賛成派工作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 19:32 UTC 版)
分割案の支持者は賛成を投票するよう工作を行ったとされる。26名のアメリカ合衆国上院議員が署名した電報は、海外援助をちらつかせ、賛否を迷っている国家へ分割案を賛成するよう送られた。多くの国が工作があったことを報告している。 アメリカ合衆国(賛成): トルーマン大統領は後に「今まで見たことがないような国連をうごめく工作だけでなく、ホワイトハウスでも工作活動が行われたというのが事実である。私は自分が工作を行ったり、ホワイトハウスでプロパガンダを行ったとは思わない。少数の極端なシオニストの指導者、つまり政治的な動機を持ち政治的な脅迫を行うものは、煩わしく迷惑だった。」と語った。 インド(反対):インドの首相ネルーは国連での投票について怒りと侮蔑をあらわにしている。シオニストはインドを買収しようと企み、同時に後に国連総会議長となる彼の妹ヴィジャヤ・ラクシュミー・パンディットに対しインドが賛成しなければ命が無いと毎日警告を行っていたと彼は語っている。インドの国連代表団であったパンディットは時折イシューブの支持をほのめかした。しかし代表団の別の者はインドにはムスリムが多く、ユダヤ側の行動は知っているがそれでもアラブ側に投票するだろうと語った。 リベリア(賛成):リベリアの大使はアメリカに対し、アメリカの代表団は複数の国に対し援助を削減する脅迫をしていると訴えた。リベリアに拠点を持つFirestone Natural Rubber Companyの社長であるアメリカ人のHarvey S. Firestone, Jr.もまたリベリア政府に圧力をかけた。 フィリピン(賛成):フィリピン代表団のカルロス・P・ロムロは投票以前に「これはモラルの問題である。パレスチナの人々にとって明らかに不快な施策を行ってしまったら、国連は責任をとれるのだろうか。フィリピン政府は国連がそのような責任をあえて持つ必要はないと確信する。」と述べた。アメリカ政府からフィリピン政府への電話の後、ロムロは召還され、フィリピンは賛成に票を投じた。 ハイチ(賛成):500万ドルの融資を約束していなければハイチの賛成票は入らなかったかもしれない。 フランス(賛成):投票直前、バーナード・バルークがフランスの国連代表を訪れた。バルークは長きに渡りユダヤ人を支援してきた民主党員であり、先の大戦中はルーズベルト大統領の経済顧問、後にトルーマンから新しく設立された国連原子力委員会(UNAEC、1946年設立、1952年解散)のアメリカ代表として指名された人物であった。彼は密かにユダヤ人武装組織のイルグン、およびそのフロント組織であるAmerican League for a Free Palestineを支援していた。バルークはフランスがこの決議案を支持しない場合、アメリカの対フランス支援計画が無くなるかもしれないと言い含めた。フランス経済は傾いており、アメリカの支援は復興にどうしても必要であった。以前はアラブ系植民地に配慮し分割案の支持は表明していなかったが、結局フランスは決議に賛成票を投じた。フランスの近隣国のベルギー、ルクセンブルク、オランダもまた賛成票を入れた。
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