JBCのずさんな検査体制・対応の発覚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:16 UTC 版)
「井岡一翔」の記事における「JBCのずさんな検査体制・対応の発覚」の解説
JBCのドーピング検査は、尿検体を2つに分けたA検体での簡易検査で陽性が判明した場合、B検体を使って精密検査を行う。井岡のA検体で禁止薬物が検出され、B検体の半分を使って精密検査を行ったところ、複数の禁止薬物に陽性反応が出たという。JBCはこの検査結果を井岡サイドに伝えず、結果確定前に警察の介入を許し、そして一部週刊誌にスクープされるかたちで露見することとなってしまった。 この杜撰な対応、そしてドーピング検査結果を公表してこなかったことが「隠蔽」と解釈されたため、JBCに批判が殺到した。永田有平理事長はマスコミの取材に自身が諸悪の根源のような扱いを受けることは納得しがたいとし、「問題は何でマスコミにリークがあったのか。(ドーピング違反があれば)審議をして結論が出て、初めて規定違反や罰則を世間一般にご報告するのが普通です。だが、その過程がリークされて大きな問題になった。それ(リーク)がうちの職員なら大変な問題。機密事項を漏らしたのだから」と話した。倫理委員会はあくまでも第三者機関であり、JBCが直接関わっていないとしながらも「5月中には絶対に結論を出す」と明言している。JBC内部からの情報漏洩の可能性を考慮し、倫理委員会の結論が出た後にJBC理事会でガバナンス委員会を設置する方針であるという。 またこの件で井岡のみならず家族に向けての誹謗中傷の書き込みがあったことから、井岡は5月10日にInstagramを更新し「こうゆうメッセージ・コメント送ってくる奴、勘違いすんなよ、言っていい事と悪い事があるからな 絶対に許さんからな。後悔すんなよ」と怒りをあらわした。 5月19日、永田理事長がオンラインで記者会見を行った。JBCは利害関係のない弁護士・医師らで構成される倫理委員会に調査・審議を委属しており、18日に答申を得たという。答申によると、大麻が検出されたとされるA検体は擬陽性の疑いが強く、B検体からは大麻は不検出であった。擬陽性の原因として2020年12月31日から2021年1月5日までの間、検体を冷凍保存しなかったことによる腐敗の可能性も指摘された。禁止薬物のエフェドリン、フェネチルアミン、チラミンがB検体から検出されたことはこの腐敗が原因である可能性があり、尿採取の時点ではこの成分が存在していたと認定することは困難であるという。また警察への通報後に押収されたB検体を全量消費されてしまい、井岡側が求めた再検査も行えないという手続き上の不備も指摘された。 同委員会は井岡が薬物規定に違反したと「認定することはできない」と結論づけ、19日のJBC理事会でも承認されたという。井岡の潔白が証明されたため、処分は行われない。また対戦相手の田中陣営に対し「心穏やかではなかったと思う。私どもの方にお伺いしたいと(畑中ジム側に)お話ししました。ジムにもお伺いして謝罪したい」と永田理事長は話している。 これを受け、井岡は同日、所属事務所のFacebookでコメントを発表し、弁護士同伴で記者会見を行った。JBC側は直接謝罪を行うとしているが「正直、そんなものでは絶対に許せない」「この1か月半で僕の人生はかなり変わった。僕の人生、家族の人生がこのまま終わっていくのかという不安があった。(JBC側の)いろんな不備だけで、謝罪だけで、終わらせて欲しくない。いまの体制でやっていくのは不安。選手が安心できてパフォーマンスに集中できる体制をつくって欲しい」と身の潔白が証明されるまでの精神的苦痛を訴えた。井岡側の弁護士の調査によると、採取された尿検体はJBC職員がリュックサックに入れて持ち帰り、自宅冷蔵庫で1月5日まで保管された後、都内病院で冷凍保管されたという。「世界タイトルマッチでは10年間、保管され、もう手慣れていると思って信頼していたが、いざ(JBC職員の冷蔵庫に保管されていたことを)知って驚いた。ドーピング検査はアマチュア時代から経験しており、世界タイトルマッチで(自分の尿検体の扱いを)それほど重要視するほどでもなかったし、大丈夫と信じていたんですけど」と井岡は話している。
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