AA型復元車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 08:38 UTC 版)
「トヨダ・AA型乗用車」の記事における「AA型復元車」の解説
1980年代に至りトヨタ自動車は自社のルーツであるAA型の行方を捜したものの、日本国内においてついに残存車を発見することはできなかった。 そこでトヨタでは、AA型を自社で一から復元製作することを決定した。系列の特殊車両製作会社であるトヨタテクノクラフトが実際の作業に当たったが、残存資料が限られており、当時かろうじて生存していたAA型開発当時の関係者からも証言を得て、内張生地の色合いに至るまで、開発時の仕様に極力忠実な復元が進められた。 戦後世代にはなじみのないインチ規格の設計で、その換算だけでも困難であったという。また一部に排気管などの図面通りの寸法では組み立てることができない、あるいは図面に書かれていない部品もあり、開発・生産当事者に聞き取りを行ったところ「そこは現物合わせで調節して組み付けていた」という拍子抜けするような真相がわかった部位もあった。 この復元AA型は1986年に完成した。監修に当たった自動車評論家・五十嵐平達は、復元車を運転して「昔のトヨタはシボレー(GM製大衆車)のようだったが、これはダッジ(クライスラー製中級車)だ」と評し、復元車の性能水準がオリジナルより上がっていることを示唆したという。あくまで原型に忠実に製造したつもりだったが、技術の進歩の結果、戦前より材質の水準や加工精度が上がってしまったのが「予期せざる性能向上」の原因だったらしい。 以後この経験のもと、G1型トラックをはじめとする主な戦前型トヨタ車各車についても復元車が製造され、トヨタ産業技術記念館に収蔵されているが、トヨタ博物館所蔵のAB型は1974年に法政大学自動車部よりトヨタ自動車に寄贈された車両をレストアしたものであり、復元車ではない。 この経験から、トヨタは自社の歴史にクラシックカーのモチーフを得、その後1996年にはハイラックスベースの、AA型をモチーフにしたトヨタ・クラシックが限定発売される事になる。
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