驚異の定理とは? わかりやすく解説

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Theorema Egregium

(驚異の定理 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 00:27 UTC 版)

Theorema Egregiumラテン語。音訳:テオーレーマ・エーグレギウム[注 1]。直訳:卓越した定理[注 2])はカール・フリードリヒ・ガウスにより証明された定理で、曲面ガウス曲率曲面の内在的な量(リーマン計量)のみで書ける事を主張する。

日本語では

  • 「最も素晴らしい定理」[7]
  • 「驚異の定理」[8][9]
  • 「Gaussの基本定理」[10]
  • 「抜群の定理」[11]

などと訳される事もあるが、egregiumには「驚異の」という意味はない[注 2]。英語では「Remarkable Theorem」(注目すべき定理)と意訳する事もある[12][13][14]

語源

「Theorema Egregium」という語はこの定理を示したガウスの原論文から来ている:

Formula itaque art. praec, sponte perducit ad egregium
THEOREMA. Si superficies curva in quamcunque aliam superficiem explicatur, mensura curuaturae in singulis punctis inuariata manet. — Carl Friedrich Gauss、Disquisitiones generales circa superficies curvas[15]
したがって前項の公式それ自身が導く、卓越した[注 2][注 3]
定理. もし曲面が他の任意の曲面にどのように発展したとしても、各点における曲率の大きさは不変である。 — カール・フリードリヒ・ガウス、曲面の一般的考察[16][17]

概要

鞍点

Mを3次元ユークリッド空間

ヘリコイド(螺旋面)からカテノイド(懸垂面)に変形するアニメーション

したがって、

Theorema Egregiumから得られる帰結として、平面上に地球の正確な歪みの無い地図を描くことはできない。

Theorema Egregiumを使うと、地球の地図を書くとき距離を歪ませない正確な地図は書けない事を示す事ができる[注 4][注 5]。実際、もし正確な地図が書けるなら、地球と地図(すなわち球面と平面)の距離構造は同一なので、Theorema Egregiumより両者のガウス曲率は等しくなければならないが、球面のガウス曲率は半径をRとすると1/R2であり、平面のガウス曲率は0である事が知られているので、これは矛盾である。


なお、ガウスがTheorema Egregiumなどの曲面論(ガウスの曲面論英語版)を研究したきっかけは、国家の測量を依頼されたためであった。


ベルンハルト・リーマンはTheorema Egregiumに着目する事により、「外の空間」なしのn次元曲面、すなわちn次元リーマン多様体を定義し、これが今日の微分幾何学の研究の嚆矢となった。

さらにアルベルト・アインシュタインは、重力の座標変換則がリーマン多様体のそれとよく似ている事に着目し、宇宙をリーマン多様体の類似物(擬リーマン多様体)と見なすことで一般相対性理論を確立した。

厳密な定式化

古典的な定式化

Theorema Egregiumは以下のように定式化できる:

定理 ― 


驚異の定理(Theorema egregium)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 05:12 UTC 版)

ガウス曲率」の記事における「驚異の定理(Theorema egregium)」の解説

詳細は「驚異の定理」を参照 ガウスの驚異の定理(ラテン語Theorema Egregium)は、曲面ガウス曲率曲面自身の上長さ測ることから決定することができること述べた定理である。実際第一基本形式(first fundamental form)の考え方全体として理解され第一基本形式とその一階二階偏微分として表される同値なことであるが、R3 の中の曲面第二基本形式(second fundamental form)の行列式そのように表現することができる。この定理注目すべき驚異の点は、R3 の中の曲面 S のガウス曲率の「定義」が、曲面空間内の位置依存しているにもかかわらず最終的な結果であるガウス曲率自体は、周囲空間何ら参照することなしに、曲面本質的な計量英語版)(intrinsic metric)を決定することである。つまり、これは曲面自体持っている本質的な性質である。特に、ガウス曲率は、曲面等長変形の下に不変である。 現代微分幾何学において 曲面2次元微分可能多様体(differentiable manifold)であると、抽象的にみなす。曲面古典論英語版)(classical theory of surfaces)の観点からは、そのような抽象的な曲面R3埋め込まれ(embedded)、第一基本形式により与えられるリーマン計量持っているR3中に曲面 S が埋め込まれていることを想定する局所等長性(local isometry)は、S ∩ U への制限が像の上において等長(isometry)となるような R3 の開領域微分同相写像 f: U → V である。従って、Theorema Egregium では次のように記述されている。 R3埋め込まれ滑らかな曲面ガウス曲率は、局所等長変換の下に不変である。 例えば、円筒形ガウス曲率は 0 であり、「捩れていない」(平坦である)チューブも同様である。一方半径 R の球面は正の定数曲率 R−2 を持ち平坦な平面曲率 0 を持ち、これら 2つ曲面局所的にさえ等長ではない。このように球面一部でさえ、平面表現(planar representation) は距離を混乱させてしまう。従って、いかなる地図投影法も完全ではない。

※この「驚異の定理(Theorema egregium)」の解説は、「ガウス曲率」の解説の一部です。
「驚異の定理(Theorema egregium)」を含む「ガウス曲率」の記事については、「ガウス曲率」の概要を参照ください。

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