車両性能に対する批判など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:51 UTC 版)
「国鉄キハ40系気動車 (2代)」の記事における「車両性能に対する批判など」の解説
本系列の大型化した車体や追加装備は重量増加の原因となり、主機関の出力が低いことと併せて著しく非力で走行性能が低かったことから、この低性能や、それを招いた国鉄の開発姿勢に対して有識者から多くの批判があった。 本系列による代替の対象となったキハ10系は1機関搭載車で自重が28 tから32 t程度、同様の構成のキハ45形が33.0 tであるのに対し、キハ47形0番台が35.5 - 35.6 t(いずれも全長21.3 m、片運転台、トイレ付、両開き2扉、暖地向け)、キハ24形が34.5 tに対しキハ40形100番台が36.8 - 37.6 t(いずれも全長21.3 m、両運転台、トイレ付、片開き2扉、酷寒地向け)であり、これと比較すると1割から2割程度自重が重いことになる。これに対し、搭載機関の連続定格出力は220 PSで動輪周引張力は例えば10 - 55 km/hの速度域では約15 - 45 %高い程度であるため、単位重量あたりの出力ではキハ10系とキハ20系の1機関搭載車とおおむね同等、2機関搭載車のキハ51やキハ52などには大きく劣り、新型式車両でありながら走行性能は低く、地方線区の経営改善のためのダイヤ改善にも支障となるものとして批判された。 また、本系列(暖地向け車)を使用した普通列車の速度種別設定は「停気F1」で、上り10パーミル勾配における均衡速度は51 km/h、25パーミル勾配では26 km/h にとどまる。電化区間へ乗り入れる場合は、電車に比べ甚だしく加速力が劣るため足並みが揃わずダイヤ作成の障害となったほか、平坦な非電化線区においても機関2基搭載車基準のダイヤでは運行できず、本形式が運用に入る列車は別途遅いダイヤを設定しなければならないなど、スピードアップの阻害要因となることが多かった。1980年代後期から1990年代にかけて、曽根悟らの有識者からはこの過重量と出力不足が批判され、特に曽根悟は、本形式の時代錯誤的な低性能を(数世代前の)「キハ42500形にも劣る」と厳しく批判している。 低出力による加速力自体の低さに加え、変速機の特性上、低速域の引張力が小さいため、起動はキハ20などと比べても甚だ鈍重で加速も悪く、乗客には低性能ぶりが一層強く印象付けられることとなり、1980-90年代の鉄道旅行誌の掲載記事等においては、新系列車両であるにもかかわらず執筆者から「旧式気動車」などと記されてしまうこともあった。 DMF15HSの定格時燃料消費率は185 g/PS/hであり、1940 - 50年代開発のDMH17系 (190 g/PS/h) と同水準で進歩がなく、JR移行後に採用されたカミンズNTA855-R1(JR形式DMF14HZA) (154 g/PS/h) などの直噴機関に比べ燃費は大きく劣る。変直切替速度が高く、変速段を多用する変速機の非効率がそれを一層助長した。また、過熱防止のため全出力運転が5分までに制限されるDMH17系と異なり、DMF15HS系は全出力運転の時間制限がなかったため、運行中はほぼ全出力で運転できてしまい、かえって燃料消費量も増加した。DMH17系機関を1基搭載する車両の代替は可能であったが、加減速の多い仕業や勾配路線向きの形式は製作されなかった。
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