訴訟能力はない、詐病ではないとする見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 13:45 UTC 版)
「麻原彰晃」の記事における「訴訟能力はない、詐病ではないとする見解」の解説
控訴審の松井武弁護士は意思疎通できず、訴訟能力は無いとし、高裁に公判停止を求めていた。 松本の二女、三女松本麗華は2004年秋から2006年3月まで20回から30回あまり接見を重ねているが、呼びかけに反応したことはなく、拘禁による精神障害であるとして治療を訴えている。また、西山の鑑定書について松本麗華は「ウソばっかり」であるとし、東京拘置所が精神安定剤を投与していたのではないかと疑っている。 弁護団の依頼で接見した7人の精神科医は、いずれも訴訟能力を否定または疑問を呈した(麻原彰晃#控訴審・東京高裁参照)元北里大学助教授の医師中島節夫は「器質性脳疾患の疑いが濃厚」とした。 弁護士に接見の依頼を受けた二人目の精神科医は「拘禁反応によって混迷状態にある」「訴訟能力はない」とした。 筑波大学教授の中谷陽二は「拘禁反応が慢性化・固定化している」可能性が高く、「訴訟能力は欠如している」とした。 関西学院大学教授の野田正彰は、公判当初には訴訟能力に問題はなかったが、その後意志能力が消失したと考え、治療によって軽快ないし治癒する可能性が高いとした。 金沢大学名誉教授の秋元波留夫もまた訴訟能力を否定し、西山の鑑定に対し「水準とは何かが不明。偽痴呆性との診断は症状と矛盾し、根拠がない」「科学者のとるべき態度ではない」などと批判した。 作家で精神科医の加賀乙彦は、拘禁反応の状態を示しており言語による意思の疎通は不可能で訴訟能力はないとし、西山の鑑定は「被告の空想虚言症を見落としているうえ、医学用語の使用にも誤りがある。到底信頼できない」とした。また、環境を変えたり投薬によって治る可能性があるとし、一方で精神状態が変動していることから精神病ではないと説明した。 精神科医の斎藤学は「痴呆に似ているが断定できない」としつつ、治療可能性があると印象を語った。また自身のブログにおいて接見の様子を報告している。 死刑判決のみを傍聴したドキュメンタリー作家の森達也は、「壊れている」ように見えたと感想を述べた。また、b:刑事訴訟法第479条によると「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する」とあり、森は麻原がその状態にあるのではないかとしている。 アメリカの精神科医ロバート・J・リフトンは「麻原の弟子たち、とりわけ井上が反旗を翻したため、麻原は無意識的な逃避から深い退行状態に入ったのではないか」と推測した。
※この「訴訟能力はない、詐病ではないとする見解」の解説は、「麻原彰晃」の解説の一部です。
「訴訟能力はない、詐病ではないとする見解」を含む「麻原彰晃」の記事については、「麻原彰晃」の概要を参照ください。
- 訴訟能力はない、詐病ではないとする見解のページへのリンク