離脱によって実際に起きた影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:56 UTC 版)
「イギリスの欧州連合離脱」の記事における「離脱によって実際に起きた影響」の解説
この節では、単なる予測や、人々が「可能性がある」などと言葉で言っただけの内容については扱わず、あくまで現実化したことだけを記述する。 物流に大きな混乱が生じた EU離脱の移行期間が終了してから、物流の混乱が目立つようになった。(イギリスとEU側の物流では主に、大陸側との物流と、EU内のアイルランド側との物流が問題の焦点になるわけだが)イギリスのグレートブリテン島から北アイルランドへの物流も、通関手続きが必要になったので、生鮮食料品(野菜や冷蔵肉など)の物流に大幅な遅延が発生するようになった。大陸側との物流でも、イギリス内の漁業関係者の漁獲物(魚介類。つまりラピート勝負の物流。少し遅れると商品ではなくなり廃棄となり、即 大損となる物流)の輸出の遅延が深刻化し、明らかな損失が発生している。1月18日にはスコットランドの水産物輸出業者がロンドン中心部の英国議会と首相官邸の周辺にトラックを乗り入れ抗議デモを実施する騒動が起き、こうした水産業界の混乱・損害や彼らからの厳しい非難を受けてボリス・ジョンソン首相は、翌1月19日、漁業関係者向けに2,300万ポンド(約32億8,900万円。1ポンド=約143円で算定)の基金を立ち上げると表明しなければならない事態となった。 労働力が不足した 離脱により外国人ドライバーの帰国、関税手続きの増加からイギリスを去る労働者が増え、さらに新型コロナウイルスのパンデミックにより深刻な人手不足が起こりスーパーでは欠品が続発した。また2021年9月頃からタンクローリードライバー不足により小売ガソリンが消えイギリス政府は軍を投入、ビザの新規発行を打ち出した。 イギリスの金融業者(金融会社)のEU側への大規模な流出、および大規模な資産流出が起きた 離脱手続き前から、金融業者のEU側への流出は始まっていた。アーンスト・アンド・ヤング(EY社)が調査し2021年3月2日に公表した調査リポートによると、2021年2月末時点で、EY社が調査したイギリスの金融サービス業者のおよそ43%(222社のうち95社)が、その事業や従業員を「EU側に移転した」もしくは「EU側に移転する予定」とした。金融業界人材の流出人数は、前回調査の2020年9月末時点ですでに7500人になっていたが、2021年春の調査ではさらに100人増加した。資産流出については、2021年3月に公表された調査結果では、3000億ポンド(およそ198兆円。(1ポンド=約152円として算定))が流出したとされ、前回調査の2020年9月の時点よりも流出額が1000億ポンド増加した。金融業者の移転先として選ばれた都市で最も多かったのは(EU加盟国でありつづけている)アイルランドのダブリンで、次いでルクセンブルク、ドイツのフランクフルト、フランスのパリ、という順になった。
※この「離脱によって実際に起きた影響」の解説は、「イギリスの欧州連合離脱」の解説の一部です。
「離脱によって実際に起きた影響」を含む「イギリスの欧州連合離脱」の記事については、「イギリスの欧州連合離脱」の概要を参照ください。
- 離脱によって実際に起きた影響のページへのリンク