離脱の生理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 02:50 UTC 版)
「ベンゾジアゼピン依存症」の記事における「離脱の生理学」の解説
離脱症状は、慢性的なベンゾジアゼピン使用者に起こる通常の反応であり、また副作用と薬物耐性の結果である。薬物の服用量が減少すると症状が現れるのが典型的である。GABAは中枢神経系において、2番目に最も共通する神経伝達物質である(最も共通するのはグルタミン)。それは圧倒的なほど最も豊富に存在する抑制性神経伝達物質であり、4分の1から3分の1のシナプスはGABAを利用している。ベンゾジアゼピンの使用は、脳と身体機能のほとんどあらゆる面で直接また間接的に深い影響を持っている。 ベンゾジアゼピンはノルアドレナリン、セロトニン、アセチルコリン、ドーパミンを減少させる要因となる。これらの神経伝達物質は正常な記憶、気分、筋緊張および協調、情動反応、内分泌腺分泌、心拍、血圧の制御に必要である。しかし慢性的にベンゾジアゼピンを使用しているとそれらの作用の大部分に対して急速に耐性が形成され、そのためベンゾジアゼピンから離脱した場合には、GABA作動性の抑制作用が無くなり様々な神経伝達物質が暴走する。その結果として離脱症状が出現し、中枢神経系において生じた適応が身体的に逆転するまで持続する。 離脱症状は、一般にその薬物の作用の鏡像となる:鎮静作用と睡眠の段階におけるREM睡眠と徐波睡眠の抑制は、不眠症、悪夢、入眠時幻覚に置き換わる;抗不安作用は不安とパニックに置き換わる;筋弛緩作用は筋痙攣や筋肉痛に置き換わる;また抗てんかん作用は発作に置き換わり、特にcold turkeyや過剰に急激な離脱において顕著である。
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