野辺山宇宙電波観測所
直径45メートルの高精度電波望遠鏡はミリ波天文学では世界のトップを走る
東京大学東京天文台が、十数年の歳月と数十億円の費用をかけて、標高1350メートルの長野県野辺山高原に建設した、ミリ波では世界最大の装置をもつ電波観測所です。オープンしたのは1982年で、当初は全国共同利用観測所として運用されていました。観測所の主な装置は、直径45メートルの高精度電波望遠鏡と、直径10メートルのパラボラ5基で構成される開口合成鏡です。「ミリ波」と呼ばれる、波長1ミリメートル以上1センチ未満の電磁波を観測するミリ波天文学の分野では、世界でもトップクラスの観測所です。
パラボラ鏡の鏡面精度は驚異的な0.2ミリの高精度
この観測所の設備でもっとも有名なのは、高さ50メートル、直径45メートル、重さ700トンの巨大電波望遠鏡です。この望遠鏡は、レーザー測定技術を応用した鏡面測定や、カーボンファイバーを使った高精度反射パネルといった最新の技術を駆使し、パラボラ全面で鏡面精度0.2ミリメートルという驚異的な高精度を保っています。それだけでなく、受信機や、受信した電波を解析する電波分光器などの技術水準も高く、自力で開発した大容量の音響光学型電波分光計は、世界でも1、2を争う技術が使われています。
東西南北に走るレールには直径10メートルの開口合成型電波干渉計5基を配置
また、敷地内には、東西560メートル、南北520メートルに敷かれたレールに沿って開口合成型の電波干渉計5基が配置されています。こちらは直径10メートルのパラボラ鏡ですが、超高速のデジタル分光器などを備えており、45メートルの電波望遠鏡の能力と組み合わせた観測活動もおこなわれています。
観測開始以来、さまざまな分子スペクトルを発見さらなる活動が期待される
センチ波からミリ波に観測技術が進歩したことで、星間分子の研究が進み、暗黒星雲などこれまでわからなかったことがらも解明できるようになりました。この野辺山観測所も、すぐれた観測精度と分解能により、1982年の観測開始以来、さまざまな分子スペクトルを発見し、星の誕生過程や銀河の構造の解明に役立ってきました。今後も、さらなる活発な観測活動が期待されています。
固有名詞の分類
Weblioに収録されているすべての辞書から野辺山宇宙電波観測所を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 野辺山宇宙電波観測所のページへのリンク