身長の急上昇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 07:36 UTC 版)
一般的に、19世紀を通じて地域の身長レベルに大きな差はなかった。 このような一様な身長分布の唯一の例外は、アングロサクソンの入植地地域の人々で平均よりも身長が高い人と、平均以下の身長を持つ東南アジアの人々であった。しかし、19世紀末から第一次グローバリゼーション期の中頃になると、豊かな国と貧しい国の間で身長が乖離し始めた。バテンとブルーム(2014)は、19世紀には、身長の重要な決定要因は、その地域での牛・肉・牛乳の入手可能性と、その地域の疾病環境であったことを発見している。しかし、20世紀後半になると、技術や貿易がより重要になり、農産物の地域的な入手可能性の影響が減少した。 19世紀半ば以降の150年間で、先進国の人間の平均身長は最大10cm増加している。 しかし、こうした増加はほぼ横ばいになっているようである。1870年代初頭から1980年までのヨーロッパ15カ国の男性の平均身長を調査した所、1870年の平均が167.7cmだったのが1980年には177.8 cmになっている。国によって若干の差異があり、スペインは約163cmから約175cm、スウェーデンは約170 cmから約180 cmに伸びている。埋葬物から得られたデータによると、1850年以前のオランダ・ライデンの男女の平均身長はそれぞれ166.7cmと156.7cmであったことが示されている。1865年の19歳のオランダの孤児の平均身長は160cmであったが、今日のオランダ人は世界で最も身長が高く、若い男性の平均身長は183.8cmである。18世紀から19世紀にかけて、北米のヨーロッパ系の人々は、ヨーロッパの人々よりもはるかに背が高く、世界で最も背が高かった。 プレインズネイティブアメリカンの元々の先住民族もまた、当時世界で最も背が高かった人の1つであった。 日本では肉食の普及に伴って身長が伸びたとされる。東京帝国大学(現在の東京大学)男子学生を対象とした調査によると、1910年代から1940年代の30年間に3.1 cmの身長増加が認められ、同じく女子学生では1910年代から1950年代の40年間に3.4 cmの増加があり、戦前から男女共にほぼ10年間に1.0 cmという急速な身長の伸びが見られた事が分かる。歴史を遡ると、成人男子の場合、縄文時代には156 cmから160 cmであったが、古墳時代には165 cmほどになり、以降は鎌倉時代、室町時代と経るにしたがって次第に低くなり、江戸時代には157 cmと、歴史時代では最も低くなり、以後増加に転じて、明治以降は急速に高くなった。
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