イペとは? わかりやすく解説

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タベブイア


タベブイアは熱帯アメリカ産の重硬な木材代表的なもの一つで、米国木材市場では古くから知られていますが、日本ではあまり一般的に知られている木材とはいえませんでしたが、最近話題になるようになりました熱帯アメリカ分布しており、数種あることが知られています。中型から大型樹木で、大きな丸太がとれ、ブラジル産のものは、アマゾン河高地地帯で最も大きくなる樹種一つで、樹高40mに達するものがあります

木材
心材と辺材の差ははっきりとしています。心材はやや緑色帯びた褐色から黒に近い褐色になり、時には色の違いによる不均一な筋がでます。辺材白色あるいは黄色帯びてます。非常に重硬で、気乾比重は0.96-1.28です。木理は交走することが多く、肌目は精です。加工どちらかといえばむずかしく欠けることが多いですが、仕上がると美しくなります耐久性は非常に高く、かって、リグナムバイタが船のプロペラ軸受けさかんに使われていた頃、この木材がよく似ていることから代替材として試されたという記録残ってます。

用途
重硬で耐久性が高いことから、建物土台窓枠ドアなどによく用いられまた、鉄道枕木などにもされています。日本での利用経験はよく知られていませんが、強さ耐磨耗性耐久性必要な用途利用されるでしょう


イペ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/12 05:34 UTC 版)

イペ[1]あるいはイペー[2](ipe; ポルトガル語: ipê)は、シソ目ノウゼンカズラ科の広葉樹。別名パオロペとも呼ばれる[3]。木材としてはタベブイア属(Tabebuia)の数種類から得られたものを指す語である[1][4]が、一部はHandroanthus属に分類し直されている。イペとは南米先住民語のトゥピ語で〈皮の厚い木〉を意味する[2]

場合によってはラパチョ(lapacho)やグリーンハート(greenheart)、アイアンウッド(ironwood)とも呼ばれるが、グリーンハートとして有名であるのはイペとは分類学的にも離れているクスノキ目クスノキ科Chlorocardium rodiei(シノニム: Ocotea rodiei)であり[1]、またアイアンウッドはこれまた互いに分類学的な類縁関係の薄い何種類もの樹種を指して用いられる語である。

樹としての特徴

そもそもイペの名で呼ばれる樹木は以下のように複数種が存在する。分類情報は World Flora Online による[5]

