飛騨の絵馬市の習俗とは? わかりやすく解説

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飛騨の絵馬市の習俗

名称: 飛騨の絵馬市の習俗
ふりがな ひだのえまいちのしゅうぞく
種別1: 風俗習慣
保護団体名:
選択年月日 1998.12.01(平成10.12.01)
都道府県(列記): 岐阜県
市区町村(列記):
代表都道府県 岐阜県
備考 所在地同一都道府県にあるもの(このデータ種別1から移行しています)
解説文: 高山市では、松倉山【まつくらやま】観音堂縁日などで絵馬市開かれる高山絵馬紙絵馬で、牛馬の姿を描いたのである。本来は厩に貼って、牛馬の安全や稼ぎ祈願したものであった牛馬野外で働くものであり、飛騨地方では、戦前には貸しといって農繁期越中農家に馬を貸す風習があったため、農家では紙絵馬に描かれ牛馬が厩の外側に向くように貼っていたという。また、当時商家では家の内側向かって馬が駆け込むように紙絵馬を玄関先に貼り、家内安全商売繁盛などを祈願する縁起物としていた。現在では馬を描いた絵馬の方が多くなり、福が家内入ってくるように、商家での貼り方一般的になっている。
 松倉観音堂高山市南方松倉山の山腹にあり、市内天性寺町素玄寺【そんげじ】(曹洞宗)が管理している。八月九日の昼に素玄寺和尚が同寺観音堂の本尊馬頭観音持参して翌日昼まで絵馬市を開く。十日の昼に本尊素玄寺観音堂に戻すとともに、それから夜まで同寺観音堂で絵馬市を開く。また、八軒町池本屋でも九日の朝から十日の夜まで絵馬市を開く。
 松倉山と素玄寺観音堂絵馬市頒布される紙絵馬は、素玄寺住職刷った木版刷りのものである池本屋の紙絵馬は手描きで、金嚢嚢(宝袋という)などを載せており、色鮮やかに彩色されている。紙絵馬には、注文主名字屋号書き入れ、「松倉山」の朱印祈願内容表した印が捺される。現在、祈願内容の印は交通安全家内繁盛などが主であるが、戦時中武運長久昭和二十年代までは牛馬安全と養蚕満足などが中心で、子孫長久生業繁栄などの印もあった。池本屋の紙絵馬も両観音堂朱印を捺し、祈祷してもらう。八軒町高山旧市街地への入口に当たり、明治時代には数軒の紙絵馬の版元絵馬市開いていた。大正初期までは、八軒町絵馬市紙絵馬を買い求め牛馬連れて松倉山の観音堂参拝し朱印もらってくることが多かったという。貸し馬などをしていたため、松倉観音堂縁日に馬を連れて行くことができず、紙絵馬で代参させることもあったと伝えられている。
 絵馬市では、絵馬一枚一頭数え、「松倉相場といって百円百万と言い換える習わしがある。松倉相場という言葉は、地元ではほら吹き途方もない高額の意味をもって今でも使われている。
 高山市本町山桜神社馬頭様)では、戦後絵馬市始まり、現在では八月一日から十五日にかけて独自に絵馬市行っている。また、吉城郡上宝村新平湯温泉神明神社でも七月三十一日から八月二十五日絵馬市開いている。
 飛騨絵馬市は、この地方絵馬頒布習俗をよく伝えており、民間信仰にかかわる市立ての習俗として貴重である。


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