ATC-1型(東海道・山陽型)(消滅)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 14:45 UTC 版)
「自動列車制御装置」の記事における「ATC-1型(東海道・山陽型)(消滅)」の解説
東海道新幹線開業時1964年に採用されたATCで、東海道新幹線は地上装置がATC-1A型とし、最高運転速度210km/hとして設計され、続く山陽新幹線はATC-1B型とし、東海道より最高速度を上げた。信号現示は0・30・70・110・160・210で、すべて現示速度は抑止速度(実際に速度超過でブレーキが作動する速度)であった。このうち0信号は3つあり、軌道回路が30信号を発信し、先行区間に列車が存在する場合において、各軌道回路の境目から、約150m手前に設置された地点検知の地上子 から発信されるP点信号を受信することにより作動する01(ゼロイチ)、先行区間進入などの無信号区間や各種機器の故障時等による02(ゼロニ)、ループコイルによる03(ゼロサン)があり、車上現示では区別が分からないが、01と02では確認扱いにより進行することができるが、03信号は絶対停止信号とも呼ばれ信号現示が変わらない限り進行することはできない。また、駅間で後続列車が先行列車に接近の場合には、地上側で先行列車までの速度信号を160・30・0 (01) で発信させ、停車での駅進入の場合には、同様に列車から駅までの速度信号を160・70・30・0 (03) で発信させることにより、ATCによる多段ブレーキ制御によって列車を自動的に減速させ、車両側の信号現示が30信号になり30km/h以下になった場合、運転席にある確認ボタン押して確認扱いをすることにより、ATCのブレーキが緩解して、その後、ブレーキハンドルによる手動操作により列車を停止させる。もし、この確認ボタンの操作を怠るとATCのブレーキが作動したまま列車は停止する。また、ブレーキハンドルによる手動操作が行われなかった場合、先行列車に接近している時は、地点検知のP点の地上子から発信される01信号によって停止し、駅停車時では、出発進路の始端の外方(前方)に設置された、添線式停止制御軌道回路(ループコイル)が発信される03信号によって停止する。東海道新幹線大阪運転所脱線事故や品川基地出入場線本線合流部・新大阪駅構内の異常信号現示により、無信号時の混信における意図しない信号現示が問題になり保安度向上の必要性に迫られた。その後、保安度向上および最高速度アップに伴う現示追加のため、信号波を2周波組み合わせる方式に改良された(ATC-1D型、山陽ATC-1W)。東海道新幹線での最高現示速度は1986年の11月に220km/h に1992年の300系登場後より270km/hとなり、山陽新幹線では1997年の500系登場後より300km/hとなり、信号現示は0・30・70・120・170・220・230・255・270・275・285・300となっていた。なお、220信号以上での抑止速度は現示速度+5 km/h(300のみ+3 km/h)であり、東北・上越・北陸新幹線とは考え方が異なる。東海道新幹線では2006年3月18日にデジタルATC (ATC-NS) へ更新され、山陽新幹線でも2017年2月19日にATC-NSへ更新された。これにより、新幹線からアナログATCは姿を消した。 先行列車に接近時におけるATC-1型のATCブレーキ動作のグラフ図(210km/h運転時)。縦軸は列車速度、横軸は距離、横軸下の数字は各軌道回路から発信される現示速度、黒の太線は現示速度による速度段、黒の細線はATCのブレーキによる列車の運転パターン、AはP点信号を発信する地点検知の地上子、Bは先行列車。赤の細線は、確認を扱わない場合のATCのブレーキによる列車の運転パターン。 この図では、確認扱い後、手動によるブレーキが行われなかった場合、地点検知の地上子のP点信号を受信してATCのブレーキが掛かった状態を表している。 駅に停車するまでにおけるATC-1型のATCブレーキ動作のグラフ図(210km/h運転時)。縦軸は列車速度、横軸は距離、横軸下の数字は各軌道回路から発信される現示速度、黒の太線は現示速度による速度段、黒の細線はATCのブレーキによる列車の運転パターン、Aが添線式停止制御軌道回路(ループコイル)、赤の細線は、確認を扱わない場合のATCのブレーキによる列車の運転パターン。 この図では、確認扱い後、手動によるブレーキ操作により、ループコイル手前の車両停止標識までに停車した状態を表している。
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