学名 シノニム 原産地 主な特徴 日本語 ブラジルポルトガル語 スペイン語 英語 備考
Handroanthus chrysanthus (Jacq.) S.O.Grose Tabebuia chrysantha (Jacq.) G.Nicholson ホンジュラスエルサルバドルから南米北部[6] 葉は5出掌状複葉[6]、花は濃い黄色で枝先につく総状花序[2][7]または円錐花序[8][9] キバナノウゼン[2][10]、キバナイペー[7]、イエロー・トランペットツリー[9] ベネズエラ〕araguaney[7] yellow trumpet tree[9] ベネズエラの国樹[9]。ウォーカー (2006) がイペ材の得られる樹種として挙げたうちの一種。
Handroanthus chrysotrichus (Mart. ex DC.) Mattos Tabebuia chrysotricha (Mart. ex DC.) Standl. コロンビアからブラジル[2][6] 葉は5出掌状複葉、花は濃い黄色で枝先に散形状に[6]8-10個つき、果実は20-35センチメートル[2] コガネノウゼン[2][10]、キバナイペー[2] ipe-amarelo[2]〈黄色いイペ〉 golden trumpet tree、gold tree[2]
Handroanthus guayacan (Seem.) S.O.Grose Tabebuia guayacan (Seem.) Hemsl. 中米および南米北部[7] 葉は5出掌状複葉、花は黄色で総状花序[7] グアヤカン[7] 〔中米、コロンビア〕guayacán;〔エクアドル〕madera negra[7]〈黒い材木〉 ウォーカー (2006) がイペ材の得られる樹種として挙げたうちの一種。
Handroanthus heptaphyllus (Vell.) Mattos Tabebuia heptaphylla (Vell.) ToledoTabebuia ipe (Mart. ex K.Schum.) Standl. ウォーカー (2006) がイペ材の得られる樹種として挙げたうちの一種。
Handroanthus impetiginosus (Mart. ex DC.) Mattos Tabebuia avellanedae Lorentz ex Griseb. ブラジル、ボリビアパラグアイアルゼンチン 花は微紅から濃い紅紫色[2]で散形に多数つく[6]か円錐花序[7] イペー、モモイロイペー[2]、イペーロッシヨ[7]、ピンク・トランペットツリー[9] ipe-rosa[2][7]ipê-roxo[7]〈紫イペ〉、ipe[2] 〔パラグアイ、アルゼンチン〕lapacho[7] pink trumpet tree[9] ブラジルの国花[7]。村山 (2013) は本種のみをイペ材(あるいはタベブイア)として紹介。
Handroanthus serratifolius (Vahl) S.O.Grose Tabebuia serratifolia (Vahl) G.Nicholson キューバ[2]プエルトリコトリニダード・トバゴ、南米[6] 葉は卵形で先端がぎざぎざした薄い小葉4-5枚からなり[2]、花は黄褐色で散形花序[7]あるいは密生した円錐花序[8]、果実は長さ20センチメートル[2] パウドアルコアマレロ[7]、ワシバ[9] pau d'arco amarelo[7]〈黄色い弓の木〉 〔コロンビア〕guayacán polvillo[11];〔ベネズエラ〕flor amarillo[11][7]〈黄色い花〉;〔エクアドル〕madera negra[7]〈黒い木材〉 yellow poui[2][6][9];〔アメリカ合衆国〕bastard lignum vitae[7]〈偽リグナムバイタ ウォーカー (2006) がイペ材の得られる樹種として挙げたうちの一種。河村・西川 (2014) は本種をイペ(あるいはラパチョ)材が得られる樹種の例として挙げている。
Handroanthus umbellatus (Sond.) Mattos Tabebuia umbellata (Sond.) Sandwith(タベブイア・ウンベラタ)[2][6] ブラジル[2][6] 葉は3または5出の掌状複葉[6]、花は黄色く短い散形花序で多数つき、果実は長さ40センチメートル[2] ipe-amarelo[2]〈黄色いイペ〉
Tabebuia heterophylla (DC.) Britton Tabebuia pentaphylla Hemsl.(ゴヨウノウゼン[10])、T. riparia (Raf.) Sandwith ジャマイカ[2]含む西インド諸島からベネズエラ[6]、ブラジル[2] 花は淡い桃色または桃色で大輪に咲く[6] カワリバノウゼン[10] ipe-roxo[2]〈紫イペ〉 white(-)wood[2][6] 坂﨑 (1998) は T. heterophyllaT. pentaphylla ではなくモモイロノウゼン[10]T. pallida)と同種とする説があると述べている。またブリッケル (2003) は T. pentaphylla をキダチベニノウゼン(T. rosea; 別名: ピンクテコマ)の園芸名としている。

キバナノウゼン(学名: Handroanthus chrysanthus)は樹高30メートル[2]、パウドアルコアマレロ(学名: Handroanthus serratifolius[9]イペーロッシヨポルトガル語: ipê-roxo〈紫イペ〉; 学名: Handroanthus impetiginosus)は樹高45メートルにまでなる場合がある[7]。イペーロッシヨにはラバコールと呼ばれる成分が含まれており、防腐効果や防虫効果を発揮するとされている。南米の原住民は、紫イペの樹皮の内側の層を削って煎じてラパチョと呼ばれる民間煎じ飲料として使用する。解熱・消炎・妊娠中絶・健胃効果があるとされる。

木材としての特徴

年輪や杢目に乏しく、南方材らしく密に詰まった材質をしている。色は薄褐色から暗色の帯のものまでかなり幅広く、辺材は黄白色である[1]。腐りにくい反面加工しづらく、ドリルで穴あけしないとビス打ちも困難なほど硬い。水につけても腐りにくいが、乾燥すると割れたり狂いが出やすい。シロアリや湿気に強い。気乾比重は0.91-1.20であり[4]、水に沈むハードウッドである。

