ITERの目的とは? わかりやすく解説

ITERの目的

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 18:53 UTC 版)

ITER」の記事における「ITERの目的」の解説

21世紀初頭の現在、核融合に関する研究世界各国活発に行われており、装置方式についても様々な種類のものが検討されている。しかし、これまでの研究装置では、実用化するに足る規模エネルギー数十kW程度)を継続的に発生させた例はなく、瞬間値としても欧州連合JETJoint European Torus)が1997年記録した1万6千kW最大である。実用規模核融合エネルギー生じ条件下でのプラズマ物理未知の領域であり、プラズマ物理における課題解明大きく期待されている。また、その解明核融合エネルギー実用化不可欠な課題一つである。ITERでは最大50 - 70kW出力熱出力)が見込まれており、実用規模エネルギー発生させる初の核融合装置となる。さらに、ITERではエネルギー発生プラントとしてのエネルギー収支大きく向上され、運転維持に必要となるエネルギー入力エネルギー)と核融合により生成されるエネルギー出力エネルギー)との比(エネルギー増倍率)が従来装置では1程度であったところ、5 - 10目標値としている。 また、核融合による発電を行う場合長時間連続して核融合反応生じさせる必要があるが、実用可能な程度に高い圧力プラズマ保持するまでには至っておらず、韓国KSTAR55秒を達成したのが最長である(低い圧力プラズマについては、九州大学のTRIAMが5時間16分の記録保持)。ITERではこれを超えてエネルギー増倍率10上の場合でも300 - 500秒の長時間運転達成できることに加えエネルギー増倍率が5の場合には定常運転(連続運転)が可能となることを目標としている。 さらに、核融合装置プラズマ閉じ込め用の超伝導コイルプラズマ加熱用の加速器保守のための遠隔ロボット等、高度な技術集大成でもあり、ITERにおいてこれらの機器統合的運用して核融合装置という特殊な環境においてもお互いに悪影響及ぼさず正常に運転するという経験を積むことは、核融合実用化にあたって貴重な機会であり、これもITER大きな目的の一つである。 一方で核融合実用化には、高い中性子照射耐えるとともに放射性物質変化しにくい材料開発必要不可欠であるが、ITER材料開発用いるためには中性子発生量が不十分であり、これを主な目的とはしていない。したがってITER並行して核融合材料開発を行う必要があり、IFMIF計画という、国際協力により材料開発のための照射設備建設計画が、日本青森県六ヶ所村進行中である。 このようにITERのみで核融合実用化達成されるわけではないが、ITER実用化に向けて重要な一歩であることは間違いない

※この「ITERの目的」の解説は、「ITER」の解説の一部です。
「ITERの目的」を含む「ITER」の記事については、「ITER」の概要を参照ください。

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