通貨価値
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「朝鮮民主主義人民共和国ウォン」の記事における「通貨価値」の解説
米外交専門誌のフォーリン・ポリシーは、北朝鮮ウォンを世界で最も価値が低い通貨に選定している。 2009年11月30日には1959年以来となる新しい北朝鮮ウォンが導入され、交換比率を100対1として通貨単位を切り下げるデノミネーション(中国語版)が行われた。タンス預金の発覚を恐れた市民が、人民元や米ドルへの両替を求めて闇市に殺到、大混乱に陥った。外貨流通の突然の停止と物資の絶対的不足により、北朝鮮の市場は閉鎖され、商品の流通は麻痺状態に陥り、デノミネーションの直後からハイパーインフレーションになった。 新ウォン価値は、デノミ実施からわずか2ヶ月で10分の1以下となったうえ、売り渋りも横行し、新ウォン貨幣換算で、豚肉1キログラム50ウォンほどだった値段が、瞬く間に2千ウォンに跳ね上がったほか、コメの価格も30倍に急騰したため、闇市でも売買が停止し、労働者への賃金支払いも中断する事態になった。また、何の前触れもなく強行されたデノミによって財産を失った市民たちは、金日成主席の肖像を印刷した北朝鮮ウォン紙幣をごみとして捨てたり、破産の末に自殺した人も続出した。 2010年2月5日、北朝鮮の金英逸首相は平壌の人民文化宮殿において、人民班長などに対し、今回の貨幣改革で、準備や情勢判断の不備と人民に苦痛を与えたことについて、異例の謝罪を行い、誤った措置を是正する意向を示したといわれる。 そして2010年3月12日には、朝鮮労働党計画財政部長朴南基が、デノミに伴う経済混乱の責任を問われて処刑された。また、2013年12月に朝鮮労働党行政部長張成沢が処刑された理由の一つには、朴南基をそそのかしたというものがある。 「2009年朝鮮民主主義人民共和国ウォンのデノミネーション(中国語版)」も参照 北朝鮮の住民は1990年代より慢性的な飢饉に苦しめられており、その対策として、闇市などの資本主義による手法で、北朝鮮ウォンを銀行に預金せずタンス預金していた。しかし、北朝鮮の人々はこのデノミによって、突如として溜め込んでいた資金が紙屑になる苦難を味わった。このため、2009年のデノミ以降、北朝鮮の住民は自国通貨を信用しなくなり、人民元や米ドル、ユーロ、日本円などの外国通貨を求めるようになった。 平壌ではタクシーもあるが、料金単位は米ドル表示であり、北朝鮮ウォンで支払うと運転手から嫌がられ、タクシー運賃に5,000ウォンを余計に支払わなければならない。
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