アレルギー

イペに含まれる含まれるラバコールは人によってはアレルギーを起こすため、加工時にはマスクを着用したほうが良いとされる。舞った木屑で炎症を起こす可能性があり[1]、木工家の河村寿昌は「マスクをしないと鼻がむずむずする」と語っている[4]。木屑が皮膚に接触すると、接触性アレルギーを起こすこともある。

用途

木材建築物の基礎、ウッドデッキ、フローリングなどに使用される。用途としてはウリンなどと同様の分野に使用される。

ヴァイオリン属の楽器の材の、希少なブラジルボク(フェルナンブーコ)の代替材として世界で評価されている[12]

特記事項

  • 横浜大さん橋(くじらの背中)でも、フロア材として大量に使用されたが、乾燥すると割れやすいという性質が考慮されなかったために亀裂が多数発生し、来客が転倒した際に怪我をするという問題が多数発生した。

ギャラリー

Handroanthus属:

タベブイア属:

脚注

  1. ^ a b c d e ウォーカー (2006).
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 坂﨑 (1998).
  3. ^ イペ”. sunnywood. 2018年10月11日閲覧。
  4. ^ a b c 河村・西川 (2014).
  5. ^ World Flora Online, http://www.worldfloraonline.org/, 22 May 2019
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 土屋 (1989).
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 熱帯植物研究会 (1996).
  8. ^ a b ブリッケル (2003).
  9. ^ a b c d e f g h i リズデイルら (2007).
  10. ^ a b c d e 米倉・梶田 (2003-).
  11. ^ a b Grandtner & Chevrette (2013:291).
  12. ^ AU JAPON - アルシェ 「弓」 p.9 (PDF) Arche

参考文献

英語:

日本語:

  • エイダン・ウォーカー 編、乙須敏紀 訳『世界木材図鑑』、産調出版、2006年、172頁。 ISBN 4-88282-470-1(原書: The Encyclopedia of Wood, Quarto, 1989 & 2005.)タベブイア属として複数の樹種をまとめて紹介している。
  • 河村寿昌、西川栄明 共著、小泉章夫 監修『【原色】木材加工面がわかる樹種事典』誠文堂新光社、2014年、218頁。 ISBN 978-4-416-61426-6
  • ニック・ギブス 著、乙須敏紀 訳『木材活用ハンドブック』産調出版、2005年。 ISBN 4-88282-450-7(原書: The Wood Handbook, Quarto, 2005.)
  • 坂﨑信之 主著『日本で育つ 熱帯花木植栽事典』アボック社、1998年、987-8頁。
  • 土屋照二「タベブイア〔属〕」 『園芸植物大事典 3』小学館、1989年、169-170頁。 ISBN 4-09-305103-8
  • 熱帯植物研究会 編『熱帯植物要覧』(第4版)養賢堂、1996年、462-3頁。 ISBN 4-924395-03-X Tabebuia属として様々な種を紹介。単にカナ表記「イペ」として紹介されているものは一つもない。
  • 「TABEBUIA タベーブイア属」 クリストファー・ブリッケル 編集責任、横井政人 監訳『A-Z 園芸植物百科事典』誠文堂新光社、2003年、996頁。 ISBN 4-416-40300-3
  • 村山元春 監修、村山忠親 著『増補改訂 原色 木材大事典185種』誠文堂新光社、2013年、181頁。 ISBN 978-4-416-71379-2. Tabebuia avellanedae のみを「イペ」あるいは「タベブイヤ」として紹介。
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info (2019年5月24日).
  • コリン・リズデイルスペイン語版、ジョン・ホワイト、キャロル・アッシャー 著、杉山明子、清水晶子 訳『知の遊びコレクション 樹木』新樹社、2007年、333頁。 ISBN 978-4-7875-8556-1(原書: Eyewitness Companions: Trees, Dorling Kindersley, London, 2005.)Tabebuia属として3種を紹介。「イペ」の呼称は言及なし。

関連項目


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