高須賀池とは? わかりやすく解説

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高須賀池

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 18:53 UTC 版)

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高須賀池(2011年12月)

高須賀池(たかすかいけ)は埼玉県幸手市大字高須賀および大字松石(行幸地区)に所在するである。

概要

池の周囲自然のままの場所と土崩れ防止の護岸がなされている地点とが存在する。池の形状は洪水の度に変化しているが、1961年昭和36年)頃にはほぼ現在の姿となっていることが確認できる[1]。池の周囲は公園として整備されていることもあり、ほぼ水面に近づくことが可能であるが、場所により立ち入り制限がなされている。所在地周辺は北側は主に水田などの農地堤防を挟み中川が流下している。東側および西側は集落となっており、南側は水田などの農地となっている。池の南部では2条の水路と接続しており、西部にて1条の水路と接続している。今日では池の周囲は約650mとなっているが、明治期の記録である『武蔵国郡村誌』には東西50(約91m)・南北230間(約273m)・周囲6丁40間(約727m)とあり、高須賀村(今日の大字高須賀)の西方に位置すると記されている。

池は1786年天明6年)に発生した浅間川の破堤(権現堂堤)で生じた押堀(おっぽり)である。河川氾濫の原因としては1783年(天明3年)に発生した浅間山の噴火により利根川筋に噴石物が堆積し、河床が高くなったことに起因する。高須賀池は低地に所在する小面積の池沼には珍しく、水深が10m近くある。そのため夏期は水面近くと底層で水温差が大きくなり、酸素量に著しい違いを生じさせる。そのため特徴的な生態系がみられ研究対象となり、昭和初期湖沼学者の注目を集めた。「この小さな池はおそらく日本の池の中で、もっともよく海外学者に知られているである」と湖沼代謝の調査を施した菅原健は述べている[2]。しかし、1947年昭和22年)9月16日に発生したカスリーン台風による水害により濁流による土砂が高須賀池に流入し、池の形状が大きく変化した。水害前は南北に長かった池の南側は土砂により埋まり、池の北側は濁流にえぐられ池底の形状が変化した。この際発生した北西側の池は水深約10mを有している。これは再び押堀を形成したこととなり、池の形状が変化した後も湖沼としての価値が高く、自然環境保全法に基づき環境庁(現:環境省)の調査対象天然沼となっている。埼玉県内では柴山沼伊佐沼別所沼と併せ指定されており、5年毎に調査が行われている。このような高須賀池も今日では池の周囲は高須賀池公園として整備されており、2005年平成17年)4月1日に開園している。高須賀池以外にも古くには幸手市内に押堀などの池沼が存在していた。

自然

池の周囲が公園として開発される以前はヨシマコモなどの湿性植物が植生しており、池の東側にエノキムクノキシラカシクサギクワをはじめとする30種類を超える樹種の帯状の樹林が広がっていた。さいたまレッドデータブックには中川低地・加須低地において希少種に数えられているカヤネズミやクロスジオオウンカなどが確認されている。この他、鳥類としてカイツブリカワウ魚類としてタイリクバラタナゴオオクチバスコクチバスヘラブナマブナナマズブルーギルカムルチーモツゴ貝類としてイシガイトンボ類としてクロイトトンボ・ホソミオツネントンボ・オオアオイトトンボ・ハグロトンボなど14種が確認されており、池の周囲ではシラコバトも確認されていた。東側の樹林帯ではチョウ類としてクロアゲハゴマダラチョウキマダラセセリハエ類としてクロメマトイ・ミヤマキンバエ・キーガンニクバエ、ムカデヤスデ類としてムカデ類が多く、エリジロベニジムカデ・ヒロズジムカデ・ゴシチナガズジムカデ・ウチカケヤスデをはじめ幸手市内で確認されている種の7割、夜間には蛾類としてカギバアオシャク・ウンモンスズメ・セダカシャチホコなどが観られた。ムカデ類のジムカデが多くみられる理由として、生息地が微高地となっており水没することが少ない為とみられている。

所在地

関連項目・周辺

脚注・参考資料

脚注
  1. ^ 高須賀池周辺(1961年7月9日撮影) - 「地図・空中写真閲覧サービス」 国土地理院ホームページ
  2. ^ 災害が残した遺産 - 幸手市社会教育課. 2017年10月28日閲覧。
  3. ^ 「所在地周辺」 - Goo地図 ホームページ
参考資料
  • 『幸手市史 自然環境編Ⅰ(86ページ ~ 89ページ、136ページ)』 生涯学習課市史編さん室 編集 幸手市教育委員会 発行 平成6年8月31日 発行
  • 『幸手市史 自然環境編Ⅱ(229ページ ~ 230ページ)』 生涯学習課市史編さん室 編集 幸手市教育委員会 発行 平成12年3月24日 発行
  • 『幸手市史 特別版 幸手歴史物語 川と道(109ページ)』 幸手市史編さん室 編集 幸手市教育委員会 発行 平成十四年一月三十日 発行
  • 武蔵国郡村誌 第十四巻(421ページ)』 埼玉県立図書館 発行 昭和三十年三月二十八日 発行

外部リンク

座標: 北緯36度5分53.1秒 東経139度42分51.4秒




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