設計思想と開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 10:22 UTC 版)
中国では、1990年代末期に開発した第2世代主力戦車の96式戦車を経て当時最新鋭の第3世代主力戦車である99式戦車を開発・配備している。しかし、50トンクラスの主力戦車を運用できる環境は中国国内では限られている。水郷地帯が広がる亜熱帯の中国南部、チベット高原などの高山帯を控える南西部ではこれら主力戦車の運用は難しかった。特に山間部での運用には深刻な不足があったとされる。それらの地域には長らく62式軽戦車が運用されていた。62式軽戦車は重量21トンで道路条件の悪い地域での運用に評価がある。しかし、62式戦車は1959年に制式採用した第1世代主力戦車である59式戦車をスケールダウンしたもので、性能の限界が早くから指摘されていた。また、あまりにも旧式であるということで現場の部隊からも新型の戦車を求める強い要求が出ていた。 そのような状況の中、中国南部の水郷地帯や高原・山岳地帯などでの作戦に対応できる軽戦車として新規に設計されたのが15式軽戦車である。15式軽戦車は重装甲を誇る敵の最新の主力戦車と対抗するよりも、その他の機動戦力や固定施設、歩兵との交戦や偵察を想定して開発したとされている。また、車体も30トンクラスまで軽量化するとされ、後述するように軽量化のため火力や装甲についてはその規模を抑えることで妥協され、また、最新の主力戦車と相対するのでなければそれで十分だとされた。 2010年頃から中国が新型の軽戦車を開発中であるとの見方が出ていて、高原猛虎の名称で知られるようになっていた。開発においては冷却水管の破裂、エンジン火災、油気圧パワーアシスト破損、射撃不良などあらゆる面で難航し、完成には8年かかったという。 2016年には中国国際航空宇宙博覧会において15式軽戦車の輸出型戦車であるVT5という名称の軽戦車が初披露された。2018年12月、中華人民共和国国防部は新型の軽戦車として15式軽戦車の存在を初めて公式に明らかにし、同時に中国人民解放軍への制式車両の引き渡しが始まっているとも発表した。後継車両の開発が難航し適切な後継のないまま2011年に全車退役した62式軽戦車の後継車両として、15式軽戦車はようやく完成したことになる。 2019年10月の中国建国70周年軍事パレード(英語版)で初めて公式の場に姿を現している。
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