A300の登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/18 03:44 UTC 版)
1968年、ベレッタは販売カタログに新型の半自動式散弾銃であるベレッタA300を正式に追加した。A300はアルミ合金製の機関部とクロムモリブデン鋼製の銃身の他、管状弾倉の先端にガスピストンを備え、遊底に連結された連結桿(アクション・バー)にガス圧力による駆動力を伝達する、ショートストロークピストン方式のガス圧作動機構を新たに採用しており、2.75(2 3/4)インチの薬室に装填される散弾実包であれば、狩猟向けの重装弾や射撃競技向けの軽装弾でも機関部の調整無しに作動する事や、シリンダー状に整形された銃身側のガスポート内を、円周上に複数の切り溝が設けられたピストンが往復する事でシリンダー内に堆積した未燃焼ガスの残渣が自動的に排出される自己洗浄作用を有しており、射手が射撃の都度ガスピストンを清掃する必要性を可能な限り抑制している点を最大の特色としていた。 A300は発売と共にイタリアのみならず世界的なヒット作となり、1971年以降は20ゲージモデル(英語版)や3インチマグナム装弾対応モデルが加わると共に、世界最大の銃器市場を有する北米にも米国のガルシア・スポーティング・アームズ社を通じてガルシア-ベレッタ ALシリーズとして輸出が開始された。 ベレッタはA300のライセンス生産契約にも積極的に対応しており、日本市場では川口屋林銃砲火薬店(KFC)とのアンダーライセンス契約により、シンガー日鋼がライセンス生産するKFCガスオートとして1972年より発売が開始された。北米市場にはガルシア社の輸出ルートの他に、ブローニング・アームズへのアンダーライセンス契約も行われており、ブローニングはベルギーのFNハースタルにA302をライセンス生産させる形でブローニング・B-80を1981年から1988年に掛けて販売した。イタリアのブレーダ・メッカニカ・ブレシャーナも1980年代から1990年代に掛けて、A300のライセンス生産品であるブレダ・アルテア・ルッソを製造していた。 KFC、ブローニング、ブレーダの各社はA300を単純に複製するのではなく、既存の顧客層の為にそれぞれ独自の仕様変更を行っていた。KFCガスオートは前身のKFCオート(ブローニング・オート5)より採用していた外装式交換チョーク銃身を有していた事が特徴であり、その原型となったブレーダが製造したブレダ・アルテア・ルッソも歴代のブレーダ製半自動式散弾銃が採用していたクイックチョークをそのまま使用する事が出来た。なお、本家A300シリーズが内装式交換チョークを採用するのは1980年登場のベレッタA302以降である。また、ブローニング・B-80は同社のオート5を愛用する顧客層へのアピールの為、機関部の材質を鋼鉄製とし機関部後端を切り立った形状とするハンプバックデザインを特色としていた。KFCガスオートは機関部の左側面に「UNDER LICENCE OF BERETTA」、ブローニング・B-80は銃身に「Patent (PB) Italy 3420140」とそれぞれ刻印されており、A300のライセンス生産品である事が明記されていた。
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