株式株式購入権利プロモート株式)などにより、多額の手数料に相当するもの手に入る(但しこの株式無償発行よるもの限られるので、投資家にとっては株式の希釈化が起こるという点でデメリットである)、当該会社の相当部分の株式割安獲得する権利得られるといったメリットがある。 投資家にとっては、通常の未公開株式ファンド投資する場合資金回収5年から10年かかるところ、2年程度決着図れる点、投資家保護措置が、取引所NASDAQNYSE)によって承認されており、透明性確保されている点、少額での未公開株への投資機会提供される点がメリットである。 投資家保護法制としては、IPOによる調達資金の9割以上を信託し残り運転資金とする、IPOから12-18ヵ月の間に買収アナウンスして、24ヵ月以内完了する延期には株主総会65%の株主同意が必要)、買収失敗した場合投資家利息付して返還する買収企業選定20%上の株主同意が必要とすることなどが定められている。一方で、これら保護法制により短期間株主納得させられる企業買収を行うため、買取価格交渉不利に立たさられたり、事業計画精査時間かけられないことはSPAC側から見たデメリットにもなり得るまた、買収企業未公開企業であり、簿外負債有無コンプライアンス遵守などに問題抱えたまま、買収され上場に至ることも少なくないことも投資家保護上の問題となりうる。 SPACIPO時点において事業定まっておらず、企業価値不確実性有することから、投資家設立メンバーなどの情報判断することになる。個人投資家資金集めやすくするため、著名人設立メンバー加えることが多くなっている。 実際バンク・オブ・アメリカ2021年2月公表したデータによると、SPAC株式売買する投資家全体の約40%を個人投資家占めており、S&P 500における比率の約2倍となっている。個人投資家中には株主総会での決議買収に必要であることを認識しておらず、株主総会何度も延期される例も散見されるなど、SPAC運営弊害となっている側面もある。 これら個人投資家支払コスト高くハイリスクであるとする研究もある。スタンフォード・ロー・スクールのマイケル・クラウスナー(英語版)と、ニューヨーク大学・ロー・スクールのマイケル・オーロッゲによると、2019年1月から2020年6月にかけて企業買収実施した47SPACについて検証し企業買収後、SPAC株価平均で1/3程度下落していることを明らかにした。SPAC投資家から見るとコスト高く前述プロモート株式最大コストとなっている他、当初引受手数料は5%前後相場で、さらにワラント発行コスト加算される高コスト体質となっており、株式償還され場合もこれらコスト大半減額されない。 同研究では、スポンサー10億ドル上の資産を持つ評判の高いファンド系列で、スポンサー(あるいはSPAC責任者)がフォーチュン500企業の元経営幹部という条件を満たすSPACは、買収後平均上回るリターンもたらす傾向があるとしている。47SPACのうち、約半分がこの定義に合致しており、このグループSPACもたらしたリターンは、買収後の3、6、12カ月間で著しく高かった。このグループにおいても半数近くリターンはマイナスとなったものの、ラッセル2000リターン上回ったことを明らかにした。 ロンドン証券取引所CEOデヴィッド・シュワイマー英語版)は、同取引所SPAC上場認め勧告出した2021年3月に「米市場SPACフロス小さな泡)があるのは明らか。期待沿わない結果となるものもあるだろう」と述べ投資家が「よく考えて慎重に利用することが重要であると指摘している。

※この「SPACのメリット・デメリット」の解説は、「特別買収目的会社」の解説の一部です。
「SPACのメリット・デメリット」を含む「特別買収目的会社」の記事については、「特別買収目的会社」の概要を参照ください。

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