21世紀における導入の議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 05:55 UTC 版)
「金融取引税」の記事における「21世紀における導入の議論」の解説
2010年代のヨーロッパで議論された金融取引税は、特定の目的に対する、特定の種類の金融取引(英語: financial transaction)に課せられる租税で、外国為替や株式や債券やデリバティブ取引など、全ての投機的(短期)金融市場取引を対象とする超低率(0.1%以下程度)の課税である。超低率であっても莫大な租税収入が見込まれている。 莫大な租税収入が見込まれる理由は、金融取引1回ごとにその取引高に課税される、コンピューターを駆使した短時間で膨大な取引回数を行う投機的取引への課税(低利率×膨大な取引回数)であるからである。このようなキャピタルゲイン目当ての短期の投機ではなく、株式や債券などでの本当の投資である長期投資や実体経済での為替取引である貿易決済や国際通貨両替などにおいてはそれに比べその取引回数は非常に少ないためこの税負担は無い(影響を受けない)に等しい。 よってこの税負担者は自身で直接に金融取引行う個人投資家は別として、投資信託などで金融取引の代行を行う投資運用会社(機関投資家)になる。これが個人の金融所得になった時点で適用される日本での所得税(分離課税)とは違う点である。 だが世界各国が同時に導入しなければ効果が出ないという難点もある。非導入国がある場合、投機家の資金が非導入国に大量に流入する恐れがあるからである。 その概念は金融サービスで広く共通して考えられてきた;それは通常消費者が支払う消費税を含めずに考えられる。 取引税は金融機関そのものにおいて徴税されるものではない;むしろ、課税の対象となる目的とするところの特別な取引において徴収される。であるから、もし金融機関が全くその課税対象となる取引を行わないならば、取引税の対象と全くならない。なおその上、もしある金融機関が一つのそのような取引を行えば、その一つの取引に対してだけ課税される。それらの上で、例えばこの税は金融活動税(英語版)(英:financial activities tax、略してFAT)でも、金融安定な寄付(英:financial stability contribation、略してFSC)、もしくは銀行税(英語: Bank tax)でもない。(1936年にジョン・メイナード・ケインズが元々展望したように)他のいかなる行為も抑制せずに過度の投機を選択的に抑制する手段として金融取引税を扱う議論においてこの明確化は重要である。 金融取引税は幾つかのタイプがある。各々はそれらの目的を持つ。あるものは提案に過ぎない一方で、あるものは既に実現されている。それらの概念は多くの組織や世界中の地域で考えられた。あるものは地域として一つの国内で使うのを意味する;これに反してあるものは多国間である。380億ドル(290億ユーロ)を計上する、2011年ではFTTを使っている国は40ヶ国ある。 2020年に入り新型コロナウイルス感染症への経済対策に端を発した給付金や導入の機運が高まっているベーシックインカムなどへの財源の必要性などから、超低率で莫大な財源創出が見込めるこの金融取引税やトービン税(通貨取引税)などの導入の機運が世界的に高まっており、効果を発揮させるためには全世界での協調導入(国際連帯税として)が必要である。 他、日本においては、逆進性があり格差拡大や景気減退につながっている消費税の減税や廃止などのための新たな財源として、この金融取引税も有望である。 詳細 日本の消費税議論#金融取引税、トービン税(通貨取引税)の導入 参照
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