ROMカートリッジ式ゲーム機の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 05:31 UTC 版)
「バッテリーバックアップ」の記事における「ROMカートリッジ式ゲーム機の場合」の解説
ROMカートリッジでゲームソフトが供給された家庭用ゲーム機では、ROMカートリッジの内部に電池を内蔵することで実現され、主にゲームの途中のデータを保存する目的で使用された。この技術の導入により、長いパスワードをメモして再開時に入力する、といった手間を省くことができるようになった。パスワードの写し間違いによりゲームを再開できなくなることもなくなった反面、プレイヤーの過失とは無関係にデータが消失する事態も発生した。 ファミリーコンピュータはバッテリーバックアップを考慮していないプラットフォームである。すなわちCPUとカートリッジのメモリ空間がCPUのバスを通じて直接接続されており、さらに一定容量以上のカートリッジは、カートリッジ内にメモリ空間を拡張するための制御回路(MMC, Multi Memory Controller)を搭載しバンク切り替えを行っている。このため単純に電源を切ると、電源を切断して回路の電圧・電流が低下した瞬間に、CPUやMMCが誤動作する可能性がある。カートリッジバス上のMMCの誤動作やメモリ空間にSRAMが見えている最中にこのような状況が発生すると、SRAMのデータ化けを起こす確率が非常に高くなる。バッテリーバックアップ機能を搭載したファミリーコンピュータ用カートリッジの多くは、電源を切る際に、リセットボタンを押したまま電源スイッチをOFFにする必要があるが、これはリセットボタンを押している間はCPUの動作が完全に停止する為である。 前述のエラーや書き込まれるデータの問題によってセーブデータが欠けていた場合、そのエラーの大小にかかわらず該当データはゲームによって破棄される実装になっているものが多く、取り扱いや接続端子の状態によっては記録したデータを喪失するケースも発生する。 ROMカートリッジ式ゲームソフトの場合、バックアップ用の電源には一次電池のコイン形リチウム電池が使用されることが多い。このリチウム電池の寿命は数年程度であるが、ゲーム機の電源を入れている間はゲーム機本体から電力が供給されるため、電池寿命の長さはプレイ時間に比例する(一次関数であり、電池単独の稼働時間にプレイ時間を足したものが全体の電池寿命となる)。電池が切れるとバッテリーバックアップは機能しなくなってしまうため、引き続きバッテリーバックアップを使用するには電池の交換が必要である(ユーザー自身の手で行うことが推奨されず、原則メーカーに依頼する)。ただし、交換のために電池を抜いた場合にもバッテリーバックアップは機能しなくなるため、保存されていたデータは電池交換時には消えてしまう。このため、ファミリーベーシックの専用カセット、アスキーのターボファイル、PCエンジンの天の声2やバックアップブースターなどでは市販の単三電池が使用出来るようになっており、本体の電源を入れたまま電池交換するという処置が取られた。これは、同時期のハードウェアにはあまり見られない珍しい仕様である。 1990年代後半頃から、セーブデータだけではなくカートリッジ内蔵の時計を動かす為に電池が用いられたソフトが現れた。その際、電池はセーブデータ保持と兼用である場合と、セーブデータとは別系統である場合があり、前者の場合は後者の場合やそもそも時計機能が無いものよりも消費電力が大きくなるため、同一容量の内蔵電池を使った場合にデータ保持期間はより短い傾向がある。 近年[いつ?]ではセーブそのものに失敗し、カートリッジ内蔵電池の消耗を警告してくれるソフトも多数存在するが、この事は説明書には一切の記述が無く、バグではないかと思い悩んでいるユーザーも少なくは無い。
※この「ROMカートリッジ式ゲーム機の場合」の解説は、「バッテリーバックアップ」の解説の一部です。
「ROMカートリッジ式ゲーム機の場合」を含む「バッテリーバックアップ」の記事については、「バッテリーバックアップ」の概要を参照ください。
- ROMカートリッジ式ゲーム機の場合のページへのリンク