NATOにとっての戦訓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 04:49 UTC 版)
「コソボ紛争」の記事における「NATOにとっての戦訓」の解説
紛争では、アメリカ軍の兵器の弱点も明らかにした。これは後にアフガニスタン侵攻やイラク戦争のために処置されている。AH-64 アパッチ ヘリコプターや、AC-130 ガンシップは前線で使用されていたものの、2機のアパッチがアルバニアの山中で衝突してからは使用を中断した。精密なミサイルの備蓄は危険な水準まで低下し、紛争は想定を超えて長期化し、NATOは選択の余地なく精度の悪い爆弾を使わざるを得なかった。空中戦においても良好な結果は得られなかった。連続した作戦によってメンテナンスが省かれ、多くの航空機が代替パーツを待つ間待機を余儀なくされた。さらに、多くの誘導型の兵器はバルカン半島の気候に順応できておらず、雲によって爆弾のレーザー誘導は遮られた。これは、悪天候でも使用することができる、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)を使用した旧型の爆弾によって回避された。多くの無人航空機が使用されたものの、敵側の標的を捕らえるには遅すぎることも明らかにされた。これは、後のアフガニスタン戦争では、敵機の飛行音に合わせてミサイルを使う方法が用いられ、センサ映像を確認して撃つ時間をほぼ完全に削減することができた。 コソボ紛争はまた、NATOのようなハイテクの軍が、単純な戦術によって裏をかかれてしまうことも明らかにした。ウェズリー・クラーク(Wesley Clark)や、紛争後にこれらの戦略を解析したその他のNATOの将軍らによる。ユーゴスラビア軍は、圧倒的に強い敵に対して、ずっと立ち向かい続けていた。ユーゴスラビア軍は効果的に敵を欺いたり隠したりする戦術を発展させてきた。これらは、全面進攻に対しては長期的には無力であると思われるが、上空を飛ぶ航空機や人工衛星を欺くには効果的な方法であった。使われた戦術には、次のようなものがあった: アメリカのステルス戦闘機が波長の長いレーダーで追跡されていた。ステルス機のジェットが湿る場合や、爆弾を投下している場合、ステルス機はレーダーで捕捉することができる。F-117はこの方法で照準を定められ、ミサイルで撃墜されたものと見られる。 多くのローテク手法によって、熱探知ミサイルや赤外線センサが撹乱された。小さなガス炉などによって、実在しない山腹があるかのように見せかけられた。 「おとり」が頻繁に用いられた。偽物の橋や飛行場、「おとり」の航空機や戦車が用いられた。戦車は古タイヤ、プラスチック・シート、丸太、缶、そして熱放射を装うために燃料が用いられた。しかし、クラークの調査によると、「おとり」に爆弾が投下されたのは974回のうち25回だけだった。しかし、NATOの情報によると、これは作戦遂行の手続きであり、明らかに本物であるとは思えないもの以外は、あらゆる全ての標的に対して攻撃する義務を負っているとしている。明らかに本物であるかどうかが分かるのならば、本物のみを攻撃することになる。NATOは、ユーゴスラビア空軍の損害は10倍に上るとしており、「公式なデータによると、コソボ紛争におけるユーゴスラビア軍の空爆による損害は、戦車の26%、APCの34%、大砲の47%に上る」としている。 アメリカの人工衛星を使った空爆に対して、古い電子妨害装置が用いられた。 第二次世界大戦期のイスパノ・スイザ対空砲が、ゆっくり飛ぶ無人偵察機に対して効果的に使用された。
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