防空状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:59 UTC 版)
「アメリカ同時多発テロ事件」の記事における「防空状況」の解説
テロ当日は北アメリカ航空宇宙防衛司令部(ノーラッド)の年に一度行われる訓練の日であり、東海岸から離れた場所で万全の防空体制で訓練に当たっていたはずだった。しかし連邦航空保安局からアメリカン航空11便ハイジャック発生の第一報が入ったのは8時40分ごろで、マサチューセッツ州のケープコッド南西部にあるオーティス空軍州兵基地 からF-15戦闘機2機がスクランブル発進したのは8時52分だった。 スクランブル発進したF-15はアメリカン航空11便を追跡するよう命じられたが、発進した時AA011便はすでにツインタワー北棟に突入した後だった。管制室は途中からユナイテッド航空175便を追跡させているという認識だったが、状況の把握が不十分で、パイロットも何を追跡しているか認識できていなかった。同機は一旦ロングアイランド湾で待機するよう命じられ、ニューヨーク上空への進入を命じられたのはUA175便がツインタワー南棟に突入した後だった。しかしF-15には旅客機攻撃の権限が無く、突入を止めることは不可能だったとされる(進路妨害は可能だったという指摘もある)。 ワシントンD.C.には、ノースカロライナ州上空で訓練していたF-16戦闘機3機が呼ばれたが、飛来したところで基地への着陸待機を命じられた。3機はアメリカン航空77便の追跡を命じられ再度離陸したが、もともと訓練中だったために燃料が不足し始め、うちの2機は訓練用の模擬弾しか装備していなかった。9時30分に別のF-16が3機発進し、ワシントン近くに飛来したが、これらには攻撃用のサイドワインダーAAMが装備され、旅客機撃墜の権限が与えられていた。しかし、結局AA077便に合流することは無く、9時38分にペンタゴンへの攻撃の阻止には至らなかった。 オハイオ州上空を飛行していたユナイテッド航空93便の付近で、積荷の搬送を行っていたC-130輸送機が、管制官からUA093便を捕捉するように命じられた。C-130はUA093便墜落の際、17マイル (27 km)離れたところに位置していた。 ノーラッドから10時6分にスクランブル発進命令があった2機のF-16が発進したのは10時16分だった。別の2機のF-16が93便を追跡していたという話もある[要出典]が、公式な発表にはない。さらに事故から約10分後に現場のはるか上空を戦闘機らしい航空機1機が通過するのを目撃された。ノーラッドは連邦航空局から93便墜落の報告を受けたのは10時15分で、10分近く93便の追跡を続けさせていた。 連邦航空局がアメリカ合衆国中のすべての空港の閉鎖の措置を決定したのはワールドトレードセンターへの2度目の突入の直後からで、9時45分に全米の空港からの民間機の離陸が停止され、飛行中のすべての民間機は直ちに最寄の空港へ着陸するよう通告された。民間機の飛行禁止は3日間にわたり、常に5,000機以上が飛んでいた航空機がアメリカ上空、そしてアメリカが管制を担当する空域から姿を消した。
※この「防空状況」の解説は、「アメリカ同時多発テロ事件」の解説の一部です。
「防空状況」を含む「アメリカ同時多発テロ事件」の記事については、「アメリカ同時多発テロ事件」の概要を参照ください。
- 防空状況のページへのリンク