KR350
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 16:29 UTC 版)
「カワサキ・KR (ロードレーサー)」の記事における「KR350」の解説
(本節は、特記以外『究極のレーサー』(p193 - p198)を参考文献とする) KR350(ケイアールさんびゃくごじゅう)は、WGP350ccクラス用ロードレーサー(競技用バイク)である。エンジンは2ストロークタンデムツイン(2気筒)。ロードレース世界選手権(WGP)350ccクラスでは、コーク・バリントンが1978年と1979年に、アントン・マンクが1981年と1982年に世界チャンピオンとなった。WGPの350ccクラスは1982年を最後に廃止されたので、KR350は350ccクラス最後のチャンピオンマシンとなった。 KR350は、KR250と同じフレームと酷似した動力装置を持つ、KR250の排気量拡大版である。KR350は左側にロータリーバルブを配置し、エアインテークには直径36mmのミクニのキャブレターを2基装備。クーラントは、普通の2ストロークエンジンのようにクランクケースには送らず、シリンダーヘッドに送られるようになっており、冷えているクーラントで5ポートシリンダーのツインエキゾーストポート周囲の最も熱い部分を最初に冷却できるようになっている。このエンジンの最適運転温度は70℃である。フレームは、当時としては標準的なクロムモリブデン鋼のチューブラースチール製である。リアサスペンションは、ヤマハのようなカンチレバーモノショックではなく、「ユニトラック」と呼ばれるロッカーアーム機構を採用した。 KR350のフレームの設計は、1970年代のロードレーサーに見られたハンドリングに癖があってライディングが難しいフレームから、よりハンドリングが良くなった1980年代のアルミニウム製フレームへ移り変わる過渡期のものであった。 フロントブレーキは、他のロードレーサーがダブルディスクを採用していたのに対し、KR350は乾燥重量を104kgに抑えることができたため、ブレーキディスクを1枚(シングルディスク)にすることができた。 KR350の成功には3つの理由がある。 他の日本のワークスチームがWGP350ccクラスに本格的に参戦しなかった。 優れた信頼性を備え、メンテナンスが容易であった。 WGPの歴史において、最も優秀なミドルクラス(250ccクラス、350ccクラス)のライダーに入るコーク・バリントンとアントン・マンクをワークスライダーとして迎え入れることができた。 1980年型の仕様 エンジン - 2ストローク水冷タンデムツイン(2気筒、ロータリーバルブ) 内径×行程 - 64 mm×54.5 mm 排気量 - 349.89cc 出力 - 75bhp/11,800rpm キャブレター - 36mm ミクニ x 2 イグニッション - 国産電機 CDI トランスミッション - 6段 クラッチ - 乾式多板 フレーム - チューブラースチール・ダブルクレードル サスペンションフロントサスペンション - 直径36mm カワサキ テレスコピック リアサスペンション - アルミ角断面スイングアーム + ユニトラックリンク + カヤバ モノショック(1本サス) ブレーキフロントブレーキ - 直径310mm ボグル&ブラウン 鋳鉄ディスク + カワサキ 2ピストンキャリパー x 1(シングルディスク) リアブレーキ - 直径210mm カワサキ アルミディスク + 2ピストンキャリパー x1 車重(乾燥)- 104kg 最高速度 - 160mph(257.49km/h) 製造年 - 1980年
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