飛行機
『夜間飛行』(サン=テグジュペリ) 1930年頃、ブエノス・アイレスの飛行場。ここは、南米各地とヨーロッパ間の郵便物輸送の中継基地である。航空会社の支配人リヴィエールは主張する。「航空便は速い。だが、夜休んでいれば、汽車や汽船に追いつかれてしまう。夜間飛行が必要だ」。夜間飛行には危険がともなう。新婚まもない飛行士が、悪天候に遭って墜落死する事故が起こった。しかしリヴィエールの考えはゆるがない。彼は夜間飛行継続の方針を、部下に伝えた。
*1927年に、郵便飛行士リンドバーグは飛行機で大西洋を横断した→〔蝿〕4bの『翼よ!あれが巴里の灯だ』(ワイルダー)。
★2a.飛行機事故。
『グレン・ミラー物語』(マン) グレン・ミラーは念願の自分の楽団を持ったが、デビュー直前に、トランペット奏者が唇に怪我をしてしまった。その時グレンの頭に、トランペットのパートをクラリネットで演奏するアイデアが閃き、独特のグレン・ミラー・サウンドが生まれた。第2次大戦が始まり、グレンは楽団を率いて、ヨーロッパ戦線の兵士たちを慰問する。しかし1944年のクリスマス、グレンを乗せてロンドンからパリへ向かう輸送機は、英仏海峡で消息を絶った。
★2b.墜落した飛行機に、乗らなかった男。
『黒の斜面』(貞永方久) 営業部の係長辻井は、不動産取引のため大金を携行して大阪へ出張する。妻には「夜の最終便に乗る」と告げるが、空港に愛人が待っていたので、翌朝一番の便に乗ることにして、辻井は愛人のアパートに泊まる。ところが最終便機が墜落し、死亡者リストに辻井の名が載った。辻井は、自分の無事を妻や会社に知らせたいと思うが、浮気の発覚を恐れてためらい、愛人の所に身を隠したまま何日も経過する。やがて真相が知れ、妻は辻井を見限り、会社は彼を降格する。
*飛行機事故で死んだと見なされる男女→〔死の知らせ〕5の『旅愁』(ディターレ)。
『空の死神』(星新一『おのぞみの結末』) 洋上を飛ぶ旅客機が、エンジンの不調で墜落しそうになる。スチュワーデスが乗客たちを落ち着かせ励まそうと、機内をまわる。しかし乗客は、難病であったり、会社が倒産したり、逮捕や処刑が目前であったり、前途に希望を失った者ばかりで、飛行機の墜落を喜んでいた。スチュワーデスは眼下に汽船を見つけ、「あのそばに着水しますから、救命胴衣をおつけ下さい」と呼びかける。乗客たちはスチュワーデスにとびかかり、紐で縛りあげた。
『大空港』(シートン) 吹雪の夜のリンカーン空港。ローマ行きの旅客機が離陸する。1人の中年男が、ダイナマイトを鞄に隠して搭乗していた。大西洋上で爆発させ、旅客機を墜落させるつもりである。男は搭乗前に多額の保険をかけた。生活に困窮していた彼は、自分の死と引き換えに、妻に保険金を残そうとしたのだ。挙動不審のため、捕らえられそうになった男は、トイレへ逃げ込んでダイナマイトを爆発させる。機体の後部に穴が開いたが、機長の懸命の操縦で、旅客機はリンカーン空港へ戻った。
『予期せぬ出来事』(アスキス) 人妻フランセスは恋人マークと駆け落ちすべく、ロンドン空港で待ち合わせる。フランセスは家に置手紙を残してきており、夫ポールがそれを読む頃には、フランセスとマークの乗る飛行機は、大西洋上をニューヨークへ向かって飛んでいるはずだった。ところが、思いがけぬ濃霧により飛行機は離陸できず、フランセスとマークは、空港ラウンジで霧の晴れるのを待つ。そこへ、手紙を読んだポールが駆けつける→〔駆け落ち〕3b。
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