EWR VJ 101
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/28 01:28 UTC 版)
EWR VJ 101は、西ドイツのVTOLジェット戦闘機の実験機である。VJはドイツ語で垂直戦闘機を表す「Vertikal Jäger」[1]、または試作戦闘機「Versuchsjäger」の意である。この機体はF-104スターファイター戦闘機の後継機の基礎となることになっていたが、1968年に5年間のテストプログラムの後でキャンセルされた。VJ 101はマッハ2での飛行能力を持つように設計された最初のV/STOL(垂直/短距離離着陸)機の1つである。
設計と開発
ハインケルとメッサーシュミットはVTOL飛行の要求に合致する航空機の設計を進めていたが、1959年にこの2社とベルコウはVJ 101Cを製造するためにEWRというジョイントベンチャーの会社を設立した。新しい提案は初期のベルコウ、ハインケルとメッサーシュミットの計画の特徴を滑らかで流線型の機体の中で融合していた。VJ 101は両翼端のナセルに内蔵された水平方向から垂直方向へ回転するエンジンを搭載している点でベル D-188Aに似ていた。両翼端の主エンジンに加え、ホバリング飛行時に主エンジンを補助する2基のリフト用エンジンが胴体内に装備されていた。

1960年の初めに概念テストのためにEWRは「Wippe」(シーソー)と呼ばれるテスト・リグを造った。基本的な1軸のコントロールシステムのために、中央に垂直方向にリフト用エンジンが設置された水平の梁に簡単な操縦席が取り付けられた物だった[2]。後に造られた「ホバーリグ」は、VJ 101Cの骨組みに飛行する機とほぼ同じ位置に3基のロールス・ロイス RB106エンジンが取り付けられたものだった。各々が2,100 lbf (9.3 kN)の推力を発生する小さなエンジンはテスト・リグを持ち上げるには充分だった。初期テストの後テスト・リグは1961年5月の伸縮する円柱から、1962年3月には自由飛行が出来る「飛べる」ものに発展した[3]。布で覆われた「外皮」で胴体と翼を模した追加テストは良好な結果だった(全ての季節と全天候下で満足いくコントロールを見せた)[3]。
テストと評価
2機の試作機X-1とX-2が作られ、1963年4月10日にX-1号機が最初のホバリング飛行を行った。ホバリング飛行から水平飛行への遷移は1963年9月20日に行われた。VJ 101C X-1号機は40回の空力飛行と24回のホバリング飛行に14回の完全遷移を行った。これらのテストの間に垂直離着陸機では初めて音の壁を突破したが1964年9月14日に自動操縦の欠陥が原因で墜落した。1964年7月29日にVJ 101Cはアフターバーナーを使用せずにマッハ1.04で飛行した[4]。
1965年10月22日に新しい自動操縦装置を取り付けたX-2号機は遷移飛行を成功させた。テストは引き続きX-1号機には無かったアフターバーナーを付けたX-2号機で続けられた。しかし開発プロジェクトは1968年にキャンセルされた。マッハ2級の迎撃機になると目されたVJ 101D型は造られなかった。VJ 101C X-2号機は現在ミュンヘンのドイツ博物館で吊るされて展示されている。
要目
(VJ 101C X-2)
- 乗員 - 1名
- 全長 - 15.70 m (51 ft 6 in)
- 全幅 - 6.61 m (21 ft 8 in)
- 全高 - 4.10 m (13 ft 6 in)
- 最大離陸重量 - 6,100 kg (13,420 lb)
- 最高速度 - マッハ1.04 を達成
- エンジン – 6 * ロールス・ロイス RB145 ターボジェット (それぞれ2,750 lbf (12.20 kN))
関連項目
出典
脚注
書籍
- Rogers, Mike. VTOL: Military Research Aircraft. New York: Orion Books, 1989. ISBN 0-517-57684-8.
- Winchester, Jim. "EWR-Sud VJ 101C (1962)". X-Planes and Prototypes. London: Amber Books Ltd., 2005. ISBN 1-904687-40-7.
- Green, William. Macdonald Aircraft Handbook. London. Macdonald & Co. (Publishers) Ltd., 1964.
外部リンク
「EWR VJ 101」の例文・使い方・用例・文例
- 101番.
- 順序を数える際の序数101
- フランスの聖職者(ドイツ生まれ)で、1084年にカルトゥジオ修道会を設立した(1032年−1101年)
- 英国の王で、カヌートへの抵抗を先導したが、破られ、やむを得ずカヌートと王国を分割した(980年−1016年)
- カスティリャとレオンの王で、サラゴサ、セビリア、トレドのムーア人の王たちの支配を成し遂げた(1016年−1065年)
- 海面での気圧は1013ミリバールである
- 1010を表す国際単位系接頭語
- 水道法において,101〜5000人の給水人口を対象とする水道
- メンデレビウムという原子番号101の人工放射性元素
- 部長らは14.4トンの牛肉を売却し,政府の補助金支給者である日本ハム・ソーセージ工業協同組合から1010万円を受け取った。
- 12月31日,台湾のタイペイ(台北)に,世界一高いビルであるタイペイ 101が正式にオープンした。
- タイペイ101は,高さ508メートルで,地上101階(建て)である。
- それらのエレベーターの速度は,分速1010メートルである。
- タイペイ101がオープンする前は,横浜のランドマークタワーのエレベーターが分速750メートルで世界最速だった。
- 地元の旅行業者は,タイペイ101が新しい観光名所となり,日本人観光客が同ビルに押し寄せるのを期待している。
- また,吉田選手は自身の国際大会での連勝記録を101に伸ばした。
- 地上101階建てで,高さが492メートルある。
- 宇宙物理学者のジョンは,「911012996」という数字が2001年9月11日の米国でのテロ攻撃の日付や死亡者数と一致していることに気づく。
- これは1014本のスギの木によって1年間に吸収される二酸化炭素の量に当たる。
- それは,世界一高いビルの称号を以前持っていた台湾の高さ508メートルのビル「台(タイ)北(ペイ)101」を上回った。
固有名詞の分類
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