軍隊料理として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 23:04 UTC 版)
この料理は栄養成分が適切であり、短時間で容易に安く調理できるため、古くから米軍のすべての軍種でよく軍隊食とされてきた。遅くとも1910年にはすでに陸軍料理人教本に記載されている。兵役経験の象徴としてフィンランドやスウェーデンにおける豆スープと同じような地位にあり、米国の軍隊用語では「SOS」という略語で呼ばれる。偽悪語法で「Shit On a Shingle(クソ乗せ屋根板(英語版))」、もしくは「Stew On a Shingle(シチュー乗せ屋根板)」、「Same Old Stuff(いつものあれ)」、「Something On a Shingle(何かが乗った屋根板)」、「Save Our Stomachs(我が胃腸を守り給え)」と呼んだものである。 ウェントワースとフレクスナーは無出典ながら次のように述べている。食パンのトーストを shingle(=屋根板)と呼ぶ例は「米軍の一部で1935年から」見られ、ほとんどは shit on a shingle というフレーズの一部としてだった。このフレーズは「第二次世界大戦中の米軍で広く」使われていた。 グスタフ・ハスフォード著の小説『フルメタル・ジャケット』の第二部では、ベトナムに出征した海兵隊員たちが「クソ乗せ屋根板」などの粗食に辟易して、陸軍の食堂に潜り込もうとする場面がある。入口で追い払われた彼らは、自分たちの食堂で「クソ乗せ屋根板」を食べながら、海兵隊の食事は残飯同然なのだから、どうせなら陸軍が残飯を恵んでくれないかと愚痴をこぼしている。 スティーヴン・アンブローズは第二次大戦に関する1992年の著書 『バンド・オブ・ブラザーズ』において、陸軍部隊が基礎訓練を行う下りでこの料理に触れている。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}[1942年] 5月末、イージー [第506歩兵連隊E中隊(英語版)の愛称] の構成員はバラックバッグ [デニムの軍用袋] に荷物を詰め … 鈍行列車でケンタッキー州スタージス(英語版)に向かった。停車場で赤十字の女の子がコーヒーとドーナツを用意していたのを最後に、そんなちょっとした楽しみとは無縁の1カ月をおくることになる。中隊は町の外まで行進してテントを張り、またいで用便する溝を掘り、作戦行動中の部隊に人気があるクリームド・チップトビーフ・オン・トーストを食べた。この料理はどこへ行ってもSOS、すなわち Shit on a Shingle(クソ乗せ屋根板)で通っていた。 2003年には Chipped beef on toast (S.O.S.) という題名の軍隊ユーモア本が出版されている。
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